スノープリンス 禁じられた恋のメロディ
『おくりびと』の小山薫堂と『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の松岡錠司監督のコンビが贈る感動のピュアストーリーだ。主演はジャニーズJr.の森本慎太郎とテレビドラマ『ちりとてちん』の桑島真里乃。共演に香川照之、壇れい、浅野忠信、岸恵子とベテラン勢が若い2人を支える。昭和初期の北国のとある村を舞台に、少年と少女の身分違いの淡い恋愛を中心に少年に訪れる哀しい運命を描いている。
>>公式サイト
あらすじへ 
←みなさんの応援クリックに感謝デス

もともと本作はベルギーの『フランダースの犬』モチーフに、その日本版を作ろうとしたらしい…。が、本家と比べるにはあまりにも深みのない話になっていました。一応貧乏な少年・原田草太(森本慎太郎)と飼い犬チビ、そして草太が淡い恋心を抱く金持ちの娘・有馬早代(桑島真里乃)、草太の祖父・原田正吉(中村嘉葎雄)とキャスティングや設定の一部はほぼなぞられています。映画『なくもんか』の中で徹子(竹内結子)が泣ける話の三大要素として「子供、動物、貧乏」なんて言っていましたが、モロにその通り。にもかかわらず予想に反して殆ど泣けなかったのが自分でも意外だったりしました。
序盤は草太の貧乏紹介。学校も行けない。好きな絵を描く絵の具も買えない。でもそんな中で早代とはほのかな恋愛感情をはぐくんで行きます。しかしそんな2人を気に入らないのが早夜の父・有馬政光(香川照之)。妻・きよ(壇れい)に早代を草太にあわさない様に命じます。にしても香川照之、このところドラマに映画に出ずっぱりですね。それも脇役からメインまで何でもこなすユーティリティープレイヤー。キャスティングするほうとしてはこれほど使いやすい役者はそうはいないです。で、転機が訪れたのは村にサーカス団がやってきてから。
あっさりネタバラシすると草太の父はこのサーカス団のピエロ(浅野忠信)で、早い話が草太は父親に捨てられ祖父に育てられたと言う訳。ところがいま一つこの設定は活かされない…。生き別れている父と子の再会ですが、それを草太はピエロが父だとは知りません。即ちせっかくの2人のシーンも、目線はその事実を知っている父からのもの。ならばその後、父がどう草太と相対するかでストーリーへの入り込み方が変わってくるのですが、実にアッサリとサーカス団は村から消えてしまいます。結局父親は出てきても、草太と共に、池に“夜空色”の絵の具の元となる土を取りに行っただけなのでした。
結局このあと祖父・正吉が死に、草太は一人ぼっちになってしまいます。それは話の流れ上「フランダースの犬」と同じなので仕方ないのですが、どうして誰も草太を助けようとしないのか…。いや助けてしまったら話が成立しないのは解っているのですが、例えばそれまでの早夜の父の行動を見ていると、2人を会わせないようにしている割には、そこまで冷血には描かれていないのです。早代と2人で学校に忍び込んで警察に捕まった時には身元引受人になり、壊した標本の弁償までしています。むしろ本当は良い人だというのが観ていると伝わってくるのですね。
「そこまで好意的なら助けりゃいいのに。」とどうしても考えてしまうのでした。草太にしても実に素直で良い子に描かれています。施しは受けないなどという変なプライドもありません。「だったら子供らしく助けをもとめりゃいいのに。」とコチラにも同じように考えてしまいます。要は何故草太が死ななければならない程追い詰められなくてはならなかったのか、それが伝わってこないんです。最後の最後、突然、早代の父の会社・有馬商店の倉庫が火事になり、それを草太が着ていたコートで消そうとするに到っては、「フランダースの犬」にあわせようと無理をし過ぎ。火が消えて、大人たちが草太を捜した時には既に彼は凍死していました…。
大変申し訳ないのですが、それを観て最初に思ったのが「え?もう死んじゃったの?はやっ!」。何だか名作をモチーフにしたは良いけれど、どうも中途半端というか…、上っ面だけなぞっている気がして仕方ありません。もっとも日本とベルギーの違いもあるのでしょうけども。
個人的おススメ度
2.5
今日の一言:眠かった。

↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: スノープリンス 禁じられた恋のメロディ:
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。小山薫堂脚本、松岡錠司監督。森本慎太郎、桑島真里乃、香川照之、檀れい、浅野忠信、マイコ、中村嘉葎雄、岸恵子、山本學。映画の中で有馬早代(桑島真里乃)が演奏するドビュッシーの「月の光」は「トウキョウソナタ」でも演奏されていた。1936年の山形・庄内地....... [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 20時50分
» のだめカンタービレ 試写会 [知りたいニュースは30秒で読め!]
