フェーズ6/Carriers
致死率100%のウイルスが世界中に蔓延し人類の滅亡が迫る中、4人の未感染者の若者が海を目指す…。先にあるのは希望か絶望か。究極の狂気を描いたウィルス・パニックムービーだ。主演は『スター・トレック』で若き日のJ.T.カーク船長を演じたクリス・パイン。共演に『ホースメン』のルー・テイラー・プッチ、『ビバリーヒルズ・チワワ』のパイパー・ペラーボが出演している。監督はアレックス・パストール。 >>公式サイト
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結局何だったのか。殆ど期待せずに観に行きましたが、ある意味期待通りの作品でした。(笑)『スター・トレック』で好演を見せてくれたクリス・パインが観たかっただけという話もあるのですが…。これまでも様々なウイルスパニックムービーが公開されてきましたが、やはり『アウトブレイク』を超えるものはないというのが率直なところです。本作は致死率100%のウイルスが世界中に蔓延し、人類滅亡かという中で、未感染の4人の若者が海を目指して旅をする道程を描いた物語です。何故海かは一応ちゃんと理由があって、4人のうちの兄弟であるブライアン(クリス・パイン)とダニー(ルー・テイラー・プッチ)が子供の頃によく遊びに行った思い出の場所だったから。
そこで食料を溜め込んで外界と隔絶し、ウイルスが死滅するのを待つというのが最終目標らしいのですが、どうにも冴えない目的地とその理由と目標に、物語しょっぱなからテンションは低めのまま…。4人には生き延びるためのルールがありました。それは“感染者と接触しないこと”。単純なこのルールを死守するために、徐々に身近な人間に迫ってくるウイルスの魔の手と、それに対して人間としてある種の狂気を伴った辛い決断をしなければならない苦しみを描いた作品なのです。が、残念ながら肝心のその苦しみや辛さは、これまで観た数々の悲劇的な映画の中に描かれてきたものを超えるようなものではありませんでした。むしろ最近公開された『クロッシング』のような現実に近い話のもつ説得力の足元にも及びません。
物語冒頭、車が故障してしまったため、ガソリンと彼らの車を引き換えに仕方なく仲間に引き入れた感染者の娘と父親。SUVの後部荷台と座席を透明シートで区切るものの、テープで貼り付けてあるだけというアバウトさにまず愕然です。4人は一応N95マスクをしているものの、女性はキャミソール姿、男性はTシャツだったりと、どう考えてもこれまで感染しなかったことが奇跡としか思えないいでたち。父娘の頼みでワクチンを開発しているという施設を訪ねるものの、その研究は失敗していることが判明、この時点で助かるあての無いこの父娘を置き去りにするというのが一応第一の試練でした。ところが、この時にブライアンの恋人ボビー(パイパー・ペラーボ)が少女から感染してしまうのでした。知られたら置き去りにされる、彼女は少女の血を浴びたことを秘密にしたまま旅を続けます。
まあこの後を平たく言うとボビーも結局置き去りにされ、そのボビーから感染したブライアンが今度は弟のダニーによって殺されるという、苦渋の度合いが増していく作りにしてはあるものの、冷たい言い方をすればだから何なんだとしか言いようが無かったりする訳で…。何故なら、治る手段がない以上それはもう最初から想像の範囲内のできごとだから。ダニーが抱える苦悩の描写が役者頼みで、シチュエーション即ち脚本からの手助けがここまで希薄だとどうしても感情移入がし難いのです。結局、本作は物語的にも実際にも一本道をひたすら海に向かって走り、途中土中で寄り道をした先で起こったことを物語の枝葉として描く手法をとっているだけで、それぞれの枝葉のエピソードが本線に何の関わりも持たないことが物語のふくらみを著しく阻害しているように感じたのでした。
例えば、夜に野宿している時に目撃した何者かを追いかける連中は一体何者なのか。ゴルフ場で完全防護服で登場する集団はそこで一体なにをしているのか。普通に考えて疑問が生じるものをそのままほったらかして後は一切触れない…。だったら最初から出す意味も無いです。最後に残って海にたどり着いたのは弟のダニーとその級友のケイト(エミリー・ヴァンキャンプ)でした。もちろん何故彼ら2人が残ったのか、話としての必然性はありません。そもそもこの2人は恋人というほど接近した間柄でもないですし。ラストシーンだけ妙に兄ブライアンとの懐かしい想い出をフラッシュバックさせていましたが、本来話の落とし所は感傷に浸るところではなく、これからどうするのかということだと思うのですが。結局「だから何なんだよ?」というしかない陳腐なお話に辟易とした一作でした。
個人的おススメ度
2.0
今日の一言:マスクしていくと1000円ってのは良かった♪
総合評価:44点

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『フェーズ6』予告編
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» フェーズ6 (試写会) [風に吹かれて]
