ミュータント・クロニクルズ
ゲームらしい世界観になじめれば吉 |
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これは意外に掘り出し物かも。はっきりB級映画なのだけれど、何故かジョン・マルコヴィッチまで出演してるからと観てきました。まずこのモロにゲームな世界観がイイです。2707年の地球上は4つの企業に支配されていて、それぞれの企業が覇権を争い戦争をしている…。何故か4つのうちの1つ、アジアを束ねる企業名が“ミシマ”…って日本企業かい!と突っ込みながらも観ていると、本題はそこじゃなかったり。要は大昔に地球外からやってきたミュータントを自動製造する“マシーン”こいつを巡る壮大(でもないけど)な冒険譚なのです。封印されていたはずのこのマシーンが軍の砲撃で再び動き始めてしまい、いきなり戦場にミュータントの大群がワラワラと出現し、人間を虐殺し始めるというオープニング。(笑)


というか、一応ロスト・シティというところにマシンがあり、正確にはその街の封印を解いてしまったらしい…。まあ、あんまり細かいところに突っ込み始めると成立しなくなるのでその辺は華麗にスルーしてと。VIPはミュータントから逃げるために火星に向けて脱出を始める中、大昔に“マシーン”を封印した末裔は戦士を募って、今度はそれを破壊しに行くという流れでストーリーは展開されて行きます。それにしてもこの末裔&戦士たちのキャスティングがB級映画に似つかわしくないほどに豪華なんですね。末裔ブラザー・サミュエルに『ヘルボーイ』のロン・パールマン、戦士たちのリーダー格ハンターに『ミスト』のトーマス・ジェーン、4大企業の1つの総帥コンスタンティンにジョン・マルコヴィッチ!


他の戦士たちも『アイガー北壁』のベンノ・フユルマンやら、『ローグ アサシン』のデヴォン青木やらと、さすがに『ニューヨーク,アイラブユー』並とは言わないものの結構なキャスティングじゃありませんか。良い俳優が演じるとやはり観てる側としては引き込まれるもので、マルコヴィッチなどは出番も少なくはっきり言ってチョイ役でロン・パールマンとの絡みのワンシーンしか無いにもかかわらず、そのシーンは何故か重みがでてくるのですから不思議です。個人的には昨日エントリーした『アイガー北壁』の主役で、人間臭いリアルな好演を見せてくれたベンノ・フユルマンが一転、B級作品の軍人役ですから気になって仕方が無く…。これだから映画とは面白いものです。


さて監督のサイモン・ハンターは元々CMディレクターだそうで、道理で映像の作り方にこだわりが見られました。全体的にトーン抑え目でグレー基調な映像は、それだけで未来の雰囲気と人類滅亡の危機を視覚的に表現しています。この映像センスとどこか飛んでいてアバウトな世界観の設定のアンバランスさがまた妙に上手く噛み合っているんですね。大体28世紀なのに武器が普通に銃。それもミュータントには殆ど効果がなく、しかし剣は有効な武器だったり。あまつさえ何故か石炭を燃やして飛ぶ飛行機?まである始末。しかも件の“マシーン”は生きている人間をミュータントにしてしまうのですが、それがまた適当極まりない代物。何しろ自動的に注射されるとあとは勝手にミュータントに…(笑)


(ココからネタバレ含む。)
実は一行が“マシーン”を破壊する“爆弾”と思って運んでいたものは要は鍵だったようで、そのスイッチを入れたとたん、“マシーン”は宇宙に向かってロケットの如く飛び立ってしまうのでした。しかもどうも進行方向に見えるのは火星っぽい…。ちょっと待てよ…?何と言うオチなのか!VIPが我先に脱出した火星で人類が滅びても一向に構いませんが、実は最初にこの作戦に選ばれた戦士たちに与えられた報酬がVIPしか手に入れられないはずの脱出チケットだったりします。実際ハンターも戦死した友人の家族にそれを譲っていたり…。皮肉なエンディングなのか、悲しいエンディングなのか、何だか良く解らないまま終わってしまうこのアバウトさ加減。うーん、この辺がやっぱりB級の悲しさでしょうか。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:オールメディア同時公開って…
総合評価:62点
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