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2009年12月 4日 (金)

銀色の雨

Photo_2 浅田次郎の同名の短編小説を映画化。鳥取県米子市を舞台に年齢も職業も全く違うけれども実は1本の糸で繋がっている男女3人が出会い、それぞれの心の傷を乗り越えて行く様を描いた作品。主演は『ごくせん THE MOVIE』の賀来賢人。共演に「レッド・クリフ」の中村獅童、『最終兵器彼女』の前田亜季。他にも濱田マリやお笑いコンビ・サンドウィッチマンも出演している。監督は『銀のエンゼル』の鈴井貴之。
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なにやら形だけに捉われた薄いドラマで、登場人物の人間像が良く解らない作品でした。物語では登場する3人の男女、即ち父のいない高校生・平井和也(賀来賢人)、昔和也の母親の店で働いていた菊枝(前田亜季)そして引退勧告されたプロボクサー岩井章次(中村獅童)が何かに引き寄せられるように鳥取県米子市に集まり、偶然の邂逅をします。実は和也と章次には隠された関係がありますが、作品的にはその関係性が物語の終盤に判明しクライマックスへと繋がる構成になっていました。残念ながら本作は良くも悪くもその部分だけの作品だったように思います。とにかく個々の登場人物の抱える心情が殆ど伝わってきませんでした。

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例えば主人公の和也。母親の元から離れ新聞配達店でバイトをし生活をしていますが、何か人生を拗ねている様子が覗える少年です。どうも父親を早くに亡くしたことがその遠因らしいのですが、実際に彼が悩み苦しんできた様子が描かれるわけでもなく、どうにも和也の精神的背景が解りません。まるでこういう子なんでそう思ってくださいと宣言されているかのようです。陸上競技の中距離?の才能に長けていることが序盤で明らかになりますが、それもそういう設定というだけで、その後の展開の中には全く活かされないのも勿体無い話でした。

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そんな和也と偶然であった章次。一応、ボクシングの日本チャンピオンになりながらも、人を殴り殺してしまった過去を持つというのがメインの設定なのですが、それとは関係なく、そもそも米子に来たのは、実家の近所の人が認知症の母を介護する父親が大変そうだから一度戻られてはと手紙を出したことがきっかけでした。しかし父親とはどうも折り合いが悪い様子…。高校時代に不良をしていた回想シーンは挿入されるものの、その後立派に更正し日本チャンピオンにまでなっているのに何故?この人、設定的に一人のキャラクターに詰め込みすぎて何しに来たのか良く解らなくなっています。

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更に何故かその不良当時の友人から当時起こったとある事件を逆恨みされてボコボコにされること2回…。確かに人間悩み事が一つであるはずもありませんが、それは他の登場人物とて同じことで、演出的にそこを幾つも並列に表現しているために、目線が散らばりすぎてどこを観たら良いのかが散漫になってしまっています。ともあれ、この男2人は菊枝の元に収束する、具体的には菊枝の家に短期間の同居をすることになるんですね。ところがこの菊枝がまた良く解らない存在。和也の母のやっていたスナックで働いていたらしいという以外の背景は描かれていません。

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つまり菊枝には仮にも他の2人にあるような事情や設定すら全く見えてこないのです。そんな彼女の飼っていた猫のまる子が家出して死んでいたのを発見するシーン。自分を責めまくり、和也たちにかまけてまる子の居場所を奪ってしまったとヒステリックに泣き叫びますが、「え?そんなに可愛がってたっけ?」という感じ…。少なくとも描写は足りてません。孤独が嫌だった、だからまる子が心の癒しだったということらしいけれど、演出的にも演技的にも脚本的にも全くそれは表現出来ていないのに、死んだ時だとってつけたようにエキセントリックに騒がれても興醒めです。

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結局、邂逅した3人のうち和也と章次の関係に弱冠の意外性はあったけれども、それも途中で普通に解ってしまう程度のものであり、まして菊枝に到っては何故彼女でなくてはならないのかが不明、原作を読んだ人は表現しきれていない部分も脳内補完して解るのかもしれませんが、未読者には不親切なつくりになっています。行間を読んで欲しいというかもしれないけれど、必要な情報がきちんと入っていないのでは読みようもありません。まるで、こういう設定なんでこう思って観てくれと強制されているかのような作品でした。

個人的おススメ度2.0
今日の一言:賀来くん走り方下手すぎです。

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