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2010年1月17日 (日)

シャネル&ストラヴィンスキー

Photo シャネル50周年記念作品としては『ココ・シャネル』『ココ・アヴァン・シャネル』についで3作品目。『ドーベルマン』のヤン・クーネン監督が、シャネルとストラヴィンスキーの恋愛劇を軸に香水「N°5」の誕生秘話や「春の祭典」再演にかける想いを綴った作品だ。主演は『そして、デブノーの森へ』のアナ・ムグラリスと、『誰がため』のマッツ・ミケルセン。

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シャネルが求め続けたものは…

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これまでの2作品と違い、既にデザイナーとしての名声は勝ち得ているシャネルが主人公です。最愛の恋人ボーイを事故で亡くした後の話なので、時代的にはむしろ続編的な感じすらしますが、シャネルの伝記ではなく、完全にシャネルとストラヴィンスキーのラブストーリー。個人的にはシャネル役のアナ・ムグラリスは今までで一番美しいのではないかと感じました。スレンダーで長い首、シャネルの服を素敵に着こなす彼女は殆ど専業のモデルのように見えなくもありません。対するイゴール・ストラヴィンスキー役のマツ・ミケルセンは丸メガネが本当に作曲家を思わせるダンディさ。がっしりとした体格もシャネルとは対照的です。

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もっともストーリーは思ったよりもずっと単純で、物凄く簡単に言うとシャネルとストラヴィンスキーの不倫の話。ストラヴィンスキーの妻カトリーヌ(エレーナ・モロゾーワ)も交えた三角関係ですが、こういった愛憎劇はフランス映画の得意とするところですね。物語はパリで「春の祭典」の初演が観客から大ブーイングを喰らうシーンから始まります。もっともバレエ素人の私には何でこれが大ブーイングになるのかがいま一つ良く解らなかったのですが。いずれにしても、そんな中、シャネルだけはストラヴィンスキーの才能に感動し、彼のパトロンになるのでした。

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彼女の別荘にストラヴィンスキーの家族を住まわせて援助を続ける彼女ですが、次第にストラヴィンスキーに惹かれていきます。彼はその斬新的な音楽性が一般に受け入れられませんでしたが、それは実は初期のシャネルにも共通することでした。それでも己の才能を信じて道を切り開いてきたのがシャネルという人。そのあたりは先行の2作に詳しいです。シャネルはストラヴィンスキーに己を重ねていたのでしょう。あるいは愛するボーイが自分を援助してくれたように、今度は自分がストラヴィンスキーを援助することが使命だと感じたのかもしれません。

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この2人のベッドシーンがこれまたフランス映画らしく非常に大胆。男女の愛の延長にあるセックスに関して何のてらいもなく生々しく描いてきます。2人の愛の深さというか濃密さを感じさせるベッドシーンでした。当然カトリーヌは2人の関係に気づくのですが、気づいた理由が“夫の音楽が情熱的になっている。”というもの。これは妻としては切ないです。自分では女性として夫の才能を伸ばすことが出来ないのというこよなのですから。ストラヴィンスキーが情熱的な音楽を創り出す一方で、シャネルも“女性を感じさせる香水”を創り出そうとしていました。

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それが「N°5」になるのですが、正直言ってこちらは何だかあっさり出来上がってしまったようでちょっと描写的に不満が残ります。もっとも『パフューム』でもそうでしたが、香りを扱った映画は伝わりにくいので仕方ないのかもしれませんが。さて、そんな2人の関係が終わりを迎えるのもシャネルのせいでした。ストラヴィンスキーがカトリーヌに2人の関係がばれたと知って動揺し始めると一気にシャネルの気持ちが醒めて行きます。もっとも完全に止めを刺したセリフがあるのですけどね。(苦笑)

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ただ面白いのが、シャネルへの想いを振り切ろうと作曲に打ち込むストラヴィンスキーの楽譜が書きあがると、彼女はそれまでの嫌悪感丸出しの顔が嘘のように穏やかな表情に変わっているのです。結局彼女はボーイの代わりとしてのストラヴィンスキーは捨てたけれども、才能ある音楽家としての彼は捨てられなかったということなのかもしれません。それは「春の祭典」の再演の資金を匿名で出したことからも覗えます。エンドロール後の映像をみると、シャネルは生涯愛を探し求め続けたのではないかと思え、いかにも彼女らしいと言えるエンディングでした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:とにかくアナがとっても素敵♪