CD・DVD: のだめカンタービレ
映画「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」。 アニメ、ドラマと大ブームを起こした作品の、待望の映画化です。 クラシック音楽の世界をモチーフにした作品ということで、 普段クラシック音楽になじみの無かった人たちにもその魅力を広めたことで音楽業界 ...(続きを読む)
スノープリンス 禁じられた恋のメロディ: LOVE Cinemas 調布
のだめが最後の映画化 『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』 後は… △泣きながら生きて △マラドーナ△パチャママの贈りもの... [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 21時14分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [シネマDVD・映画情報館]
昭和初期の寒村を舞台に、貧しい家に生まれた少年と裕福な家に生まれた少女、そして一匹の犬が織り成すピュアで切ないストーリーを描く感動巨編。『おくりびと』の小山薫堂が、現代に欠けている無垢(むく)な夢や気持ちを脚本に込め、『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』の松岡錠司監督が映像化。主演はジャニーズJr.の森本慎太郎。はかない物語を彩る、山形県庄内市に作られたオープンセットや日本の美しい大自然にも注目。...... [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 21時17分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ/森本慎太郎 [カノンな日々]
予告編を観た印象ではまんま「フランダースの犬」のリメイク版って感じなんですけど、リメイクという表現はどこにも使われてないんですよね。チラシにも原案などの表記は見当たらないんですけど、日本版「フランダースの犬」というコピーが入っているからなのかクレジットで....... [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 21時34分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [あーうぃ だにぇっと]
今日は末娘と、スペースFS汐留に出かけた。
演しものは「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」。
昨日は寒かったが今日は日も射してわりと暖かい。 [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 23時01分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ (試写会) [風に吹かれて]
この話 嫌いなのよ 公式サイト http://www.snowprince.jp12月12日公開現代 [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 23時08分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
悲しくも美しい物語は、子供と動物という最強の組合せで涙腺を刺激する。昭和初期、雪深い北国の村に住む草太は、貧しく両親もいないが、祖父と二人でつましく暮らしていた。愛犬チビと、幼馴染で仲良しの少女・早代と日々を過ごし、絵描きを夢見る草太だったが、実業家の早....... [続きを読む]
受信: 2009年12月15日 (火) 23時48分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [労組書記長社労士のブログ]
【 73 -14- 】 1か月フリーパスポートが終了したとたんに試写会が当たった!☆⌒(>。≪)イテェ ラッキー♪
で見に行ったのは12月3日だったので、このレビューはちょうど1週間遅れになっている。
昭和11年、北国で暮らす少年・草太は貧しいながらも祖父と2人で慎ましく暮らしていた。学校に通えない草太のそばにはいつも秋田犬のチビと村一番の令嬢・早代がいて、草太は絵描きになることを夢見ていつも絵を描いていた。草太と早代は密かに心を通わすが、クリスマスの夜、2人に悲しい運命が訪れる……。
フラ... [続きを読む]
受信: 2009年12月17日 (木) 00時47分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [象のロケット]
昭和初期、雪深い寒村で祖父と秋田犬のチビと暮らす10歳の草太は、貧しくて学校にも通えず、祖父の仕事を手伝いながら大好きな絵を描いて過ごしていた。 裕福な家庭の一人娘で同い年の早代と一緒に遊ぶことが多かったが、早代の父はそれを快く思わない。 ある日、町にやってきたサーカスのテントに忍び込んだ2人は、不思議なピエロと出会う…。 優しく悲しい冬の物語。... [続きを読む]
