サベイランス
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時間のかけ所が違う気がする。 |
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何だか久しくその名前を聞いていなかったデヴィッド・リンチの娘、ジェニファー・リンチが監督作品。そうはいってもやっぱりリンチ家に名前を連ねるんだからとちょっと期待しつつの鑑賞でしたが……割と正統派でした。(笑)父親のあの奇々怪々な謎が謎を呼ぶストーリーや不可思議な映像といったものは特になく、だからといってつまらない訳ではなく…。冒頭、なにやらジェイソンばりのホッケーマスクのようなものを被った犯人が、寝ている父親を惨殺するシーンから入り、悲鳴を上げて逃げるその妻を車で追いかけ今にも衝突する瞬間、妻の顔は恐怖に引きつる―。


うーん、実に猟奇的で良い意味で先が思いやられるスタートに結構引き込まれます。そして、次のシークエンスで颯爽と登場するのが、エリザベス・アンダーソン(ジュリア・オーモンド)とサム・ハラウェイ(ビル・プルマン)のFBI捜査官2人組。地元の警察では手に負えない時に登場し、地元警官の反感を買いながらも鮮やかに事件を解決するFBI捜査官は、まさにアメリカの正義の象徴ですね。さて、彼らは町の警察署に保護されている3人の目撃者に事情聴取をするのですが、目撃者の証言を映像で見せていくものの、証言自体はその映像と微妙に異なっているのが面白いところ。


町の警察官で相棒を犯人に射殺されたと訴えるジム(フレンチ・スチュワート)、父・母・兄を犯人によって殺されてた9歳の少女ステファニー(ライアン・シンプキンス)、恋人を殺された薬中のボビー(ペル・ジェームズ)、それぞれが目撃したことを話はするものの、後ろめたいことや都合の悪いことは当然嘘をつくことになります。虚実入り混じった証言からエリザベスとサムは一体どうやって真実を導き出すのか。そんなことを考えつつも何かが起こりそうな期待感は少しずつ高まっていくのでした。ただ期待感の高まりとともに、ちょっとタルさを感じたのも事実。


要はこの事情聴取は、数奇な運命によって“ジムたち警官コンビ”と“ステファニー一家”、“ボビーたちカップル”そして“猟奇殺人犯”の4組が交錯し、そこに起こった一連の出来事を振り返る作業なのですが、その4組が交差するまでにかかる時間がちょっと長すぎるのでした。具体的に言えば、3人の目撃者が出会うまでのシーンが長過ぎます。物理的にも理屈的にも3人の目撃者が犯人である可能性は皆無ですから、彼らの人となりをそこまで見せる必要が話果たしてあったのか…。しかもその前段部分は、物語本線の謎には直接関わっていません。


今回、結末に関わるようなことは一切書いていませんが、如何せんこの登場人物の少なさですから、見ていれば途中である程度は察しがつくかもしれません。私はステファニーの関わるとあるシーンで違和感を覚えました。っと、もうよしておきますね。思うに本作はTVドラマで放送するほうが面白い気がします。描き切れていない猟奇殺人犯の犯行の連続性や異常性、そしてそれを捜査する側の時間的・空間的な広がり、生き残った目撃者たちの抱える嘘を見抜くための作業、細かい描写をきちっとすることで、もっと謎が謎を呼ぶ展開が作り出せるのではないかと感じました。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:娘といっても私より年上だけどね…
総合評価:57点
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