生き残ることに意味はあるのか公式サイト http://www.phase6-movie.jp4月24日公開治療不能で致死率100%のウイルスが、蔓延した世界。感染を逃れるために車を走らせる、お調子者で [続きを読む]
受信: 2010年4月28日 (水) 06時29分
» 試写会「フェーズ6」 [流れ流れて八丈島]
今日は当直明けなんで、一度家に帰りたっぷり昼寝してから、余裕で試写会に出掛けてきました今晩は、月島ブロードメディア・スタジオ試写室で「フェーズ6」です“フェーズ6”とは... [続きを読む]
受信: 2010年4月28日 (水) 06時39分
» フェーズ6 [象のロケット]
致死率100%の殺人ウィルスが蔓延した世界。 お調子者で粗暴な兄ブライアンと心優しい大学生の弟ダニーは、ブライアンの恋人ボビー、ダニーの級友ケイトと共に、誰もいないメキシコ湾のビーチを目指していた。 そこで病気が死滅するまで外界との接触を絶つつもりだった。 ところが車が故障し、感染者の少女を連れた父親の車に乗ることになってしまう…。 パニック・スリラー。... [続きを読む]
受信: 2010年4月28日 (水) 14時25分
» フェーズ6 [そーれりぽーと]
そういや昨年はGW直前から豚フルエンザで世界中がパニック状態。
フェーズ4からフェーズ5になり、戦々恐々とした中GWはお隣の国に行ってはじけてましたが、今年は金欠で旅行を自粛中。
退屈な7連休初日に『フェーズ6』を観てきました。
★★
ツメが甘すぎるのと、パンチが足りないのとでウィルスパニックものとしては微妙。
台詞の中に出てくる背景と、彼らの行動のギャップが変。
上手くやれば『ミスト』的な不条理劇としても面白い映画にできたはずなのに。
どこに行っても軽装過ぎる主人公たち。
『感染列島』を観てい... [続きを読む]
受信: 2010年4月29日 (木) 21時36分
» フェーズ6 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
低予算で、ありがちな設定にもかかわらず人間の本性を暴く、意外にも出来のいいバニック・スリラーだ。致死率100パーセント、治療薬もないウイルスがまん延する世界で、感染を免れたブライアンとダニーの兄弟は、それぞれの恋人と共に、彼らが幼い頃過ごした思い出の地である...... [続きを読む]
受信: 2010年5月 5日 (水) 23時55分
» フェーズ6 [だらだら無気力ブログ]
致死率100%という謎のウイルスが地球じゅうに蔓延した世界で、感染を 免れた4人の男女が、行くあてもなく終わりが見えない状況下で、必死に 生き残ろうとするサバイバルな状態を描いたパニックスリラー。 致死率100%という謎のウイルスが地球じゅうに蔓延した世界。 治..... [続きを読む]
受信: 2010年5月 7日 (金) 00時07分
» フェーズ6 [元レンタルビデオ屋店長の映画感想]
オフィシャルサイト
致死率100%にもかかわらず、なぜか世界中に蔓延してしまった謎のウイルスによって人類滅亡目前となった終末世界を舞台に、4人の男女の希望の宛ての
ない殺伐としたサ... [続きを読む]
受信: 2010年7月26日 (月) 12時59分
» 【映画】フェーズ6 [★紅茶屋ロンド★]
<フェーズ6 を観ました>
原題:Carriers
製作:2009年アメリカ
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映画館に観に行きたかったけど行けなかった作品。
なんと85分…み、短い。
致死率100%の新型ウイルスが蔓延した世界。殆どの人間が死に絶えてしまった地上を一台の車が走る。
乗っているのは気楽なお調子者ブライアンと、真面目なその弟ダニー。そしてブライアンの彼女のボビーと、ダニーの友人ケイト。
4人は兄弟が昔訪れた事のある海岸を目指していた。その場所は、ウイルスの感染を免れていると信... [続きを読む]
受信: 2010年10月 7日 (木) 20時59分
» フェーズ6 [映画鑑賞★日記・・・]
【CARRIERS】 2010/04/24公開 アメリカ 85分監督:アレックス・パストール、ダビ・パストール出演:クリス・パイン、ルー・テイラー・プッチ、パイパー・ペラーボ、エミリー・ヴァンキャンプ致死率100%全世界感染生き残ることに、意味はあるのか──致死率100%の謎のウイル....... [続きを読む]
受信: 2010年10月 8日 (金) 12時48分
» フェーズ6 [ゴリラも寄り道]
フェーズ6 [DVD](2010/09/15)ルー・テイラー・ブッチクリス・パイン商品詳細を見る<<ストーリー>>致死率100%、治療不能の殺人ウイルスが蔓延した... [続きを読む]
受信: 2010年10月10日 (日) 01時18分
» フェーズ6 / 24点 / CARRIERS [ゆるーく映画好きなんす!]
