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2010年3月 9日 (火)

モリエール 恋こそ喜劇/Molière

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17世紀フランスの天才劇作家モリエールの若かりし頃を描いたまさにフィクションの伝記だ。まさに映画そのもので舞台喜劇を演じているかのようなストーリーはフランス映画でありながらも明るい笑いが溢れている。主演は『PARIS(パリ)』のロマン・デュリス。共演にファブリス・ルキーニ、リュディヴィーヌ・サニエらが出演。監督はこれが2作目の長編作品となるローラン・ティラール。
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エスプリの効いたフランス喜劇です

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私にとっては俳優・江守徹の名前の由来になったという事のほうが有名なモリエールの伝記モノ。以前から何度も書いているように歴史モノ・伝記モノ大好きな私としてはかなり楽しみにしていた作品でした。結果、予想通り楽しめたのですが、フランス映画でこんなに笑えるとは思ってもおらず、ちょっと意外な気持。まさにこの作品そのものが舞台喜劇のようであり、いわゆるアメリカンなコメディというよりは、本当の意味で計算された上品な質の笑いであったように思います。主人公モリエールを演じたロマン・デュリスは初見でしたが、売れない若手劇作家のイメージが見事にピッタリ。

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というか日本でもそうですが売れない劇作家のイメージってぼさぼさの長髪に無精ヒゲと相場が決まっているのは何故でしょう?(笑)物語はそんなモリエールが13年前を回想する形で始まります。借金が払えず逮捕・投獄されたモリエールは、大富豪ムッシュ・ジュルダン(ファブリス・ルキーニ)に助け出されますが、条件としてジョルダンに芝居を教えることになるのでした。選択の余地の無いモリエールがジョルダンの豪邸にタルチュフという名の司祭として住み込み始め、ここから大いなる喜劇のスタートとなります。そもそもジュルダンが芝居を習いたい理由からして滑稽。

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彼は妻も子もある身でありながら、未亡人となった20歳の公爵未亡人セリメーヌの気を引きたい、あわよくばお付き合いしたい…なんて思っていたのでした。モリエールもさることながらこのジュルダンがキーマンで、いわゆるボケ役を一手に引き受けてくれるのです。ファブリス・ルキーニの演技はこれがもう素晴らしい。どこか子供っぽさを漂わせた表情、特にそのちょっとつぶらな瞳がもう見るからにお馬鹿で、人は良いけれど頭は空っぽな感じがありあり。生まれつきもあるのでしょうが、日本でいうと荒川良々の顔を見たときに感じるような何とも言えず間の抜けた空気感が漂います。(決してバカにしているわけではありません。悪しからず。)

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やる気も無くいい加減なジュルダンに呆れたモリエールは、屋敷から逃げ出そうとしますが、その時に図らずもジュルダンの妻マダム・ジュルダン(ラウラ・モランテ)の着替えを覗いてしまいその美しさに一目ぼれ。人妻へちょっかいを出すのですから、一般的なフランス映画ならもうこれはドロドロの展開が待ち受けているところ。しかしこれは喜劇。モリエールの正体が役者で劇作家だと解ると、意外にすんなり二人はラブラブに…。もともとお間抜けジュルダンにいい加減嫌気がさしていたのと、ジュルダン自身も妻を顧みなかったという部分もあるんでしょうが…。ただ、いくら喜劇といってもこの恋は成就しません。

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ところでこのラウラ・モランテというイタリア出身の女優さん、初めて見たのですがそのスマートな美しさがかなり素敵です。男としてはそのコルセットをしたドレスから溢れんばかり、というか時々溢れていた胸に目が釘付けだったのですが…。劇中、ジュルダンの「胸が丸見えだぞ。隠せ。」なんてセリフもあるのですが、全く持ってその通り。ちなみにとてもではないですが53歳には見えません。物語進むとこのマダム・ジュルダンがモリエールとって大きな存在であったことが判明してきます。即ち、売れない劇作家モリエールに国中で公演をうちながら旅して回るように勧めたのも、いい加減喜劇を卒業したいと悩む彼にアドバイスを与えたのも彼女でした。

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最初に書いたとおりこの物語は今のモリエールが13年前を回想したお話。再び話が今に戻った時、マダム・ジュルダンは病の床にあり、余命わずかでした。結局は今も昔も結ばれることの無い悲恋・悲劇。しかし彼女の存在が劇作家モリエールを生み出したとすれば、それは悲劇が喜劇を生み出したといえるかもしれません。実際にはこの逸話はフィクションだということですが、それにしてもモリエールらしい上手い脚本だと思います。日頃フランス映画は重いから嫌!と思われている方も、この作品に関しては大丈夫。フランス映画の入口には丁度良い作品だと思います。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:リュディヴィーヌ・サニエって30歳なの?うっそー!
総合評価:67点

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