書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-

大きな紙の上で音楽に合わせて文字や簡単な絵をしたためる「書道パフォーマンス甲子園」。愛媛県四国中央市で開催されたこのイベントの誕生と、それにかける高校書道部の男女を描いた青春ドラマだ。主演は『武士道シックスティーン』の成海璃子。共演に山下リオ、桜庭みなみらフレッシュな若手が出演している。監督は『マリと子犬の物語』の猪股隆一。
>>公式サイト

感動した！ｂｙ香奈

　あらすじ・作品情報へ　

←みなさんの応援クリックに感謝デス

書道パフォーマンスとはなんぞや？正直言ってその語感から既にあまり良いイメージを受けません。ところがどっこい！この書道パフォーマンスに最後には泣かされるとは思いもよらず。思いのほか感動した作品でした。４ｍ×６ｍの巨大な紙の上に音楽に合わせてパフォーマンスを交えながら書道をするそれが書道パフォーマンス。ちなみに「書道パフォーマンス甲子園」は正確には「全国高校書道パフォーマンス選手権大会」というそうな。元々愛媛県立三島高等学校書道部から始まったこのイベントを愛媛県四国中央市の四国中央高校に置き換えて映画化したのが本作と言う訳。書道というとどうしても競技とは思えないけれど、巨大な筆を操り凄い形相で文字を書く成海璃子を観ていると、こりゃ立派にスポーツだという感じすらしました。

今回の成海璃子は四国中央高校書道部部長・早川里子役。『武士道シックスティーン』ではないですが、部でも抜き出た実力の持ち主です。最初は「書道は個人でやるものだ！」と仲間が悩みを抱えていても関知しない姿勢を貫いているんでどうしても部の雰囲気はピリピリした感じに。そこを上手く和らげる役割が明るく元気な篠森香奈（桜庭みなみ）でした。物語は主にこの２人を軸に展開していきます。それにしてもちょっとキツ目の表情の成海璃子はやはりイイ。この人『武士道シックスティーン』でも書きましたが、ニコニコ可愛らしい女の子よりこの方が絶対ハマる。桜庭みなみが可愛い子の役なんで、被ってないのは正解です。ちなみに書道部の女子５人は一人が１９歳ですが後は皆１８歳、実際に現役女子高生だけに、等身大の女の子は流石にリアルです。

さてある日、書道部顧問となった池澤（金子ノブアキ）が部員集めのために見せた書道パフォーマンス、これに部員の好永清美（高畑充希）が夢中になってしまうのでした。実は今回誰よりも一番良い演技ではないかと思っているのがこの高畑充希。個性的な声、自分の位置をよく理解した役作り、若い女優にありがちな変な芝居っ気がない素直な演技、故に彼女の語る台詞が彼女の語る言葉になっていました。ちなみにポジション的には５人のうちでは４番手ではあるもののストーリー展開上重要な人物です。彼女の家の文具屋の閉店セールのために書道部として書道パフォーマンスをやろうというのが、そもそも「書道パフォーマンス甲子園」に繋がって行くのですから。

渋々協力したこおパフォーマンスは見事に大失敗。でもこの大失敗するシーンは結構笑えて面白い中盤の見所でもあります。清美が引っ越して行くのを契機に、里子は岡崎美央（山下リオ）が部活に来なくなった理由が判り、中学時代苛めにあっていた山本小春（小島藤子）の心の支えが書道だと知ります。これ以上友達を失いたくない、自分たちの生まれ育った街が寂れていくのを放って置きたくない、そんな想いが募り遂に彼女は部員たちと協力して「書道パフォーマンス甲子園」を開催しようと決意するのでした。ちょっとこの辺りの展開は間に合わせのための急展開過ぎる気もしなくはないのですが、やはり部活動ものの映画としては、全員が力を合わせて何か一つの目標に向かって突き進むシークエンスというのは観ていて気持ち良いのでした。

この手のスポーツ青春ドラマだと必須シーンであるランニングシーンも何故かきちんと用意されているのがちょっと可笑しかったり。「書道は体力だ！」って池澤の言い分も分からなくはないですし、実際冒頭に書いたとおり、巨大な筆を振るう里子を見ればその通りだとは思うのですが、劇中でも部員たちが「（私たち）書道部だよね？」と愚痴ってる気持ちは観てる方にも良くわかります。第一回書道パフォーマンス甲子園の出場校は４校。このシーンはホンモノの書道ガールズたちが実際にそのパフォーマンスを見せてくれます。これが圧巻！いやぁちゃんと観たのは実は初めてなのですが、何と言うのか上手く言えないものの、その躍動感・迫力・迸るエネルギーに実に魅せられるんです。

では俳優たちが演じる四国中央高校書道部は？これがどうしてなかなか負けてない！見せ場である里子の巨大な筆で「再生」の文字を書くシーン、実はこの筆は墨を含ませると２０キロにもなるそうですが、この時の成海璃子は演技というより本気の書道ガールそのものに見えるし、彼女自身もそのつもりだったハズ。沸きあがる拍手は演技指導によるお仕着せの拍手ではなく、彼女の気迫が招いた真実の拍手だったのではないかと思いました。現在公開中の成海璃子の「道」２本、本作と『武士道シックスティーン』はどちらも甲乙付けがたいほどおススメです。

個人的おススメ度：3.5
今日の一言：和が似合う女の子たちが素敵
総合評価：71点

↑いつも応援して頂き感謝です！
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

『書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-』予告編