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» 『シャネル&ストラヴィンスキー』(2009)/フランス [NiceOne!!]
原題:COCOCHANEL&IGORSTRAVINSKY監督:ヤン・クーネン出演:マッツ・ミケルセン、アナ・ムグラリス、エレーナ・モロゾヴァ、ナターシャ・リンディンガー、グリゴリイ・マヌロフ観賞劇場 : 109シネマズMM横浜公式サイトはこちら。<Story>1913年のパリ。ロシア・...... [続きを読む]

受信: 2010年1月17日 (日) 20時30分

» シャネル&ストラヴィンスキー [あーうぃ だにぇっと]
1月7日(木)は今年の試写会初め@新宿明治安田生命ホール。 演しものは『シャネル&ストラヴィンスキー』。 英題 COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY。 シャネル三作品の棹尾を飾る作品である。 [続きを読む]

受信: 2010年1月17日 (日) 22時18分

» シャネル&ストラヴィンスキー [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
同時期に作られた3本のシャネルの映画の中で、本作が最もクールでファッショナブルだ。1920年のパリ。デザイナーとしても実業家としても成功していたココ・シャネルは、ロシア出身の作曲家イゴール・ストラヴィンスキーの才能に惚れ込み、彼を妻子と共に別荘に招待、経済的....... [続きを読む]

受信: 2010年1月18日 (月) 23時40分

» シャネル&ストラヴィンスキー [象のロケット]
1920年、パリ。 一流デザイナーとしての地位を手にしながらも、恋人を事故で亡くし、悲しみにくれるココ・シャネルは、ロシア革命後、全ての財産を失って難民となり、パリで亡命生活を送る音楽家イゴール・ストラヴィンスキーと出会う。 彼の才能に惚れ込んだシャネルは、作曲に専念できるよう妻子と共に自分の別荘で暮らすことを提案するが…。 実話に基づくラブストーリー。... [続きを読む]

受信: 2010年1月19日 (火) 17時32分

» シャネル&ストラヴィンスキー/COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY [我想一個人映画美的女人blog]
{/m_0150/}ランキングクリックしてね{/m_0150/} ←please click ココ・シャネル生誕125周年ということで、昨年から続々公開している シャネル映画のラストがこちら。 監督は「ドーベルマン」のヤン・クーネン。 当初の予定では、「エクソシスト」のウィリアム・フリードキン監督がメガホン! と言われててかなり期待してたんだけど、いつの間にか交代になっちゃってたのね、、、、。 週明け、渋谷にて鑑賞{/hikari_pink/} 先に公開された2作も、シャネルが成功するまで... [続きを読む]

受信: 2010年1月22日 (金) 12時42分

» 『シャネル&ストラヴィンスキー』 [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY]
ビターなオトナ感に惚れ惚れ。カール・ラガーフェルドとシャネルのメゾンが全面的にバックアップしたのは結局のところ、『ココ・アヴァン・シャネル』 ではなくて本作の方だったのだよね。シャネルのミューズである美しきアナ・ムグラリスがココ・シャネルの役を演じることは、ラガーフェルド自らがドレスをデザインするほどに、シャネルの美の世界を表現するのにふさわしいものであったのだ。『そして、デブノーの森へ』で観たアナ・ムグラリスは、細くて透明感があって浮世離れしたイメージが強過ぎる女優だったから、シャネルを演じるには... [続きを読む]

受信: 2010年1月22日 (金) 20時31分

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受信: 2010年1月24日 (日) 00時20分

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昨年『ココ・シャネル』『ココ・アヴァン・シャネル』とココ・シャネルの生誕125年記念した映画が公開されましたが、この映画が残る最後の作品。第62回カンヌ国際映画祭でもクロージング作品になったそうですね。シャネル社の協力もありカール・ラガーフェルドが特別にデザイ...... [続きを読む]

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受信: 2010年1月26日 (火) 00時58分

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3月10日まで有効の武蔵野興業株主優待券がまだ4枚とも残ってて、今後公開される「過速スキャンダル」「渇き」「ハートロッカー」で3枚使うとしても、絶対に1枚は残ってしまいます調べたら、まだ未見の「シャネル&ストラヴィンスキー」が明日で公開終了ということな...... [続きを読む]

受信: 2010年2月11日 (木) 23時12分

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「ココ・アヴァン・シャネル」、「ココ・シャネル」に次いで3作目のシャネルものであるが、私はこの作品が一番好きである。前2作品と大きく違うところは、クリエイターとしての彼女の生き方、考え方に重点を置いて描いている点である。恋愛ドラマとしての要素もあるが、...... [続きを読む]

受信: 2010年3月 7日 (日) 00時17分

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《シャネル&ストラヴィンスキー》 2009年 フランス映画 - 原題 - COC [続きを読む]