受信: 2009年12月17日 (木) 01時38分
» 「スノープリンス」試写会、感想。 [Beinthedepthsofdespair]
多分、今年最後の試写会になりそうな、予感ですが、、、昨日、よみうりホールで鑑賞してきました。監督は「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン」を手掛けて、物語の制作は、「おくりびと」の小山薫堂と、鑑賞前から期待をそそられる、そんな、制作者陣でしたが&hel...... [続きを読む]
受信: 2009年12月17日 (木) 05時41分
» 『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』 試写会鑑賞 [映画な日々。読書な日々。]
昭和11年、雪深い北国の村で草太は、祖父の正吉と暮らし、秋田犬のチビや幼なじみの早代と日々を過ごしていた。そんなある日、正吉が世を去り、悲しみに暮れる草太は、つらい現実に負けまいと必死に大好きな絵を描き続けた。そしてクリスマスの夜、草太は完成した絵を早代に... [続きを読む]
受信: 2009年12月18日 (金) 14時58分
» 『スノープリンス禁じられた恋のメロディ』(2009)/日本 [NiceOne!!]
監督:松岡錠司出演:森本慎太郎、チビ、桑島真里乃、香川照之、檀れい、マイコ、山本學、浅野忠信、中村嘉葎雄、岸恵子(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 21本目)公式サイトはこちら。 <Story>昭和の初め、雪深い寒村に祖父と暮らす10歳の草太(森本慎太郎...... [続きを読む]
受信: 2009年12月20日 (日) 21時52分
» 「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」 [みんなシネマいいのに!]
この映画の何が泣けたかというと、観にいったら劇場は自分1人だけの貸し切り状態だ [続きを読む]
受信: 2009年12月22日 (火) 00時51分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [とりあえず、コメントです]
“ピュアな少年&清貧”をテーマに創り上げられた作品です。 日本版「フランダースの犬」というだけあって、切なくも綺麗な余韻の残る物語でした。 [続きを読む]
受信: 2009年12月22日 (火) 12時58分
» http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/2009-018e.html [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法]
(2009年:松竹/監督:松岡 錠司) 予告や宣伝文句を見る限りでは全然触手が湧かなかったのだが、監督が「バタアシ金魚」や「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」の松岡錠司、脚本が「おくりびと... [続きを読む]
受信: 2009年12月27日 (日) 02時45分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [だらだら無気力ブログ]
『東京タワー チカンとボクと、時々、オトン』の松岡錠司監督と 『おくりびと』の脚本・小山薫堂がタッグを組んで送る昭和初期の北国の 寒村を舞台にした少年と少女のピュアで切ない感動ドラマ。昭和11年、雪深い北国の寒村で祖父と2人暮らししている草太。 貧しいために..... [続きを読む]
受信: 2010年1月 3日 (日) 16時40分
» スノープリンス 禁じられた恋のメロディ [『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba]
泣かないで。
僕は、すごく幸せだったよ。
世界名作「フランダースの犬」をモチーフにした、日本版「フランダースの犬」との宣伝コピー。先日公開された「なくもんか」の劇中で竹内結子が『貧乏、動物、子供は泣けるドラマの三大要素』と... [続きを読む]
受信: 2010年1月 3日 (日) 23時44分
» 『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』 [『映画な日々』 cinema-days]
スノープリンス 禁じられた恋のメロディ
祖父と二人暮らしで貧しく
裕福な家の娘に恋をした...
【個人評価:★★ (2.0P)】 (自宅鑑賞)
日本版「フランダースの犬」 [続きを読む]
受信: 2011年3月27日 (日) 21時04分
» 喪中映画評「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・松岡錠司
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2011年6月 5日 (日) 06時30分
最近のコメント