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2010年4月 7日 (水)

カケラ

Photo 俳優で監督の奥田瑛二の娘・安藤モモ子の監督デビュー作で人気漫画家・桜沢エリカの人気コミックが原作。どこか満たされない恋愛をしている少女が、レズビアンの女性と出会い、お互いに惹かれて行く中で自分自身を見つめなおしていく様子を描いたドラマだ。主演は『愛のむきだし』の満島ひかりとモデル出身の中村映里子。共演に津川雅彦、かたせ梨乃らが出演している。
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人は“カケラ”を求める生き物

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不思議な後味の作品でした。そもそも主人公のハル(満島ひかり)が、これが化粧っ気が全くなくいっつも同じ服装(それもパンツルック)の女子大生なのですが、彼女のキャラクター自体がとても風変わりで、作品全体を包むのはその空気といって良いかもしれません。そう、彼女には女性らしい色艶が欠けているのです。しかし、そんな彼女にも恋人はいて、だけれどもその男はどうしようもなく下卑た奴。そんな男に心が満たされない気持ちを抱きつつも離れられないハルは学校近くのカフェで運命的な出会いをします。その相手というのがリコ(中村映里子)。

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リコは簡単に言うとレズビアンでした。ハルを気に入った彼女は言うのです「男も女もないでしょ。要は人よ。」と。この言葉を聞いた瞬間、心にビビッと響いた私は、以後レズであることが殆ど気にならなくなりました。つまり、彼女の言うとおり、登場してくる人物そのものを観る様になったのかもしれません。『カケラ』というタイトル通り、劇中にはいろんな“カケラ”が登場します。目に見えるところでは人の指、耳、おっぱい…え?何事かって?実はリコの仕事は不幸にして事故や病気で体のパーツ=カケラを失ってしまった人のためにそれを作ること。

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彼との付き合いの中で心が満たされない、つまりぽっかりと穴が開いているハルのその穴を埋める役割を、実際にカケラを作っているリコが務めるところが暗示的で面白いです。と同時にリコの求める恋愛の相手、即ちリコの心の穴を埋めてくれるのがハルである訳で、その意味で言えば彼女たちはお互いにお互いのカケラ同士だったのです。少なくともその時は。しかし、ハルは最初それに気付いていませんでした。あいも変わらず下品な彼の元に出かけては無理やり体を求められたり。ただ、嫌がりながらも絶対的に拒否をしない彼女の姿に、私はちょっと違和感を覚えたのでした。

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それが何故かと考えてみると…。つまり男性器は女性の体を埋めてくれる、即ち女性の体にとってのカケラと言えるのではないだろうか…、だからこそ嫌がりながらも何処かで彼が体だけでなく自分の心を埋めてくれる=満たしてくれることを期待して、彼とのSEXを繰り返していたのではないか…、私はそんな風に思うのです。しかし、本来一番良い形は体としてのカケラも心としてのカケラも両方が満たされることのはず。ハルは彼の浮気や、いい加減さに心の穴を大きくしていたため、結果的に心の穴を埋めてくれる存在=リコを求めますが、次第に上手く行かなくなります。

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結局これは、体を提供する彼と心を提供するリコという意味において2人は本質的には同じなのだと思いました。例えばリコはハルが大学の友達との飲み会に参加していると、そこにいる男との関係が気になって乱入してきたりします。だんだんとエスカレートしていくリカの束縛はひたすら心を求めるという意味において、体だけを求める元彼と同じでした。確かに恋愛の対象に男か女かは関係ないのかもしれません。しかし、人間は上手く出来ているもので、基本的には男女はお互いを求めるように出来ています。本作は、昨今崩れかかっている男女の在り方の本質を教えてくれている気がしました。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:志茂田景樹を超久々に見た…
総合評価:67点

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