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2009年12月21日 (月)

ベジャール、そしてバレエはつづく

Photo 2007年11月22日、20世紀最大の振付家の一人モーリス・ベジャールが他界。偉大な師を失ったモーリス・ベジャール・バレエ団と後を継いだ天才ダンサー、ジル・ロマンがベジャール以外の振り付けで初めて行う公演までの過酷な日々を追ったドキュメンタリーだ。監督はアランチャ・アギーレ、製作と撮影は『ファイティング・シェフ〜美食オリンピックへの道〜』の監督ホセ・ルイス・ロペス=リナレス。
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芸術監督ジル・ロマンの苦悩と希望

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20世紀最高の振付家の一人であるモーリス・ベジャール。彼の亡き後を継いでモーリス・ベジャール・バレエ団の芸術監督に就任したジル・ロマンに密着し、自身の振り付けで初めての公演をするまでを追ったドキュメンタリーです。実は観る前はもっとダンスが観ることができる、即ちダンサー寄りの作品だと思っていたのですが、実際にはダンサーとしてではなく、芸術監督としてのジル・ロマンの密着ドキュメンタリーーでした。とはいえ冒頭ではそのジルの「アダージェット」のシーンもたっぷりありますし、過去のバレエ団の公演の映像、例えばあの有名なジョルジュ・ドンの「ボレロ」も観られます。余談ですが私が初めて観たのがシルヴィ・ギエムの「ボレロ」で、そのあまりの素晴らしさに感涙してしまったのですが、彼女の踊ったのがベジャール振り付けの「ボレロ」でした。

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当然の事ながら芸術監督としてバレエ団を率いることは一ダンサーとしての立場とは異なり、とてつもない重圧に晒されます。まして前任が余りにも偉大すぎる人物のなだけに尚更。しかし、それを踏まえたうえでバレエ界の、いや世界中の眼差しがこのバレエ団とジルに注がれることとなるのでした。『パリ・オペラ座の全て』(観たけど記事を書いてなかったり…)に登場していたパリ・オペラ座バレエの芸術監督ブリジット・ルフェーブルや、モンテカルロ・バレエ芸術監督ジャン=クリストフ・マイヨーらも、同じ芸術監督としての厳しさを理解したうえで先達として、ジルにかける期待を込めたコメントを残しています。しかしコレはとんでもないプレッシャーですね。下手したら師の遺したバレエ団が崩壊するかもしれない訳ですから。

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ベジャール時代にどのようにしていたのかは解りませんが、ジルの練習の激しさには驚きます。しかも本人も言っていますが、今回の演目「アリア」の振り付けのテーマが“人間の暴力”なだけに激しい動きが多く、途中で転んでしまったり、首を痛めたりする者も出るのでした。ジルは代役を置かない方針のため、団員の体のケアも真剣です。練習場から舞台へ、画面にはひたすら練習しては、それに対して細かな指示を与えるジルの姿が映し出されます。「さあ、これで最後にしよう。」「いつも最後だって言っても最後じゃないのは何故なんだろうな?」と笑顔で話すジルに団員たちも苦笑い。しかし団員のジュリアン・ファヴローは「限界に近づいた時こそベストなダンスが踊れるんだ。」と語ります。…なんというストイックさ。

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作品の殆どは振付家としてのジル・ロマンですが、芸術監督としての彼が垣間見えるのは公演2日前のシーン。舞台装置が気に入らず激怒し舞台の担当を怒鳴りつけたり、衣装が気に入らないと全てやり直しを命じたり、照明の当て方にNGをだしたりと時間がないのに思うように進まないイライラが良く出ていて、「ああ、天才ジル・ロマンも人の子だなぁ。」などと思ったり。この一連のシークエンスでは文字通り公演の舞台裏が観ることができます。舞台上に集めた団員たちにジルは翌日の公演に向けて励ましの言葉をかけますが、これを観ていて思い出したのは再上映が決まった『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』。一つの作品を創り上げるアーティストの決して妥協を許さない姿勢と仲間に対する思いやりが強く感じられました。

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『過去を振り返るな、何があっても前へ進め。』ベジャールのこの言葉に従って努力と研鑽を重ねるジルと団員たちが語るそれぞれの想い。そして、ジルが死の間際にベジャールと交わした2つの約束。全ての想いは「ベジャールの遺したこのバレエ団を守り抜くこと。」という一点に集約されます。実は公演の様子はフラッシュ的にしか映し出されません。鑑賞後に「それが観たかったのに〜」なんて声も聞こえましたが、ダンス自体はリハーサルとはいえそれまでに何度も映し出されています。舞台の袖から真剣に、ある時は嬉しそうに、ある時は不安そうに見つめるジルの姿。そして終演後の観客の割れんばかりの大拍手。そして全ての音を消し去り聞こえるのはジルの拍手の音のみ…。これが全てを表現しているのではないでしょうか。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:2010年11月に日本公演があります!

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振付家モーリス・ベジャールについて、さも前から知っていたかのようにプレス資料の文言を使いまわすこともできるのだが、それはやめておこう。彼については何も知らなかった。それが僕の正直なところの立ち位置であ... [続きを読む]

受信: 2010年1月 5日 (火) 16時54分

» 『ベジャール、そしてバレエはつづく』・・・ [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2009年:スペイン映画、アランチャ・アギーレ監督、ジル・ロマン、エリザベット・ロス、モーリス・ベジャール・バレエ団員、ジョルジュ・ドン、ショナ・ミルク、ブリジット・ルフェーブル出演。... [続きを読む]

受信: 2010年3月14日 (日) 03時42分

» 映画評「ベジャール、そしてバレエはつづく」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中) 2009年スペイン映画 監督アランチャ・アギーレ ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2010年11月29日 (月) 14時04分

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