受信: 2010年3月 8日 (月) 19時46分

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・ 時は1913年5月29日のパリ。 シャンゼリゼ劇場でバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の公演としてストラヴィンスキー『春の祭典』の初演が行われる冒頭のシーンのなんと魅力的なことか! さもありなんと思わせる見事に再現されている劇場の雰囲気、そして噂の新作に対して期待と好奇に満ちる人々の様子を丹念に細部にわたって描くその圧倒的なスケール感溢れる描写に心ワクワク。 そしてやがて始まるそのステージは不協和音に満ち、リズムも変則的で、衣装も従来のクラシックバレエとは大きくかけ離れたプリミティヴなもので... [続きを読む]

受信: 2010年3月10日 (水) 02時16分

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「シャネル&ストラヴィンスキー」★★★☆ アナ・ムグラリス、マッツ・ミケルセン、アナトール・トーブマン主演 ヤン・クーネン 監督、119分 、 2010年1月16日公開、2009,フランス,ヘキサゴン・ピクチャーズ (原題:COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「シャネルの映画がも3本目、 決定版!と思えるような作品には結局... [続きを読む]

受信: 2010年3月10日 (水) 12時47分

» ■映画『シャネル&ストラヴィンスキー』 [Viva La Vida!]
今も世界中の女性を魅了してやまないデザイナー、ココ・シャネルの情事を描いた映画『シャネル&ストラヴィンスキー』。 クリエイターの孤独を共有できる男としてシャネルに選ばれたのは、音楽家のイゴール・ストラヴィンスキーです。 この物語は創作であり、ふたりの間に起こ... [続きを読む]

受信: 2010年3月12日 (金) 01時40分

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 この1年はシャネル生誕100年ということで、3本の映画が公開だが、その最後を飾 [続きを読む]

受信: 2010年3月14日 (日) 20時14分

» *『シャネル&ストラヴィンスキー』* ※ネタバレ少々 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2009年:フランス映画、ヤン・クーネン監督、マッツ・ミケルセン、アナ・ムグラリス主演。 [続きを読む]

受信: 2010年3月20日 (土) 15時55分

» シャネル&ストラヴィンスキー [迷宮映画館]
ココ・シャネルの映画化第三弾は、なかなか官能的。 [続きを読む]

受信: 2010年4月 1日 (木) 22時01分

» シャネル&ストラヴィンスキー [銅版画制作の日々]
COCO CHANEL IGOR STRAVINSKY 遅まきながら、鑑賞して来ました。ジャック・メスリーヌに続き、これもフランス映画でした。シャネルシリーズ第三弾、これがシャネルシリーズ最後の作品となります。さてシャネルシリーズ、皆さんはどれが好みでしょうか?前作の2作はシャネルの生い立ちや生きざまなどが描かれていましたが、今回はそうではありません。むろんシャネルの仕事にも少しふれていましたが、ほんの僅かです。本作はシャネルとストラヴィンスキーの愛だけに焦点が当てられています。2人の... [続きを読む]

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大胆で容赦のない芸術、そして愛。 革新的な美の追求はスキャンダラスな愛に似て。 彼の楽譜と彼女のデザインに下書きは、ない。 『シャネル&ストラヴィンスキー』 COCO CHANEL IGOR STRAVINSKY 2009年/フランス/119min 監督・脚色:ヤン・クーネン 出演:... [続きを読む]

受信: 2010年4月 6日 (火) 16時56分

» シャネル&ストラヴィンスキー [C'est joli〜ここちいい毎日を〜]
シャネル&ストラヴィンスキー09:フランス◆監督:ヤン・クーネン「ドーベルマン」◆出演:マッツ・ミケルセン、アナ・ムグラリス、エレーナ・モロゾヴァ、ナターシャ・リンディンガー、グリゴリイ・マヌロフ◆STORY◆1913年のパリ。ロシア・バレエ団の革新的な《....... [続きを読む]

受信: 2010年5月 9日 (日) 22時12分

» シャネルさん [Akira's VOICE]
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受信: 2010年6月28日 (月) 15時56分

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受信: 2010年7月 6日 (火) 12時34分

» 「シャネル&ストラヴィンスキー」「誰がため」感想 [ポコアポコヤ 映画倉庫]
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» シャネル&ストラヴィンスキー [ぷち てんてん]
シャネル関係はシャーリー・マクレーンの「ココ・シャネル」見ましたよ。ココ・シャネル価格:3,761円(税込、送料別)でも、オドレィ・トトゥの「ココ・アヴァン・シャネル」はまだ... [続きを読む]

受信: 2010年10月 9日 (土) 08時27分

» 映画評「シャネル&ストラヴィンスキー」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中) 2009年フランス映画 監督ヤン・クーネン ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2010年10月15日 (金) 16時40分

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