とにもかくにも面白くないっす(´д`lll)リアルちゃうもん!
『 フェーズ6 / 24点 / CARRIERS 』 2009年 アメリカ 85分
監督:
アレックス・パストール
ダビ・パストール
製作:
レイ・アンジェリク
アンソニー・ブレグマン... [続きを読む]
受信: 2010年10月14日 (木) 19時03分
» 【フェーズ6 (2009)】 異色ホラー [明るいときに見えないものが暗闇では見える。]
■『フェーズ6』予告編(Youtube)
【ネタバレありますが、特に読んでも問題ないでしょう】
はい、上の予告編見ましたね。
もう私も四半世紀はゾンビ嗜好者やってますので、どうしてもこういう類の映画が出ると気になってしまいます。たとえそれがツマラナイという評判であっても、知人から観る価値なしと報告を受けていても、映画サイトでの評価が★1つでも、一度気になった作品は必ずTSUTAYAで手にとってしまうのです。
特に感染ホラーは大好物です。ここしばらくは『28日後/28ヶ月後』や『REC1/... [続きを読む]
受信: 2010年10月27日 (水) 23時02分
» フェーズ6 [映画、言いたい放題!]
タイトルの「フェーズ6」とは、
WHOの定めた最高度の感染症警戒レベルであり、
パンデミック警告状態のこと。
公開当時、
インフルエンザが流行っていて、
遠いところにあった、フェーズとかバンデミックという言葉が
急に身近になって怖かったです。
近未来、
世界... [続きを読む]
受信: 2010年11月27日 (土) 14時19分
» 映画『フェーズ6』を観て [KINTYRE’SDIARY]
10-29.フェーズ6■原題:Carriers■製作年・国:2009年、アメリカ■上映時間:85分■鑑賞日:5月2日、シネマスクエアとうきゅう(歌舞伎町)■料金:1,800円■字幕:伊東... [続きを読む]
受信: 2010年12月23日 (木) 21時35分
» フェーズ6 [Recommend Movies]
致死率100% 全世界感染
生き残ることに、意味はあるのか-
レンタル屋さんのモンスター・パニックコーナーに置いてあったDVD
っつーか モンスターじゃねーし(^_^;
致死率100%のウイルスが蔓延した...... [続きを読む]
受信: 2011年2月 7日 (月) 10時37分
» フェーズ6☆独り言 [黒猫のうたた寝]
WOWOW放送で鑑賞したクリス・パイン出演作。近未来、致死率の高い感染症が蔓延し生き残った兄弟と兄の恋人、弟のガールフレンドの4人は安全な場所を目指し車で旅をしていた。でも結局、4人のうちの一人が感染し、生き残る為に感染者は切り捨てられていく・・・ロードムービー... [続きを読む]
受信: 2011年5月22日 (日) 07時44分
» フェーズ6 [SUPER BLOG.JP]
原題が「CARRIERS」。
なぜ邦題「フェーズ6」になったのか?理由わからず。
「キャリア」って日本でも病気に感染したヒトのことを指す言葉として最近は認知されてるんじゃないのかなぁ?
まあ、そういう映画なのです。
人類に蔓延してしまった「死のウイルス」。
致死率100%。(汗)
空気感染するし、もう手が付けられない。
人類はどんどん死んでいく。
そんなストーリーの映画です。... [続きを読む]
受信: 2011年5月23日 (月) 10時44分
» 映画評「フェーズ6」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆★(3点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督デーヴィッド・パスター、アレックス・パスター
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2011年8月 2日 (火) 11時44分
» 『フェーズ6』 [cinema-days 映画な日々]
フェーズ6
ウイルスが蔓延し人類が殆ど滅亡した中、
新薬を求めて旅する4人を待っていたのは...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞)
原題:Carriers(保菌者たち) [続きを読む]
受信: 2011年11月20日 (日) 23時35分
» ゾンビの出ないゾンビ映画 『フェーズ6』 [ひたすら映画を観まくる日記アルティメット・エディション]
■ストーリー『荒野を走る1台のベンツ。乗っているのは兄ブライアンと弟ダニー、それにブライアンの恋人ボビーとダニーの女友達ケイトの4人。彼らの目的は感染者との接触を避け、 ... [続きを読む]
受信: 2012年4月20日 (金) 11時44分
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