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2010年4月 5日 (月)

半分の月がのぼる空

Photo 原作は橋本紡の同名小説。入院した病院で出会った心臓病の少女、2人がお互いに惹かれ合うのに時間はかからなかった。いっぽうで、少女と同じ病で妻を亡くし、深い心の傷を負った医師はいまだそこから立ち直れないでした…。主演は『砂時計』『ダイブ!!』の池松壮亮と『守護天使』の忽那汐里、共演に『アフタースクール』の大泉洋。監督は『60歳のラブレター』の深川栄洋が務める。
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初々しく切なくそして暖かい…

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定番ものではあるけれど、ちょっと一工夫されたストーリーの流れに感動させられました。本作はメインストーリーとサブストーリーがパラレルに展開していく構成です。といってもサブストーリーは本当にちょっとだけなのですが。メインストーリーの主人公は裕一(池松壮亮)と里香(忽那汐里)。いきなり余談ですが、忽那汐里は「くつなしおり」と読みます。裕一は肝炎で入院した病院で里香に出会うのでした。里香は重い心臓病で、子供の頃からその大半を病院で過ごしてきた少女でした。最初はキツイ性格の里香に閉口しつつも、次第に2人は惹かれあっていく…ああ、なんてベタなパターンなのか。(大好き。)

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彼女はいくつもの病院で手術を断られ、この病院にやってきたのだけれど、結局この病院でも同様に断られてしまうのです。夏目(大泉洋)は妻を里香と同じ病気で亡くしており、自分の無力感に苛まれ心臓外科医を辞めて内科医として生きることにしたのでした。そのため、彼を頼ってきた患者の手術も全て断っています。ある日、里香の頼みで裕一は彼女を砲台山に連れて行くことにするのでした。このあたり病院抜け出しパターンもまた定番ですね。ただ途中警備員に見つかって全力疾走で逃げる里香には思わず「そんなに走ったら病院内で死んじゃわない?」とか思ったり。そもそも彼女の心臓には穴が開いているらしい。恐らく心室中核欠損症とかなんだと思うけれど、病名はハッキリわかりません。

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裕一の学校の文化祭で友達と駆け出したり、劇に出てしまったりと、難病という割には結構普通に見えてしまうのが何だか違和感を禁じ得ず残念なところ。どうせなら彼女の病名をハッキリ言ったらよかったのに…。細かい部分は良いじゃないかと思わないでもないけれど、彼女の難病をハッキリと解らせるにはある程度リアリティある説明は必要なんじゃないかと思ったりもします。裕一の肝炎も、砲台山に里香を連れて行った時にはぶっ倒れてしまったほどで、かなり悪いのかと思いきやあっさり治って退院してしまったりと、その辺にもう少し現実感があればより心に訴えかけるものが大きかったのではないかと感じました。

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と、やたら否定的な事ばかり書いてしまいましたが、裕一と里香がちょっとづつその心の距離を縮めていく様子は甘酸っぱくて純粋で、若者らしい初々しさが良く出ています。2人とも病気で入院しているだけにデートしたりとかの自由がない分、お互いがお互いの存在自体を必要としているという想いがとても良く伝わってくるのですね。里香が転院し手術を受けると決心した夜、裕一のベッドで布団を頭から被って2人で話すシーンはそうして近づいてきた彼らが、心も体も再接近したシチュエーション。変にベタベタとした恋愛モードではなく、好きだけど友達ライクに話す里香からあふれ出す不安や悲しみに胸打たれました。更にいうと、このシーンは最後に繋がる重要なシーンでもあります。

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さて、もちろん裕一と里香のラブストーリーも良いのですが、個人的にはメインストーリーと大泉洋のサブストーリーが最後に来て一つになるという構成にとても感動しました。後から考えてみるといくつかの伏線というかヒントが見せられていて、自分でもそこに気が付いていただけに余計そのオチの鮮やかさに感動したのかもしれません。例えば…(以下ネタバレ)

裕一の高校の女子のセーラー服がいやに古い(現代じゃない?)
里香の心臓病を断る院長(主治医は夏目じゃなかった?)
夏目が手術できないことを詫びた相手が里香じゃない。

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若い2人の甘酸っぱいラブストーリー、死んだ妻をずっと愛し続けるラブストーリー、そして2つのラブストーリーは結局一つだった…。何だろう、最終的に結果だけ見たらバッドエンドなのかもしれない。けれど、転院し手術に成功した里香と裕一が再会し、2人が幸せだった歴史をフラッシュバックしていく回想シーンを見ていると、「よかったなぁ」と思ってしまう…。そして裕一がずっと里香の事を愛し続けていたのと同じく、里香も裕一をずっと愛し続けていた。(それは死んでしまった今でも―)それが解った時に悲しいけれど暖かい涙が出てきたのでした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:濱田マリがまたいいアクセントに!
総合評価:68点

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上映時間 112分 原作 橋本紡 脚本 西田征史 監督 深川栄洋 主題歌 『15の言葉』阿部真央 出演 池松壮亮/忽那汐里/大泉洋/濱田マリ/加藤康起/川村亮介/緑友利恵/森田直幸/螢雪次朗/中村久美/西岡徳馬 140万部を突破した橋本紡の人気恋愛小説を、『60歳のラブレター』の深川栄洋監督が映像化したもの。 {/book_mov/}高校生の裕一(池松壮亮)は、入院先の病院で心臓病の美しい少女・里香(忽那汐里)と出会い、彼女のわがままに振り回されながらも、次第に惹かれていく。里香も外の世界を見... [続きを読む]

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受信: 2010年4月21日 (水) 23時09分

» 半分の月がのぼる空 [『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba]
満ちていくまでの上弦の月は生を、 欠けていく下弦の月は死を ”ありったけの切なさ”につつまれる、涙がこぼれるラブストーリー テレビドラマやアニメにもなった橋本紡のベストセラーライトノベルの実写映画化。 重い... [続きを読む]

受信: 2010年5月 1日 (土) 02時01分

» パジャマの王子様と銀河鉄道の夜。~「半分の月がのぼる空」~ [ペパーミントの魔術師]
半分の月がのぼる空―looking up at the half‐moon (電撃文庫)山本 ケイジ アスキー・メディアワークス 2003-10売り上げランキング : 47576おすすめ平均 そこまで感動はしない実に愛の溢れる物語どこか寂寥感が溢れる作品Amazonで詳しく見る by G-Tools 半分の月がのぼ..... [続きを読む]

受信: 2010年5月11日 (火) 01時50分

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受信: 2010年8月 4日 (水) 19時09分

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