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2010年2月17日 (水)

だれのものでもないチェレ

Photo ジグモンド・モーリツの原作小説を映画化した実話を元にした作品で1976年初公開された。日本では1978年に公開されている作品だ。1930年代のハンガリーを舞台に、孤児の少女の身に降りかかった過酷な出来事をリアルに描いている。監督はラースロー・ラノーディ。主演のチェレを演じたのは7000人の中から選ばれたジュジャ・ツィノコッツィ。
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薦めません。観るなら覚悟を。

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『人生に乾杯!』『倫敦から来た男』につづく3本目のハンガリー映画の鑑賞です。が、前2本と異なり、見ていてどうにもやりきれなくなってくるほど辛い内容の作品でした。原作は『Arvacska』(孤児)という小説です。ただし、その小説自体が実在する少女から聞いた話を忠実に再現したものであり、従って映画も限りなく実話に近いということになります。簡単に言ってしまうと、1930年代初頭のハンガリーという人権が認められていない時代に起こった児童虐待を描いた映画です。主人公は七歳の少女チェレ(ジュジャ・ツィノコッツィ)。

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いきなり草むらで牛を追い立てているチェレのシーンから始まるのですが、何故か彼女は全裸です。しかも最初は短い髪の毛ややせ細った体のせいで少女なのか少年なのか区別がつきません。全裸も地域によっては幼い子供が裸で遊んでいるということも無い訳ではないので、私はてっきりそんなことだと思っていたのでした。事実は違います。孤児だったチェレはとある家に引き取られますが、養母は自分がお腹を痛めた子供には服をきせ、彼女には着せていないのです。当然ながら学校にも行かせていません。「お前のモノなんかこの世に何一つないんだよ。」と平然と言ってのける養母。

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あまりに普通にそんなことを口にするため、最初は状況を認識するのに時間が掛かってしまったくらいです。やりきれなかったのは、そんな最悪の養母にもかかわらず、兄弟たちにからかわれたとチェレが「お母さんは私のことを愛してるもん!」と言い張るところ。愛されてなどいないことは本人が一番解っているはずなのに、子供らしい悔しさから口にするその言葉にチェレのそうあって欲しいという切ない希望と、それはありえないという深い絶望が覗えて、なんとも居たたまれない気持ちになりました。

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畑のスイカを盗んで食べ、外側の皮を帽子がわりに被るチェレ。それは子供らしい遊びというにはあまりに哀しい姿です。家に帰ってスイカを盗んだことがばれると、何と養父はストーブから真っ赤に焼けた石を取り出し、無理やりチェレに握らせるのでした。ありえない…、なんでこんなことをするなら養子にとるんだろう?当時のハンガリーでは孤児を引き取ることで国からお金が出たのですね。早い話、お金さえもらえたら孤児本人などどうでもいいということ。貧困にあえぐ農民としてはその制度を使うことは仕方ないとはいえ、金さえもらったら後は家畜扱いとはあまりに非道です。

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虐待に耐え切れず家を飛び出すチェレでしたが、すぐまた孤児院に連れ戻され、今度は別の家にもらわれていきます。今度は服こそ着せてもらえますが、相変わらずの虐待ぶり。しかし今回唯一の救いは、同じ納屋に寝泊りする優しい老人がいたことでした。老人との暮らしは彼女のこれまでの人生で一番平穏だった時期なのかもしれません。といっても傍から見たら幸せとは程遠いとしかいいようがないのですが…。とある事件で老人が死に、また一人ぼっちで迎えたクリスマスの日。みながご馳走を食べる中彼女には何も与えられません。

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おずおずとテーブルに近づいた彼女は「お父さん私も…」、あとに続く言葉は「誰がお父さんだ!」という言葉で遮られます。クリスマスの日、みんなが美味しそうな食事をしている、そりゃお腹も減るでしょう…。一人では生きる術を持たない子供たちは、どんなに虐待されたとしても、大人を頼るしかないのです。「誰がお父さんだ!」とはあまりに冷たい言葉、あまりに非情な言葉です。納屋で別れた実の母親から教わった歌を歌いながら、藁に火をともすチェレ。しかしその日が他に燃え移り…。納屋は焼け落ちますがその後のチェレの消息は描かれません。

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正直言って生きていてくれと素直に思えない自分がいます。それは生きていたとしてもこれから先の彼女に待ち受ける人生が素晴らしいものになるとは思えないから。とことんまで救いのないこの話、実話だということは、他にも何人ものチェレがいるということになります。一体私たちはこの作品をどう観たら良いのでしょうか。そういう事実があったのだというセミドキュメンタリーとして受け止めれば良いのでしょうか。作品としての質はとても高いとは思いますが、私には人に薦められないです。自分の中での整理ができていない今は。

個人的おススメ度2.0(4.0)
今日の一言:事実をありのままにということなのか?…
総合評価:評価不能

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