悲しみよりもっと悲しい物語/슬픔보다 더 슬픈 이야기
元祖韓流スターのクォン・サンウ主演最新作。病で余命がない主人公が、愛する人を幸せにするために自らは身を引きながら彼女に尽くすという哀しくも切ないラブストーリーだ。共演には『卑劣な街』のイ・ボヨン、『カンナさん大成功です!』のイ・ボムスらが出演。監督は本作がデビュー作で詩人のウォン・テヨン。 |
泣ける!でも本当はもっと泣けるはずだ! |
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“『ラブストーリー』、『私の頭の中の消しゴム』に魂の純愛物語”これが本作のキャッチコピーで、『ラブストーリー』はともかく(スイマセン)『私の頭の中の消しゴム』にボロボロ泣いた私としては、割と期待をして出かけたのでした。主演もペ・ヨンジュン、チョン・ウソンと名前では前二作に引けをとらないクォン・サンウですしね。ところが!何だかいつになっても泣けるどころか、うだうだとちっとも話が先に進まない…。「これいつまで続くのかなぁ…」なんて思い始めたラスト20分ほどからが結構来ました。そう、簡単に言うと物語の大半はクライマックスへの布石と言っても良い、そんな構成になっている作品なのでした。


主人公ケイ(クォン・サンウ)がガンか何かの不治の病で余命幾ばくもありません。一緒に住む幼馴染のクリーム(イ・ボヨン)のことを愛してはいるけれど、そのために告白もできない(しない)し、まして結婚など夢のまた夢、だからケイの夢はクリームがいい男を見つけて結婚し幸せになることでした。そして、ケイはそのために一生懸命裏で画策する訳です。……っという所までは予告編でしっかり謳っているので知っていて観ていました。もちろんこのケイのやりきれない悲しみは“悲しみよりもっと悲しい物語”なのだけれど、知っていて観ている以上、物語の大半を閉めるケイ目線での話は、実はそんなに感動するものではありません。


延々と続くこのパートは、ケイとクリーム、彼らの積み重ねてきたもの、それはケイと結婚することになるジュファン(イ・ボムス)のことも含めて、それを知るためにある時間であり、言ってみれば『カールじいさんの空飛ぶ家』の冒頭に映像と音楽だけで綴られる人生のようなものなのでした。クライマックスに向けての助走なだけに、ここはケイの愛情のクリームに対する愛情の深さを見つめたいところです。が!はっきりいっていくらなんでも長すぎ。2人が知り合ったきっかけやら、2人の中睦まじい様子は良いのです。そうではなくてケイがクリームとジュファンを結び付けようとするシークエンスがダラダラと延々見せすぎ。


ケイがどうしたいのかはもう解っているし、ケイの気持ちはその時点で痛いほど伝わってます。故に「くっつけようとしてるのはもう解ったから先行ってくれ…。」というのが正直なところでした。基本的に今回クォン・サンウは全編暗い表情で、いわゆる諦観を漂わせているのですが、それだけに時々見せる喜怒哀楽の感情表現が、効果的に彼の気持ちを伝えてくれました。印象深いのはクリームのウェディングドレスドレス選びに付き合わされた時。ケイもタキシードを着るように言われて2人で写真を撮るのですが、ちょっと照れくさいような、そしてちょっと嬉しそうな控えめな表情が胸に響きました。しかし真に“悲しみよりもっと悲しい物語”はこの後に控えていたのです…。


(ここよりネタバレ含む。)
実はクリームはケイが不治の病であることに気づいていました。その上で、彼の夢が自分が幸せな結婚をすることだというのならば、それを叶えてあげようとするのです。愛しているが故に愛する人の願いを叶える為に愛する人から離れる…あまりにも悲しく切ない決断です。そしてこの時点からクリーム目線での物語へと形が変わるのでした。「ここで振り向いてくれたら抱きしめてあげよう」、「あなたの夢って何?」、クリームの放ついくつものきっかけに悉く引っかからないケイ。はっきりいって、どう考えても残されるほうが辛いに決まってます。自ら身を引いてクリームの幸せを願うといえば聞こえは良いですが、それはあくまでもクリームが彼の秘密を知らないことが前提ですから。


実はこのシークエンスでは、クリームがどれだけケイのことを愛しているのか、その部分が描かれるのですが、ダラダラと長いケイの同様の意味合いのシークエンスに比べてこちらは簡潔にかつ深く私たちに見せてくれます。むしろ中だるみしてしまうよりは、このぐらい短い間に凝縮したほうが観ている側も集中して受け止められるのではないかと感じました。さて、お互いの自己犠牲で相手を愛するのは確かに“悲しみよりもっと悲しい物語”ではありますが、このままでは結婚相手であるジュファンがいい面の皮に……と思いきや、彼の秘密も明かされるのでした。そう、何を隠そうジュファンも元々クリームのことが好きだったのです。


……さすがにこれは蛇足でしょう。少なくとも最初から一切そんな気配は無かったにもかかわらず、最後の最後に帳尻合わせのようにそんな様子を見せられても、ちょっと興醒め。上映時間104分は今時ではむしろ短い部類ですが、それでもちょっと長く感じたのは、元々の脚本自体がそこまでの中身の濃さを持っていないということではないかと思います。それでも確かに泣けました。しかし作り方次第ではもっと大きな感動が得られたのではと思わずにいられません。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:イ・ボヨンて坂井真紀だよなぁ…
総合評価:58点
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