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2010年5月27日 (木)

ヒーローショー

Photo 『パッチギ』が大ヒットした井筒和幸監督が前作から3年ぶりに送る青春バイオレンスムービー。主演は人気若手お笑いコンビ「ジャルジャル」の2人。M-1優勝を夢見る若手お笑い芸人の主人公が、ひょんなことから巻き込まれた事件の中でもがき苦しみながらも大切な何かを見つけてゆく。現代の若者たちが内に抱えるモヤモヤした気持ちを、暴力で叩きつけたバイオレンスシーンに注目だ。
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ヒーローでいたかった勇気とユウキ

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言いたいことは解るけれど、作品としては微妙。というかいま一つ面白くない。ただ日頃のメディアや映画評論を通して感じる井筒監督らしさは良く出ていたようには感じます。もっとも良くも悪くもですけど。ですから監督のファンで監督の映画に対する思想に肯定的な方なら面白く観られるでしょう。今回主演を務めた人気若手芸人“ジャルジャル”は後藤淳平が元自衛隊員の石川勇気を、福徳秀介が売れない芸人・鈴木ユウキをそれぞれ演じていますが、個人的な本音を言えば安易にお笑い芸人を俳優として起用する風潮には嫌気が差しています。監督も「彼らを起用したのは吉本興業製作の映画だったから。」と話していますし。ただし、今回の彼らの演技は想像していたよりずっと良かったと思っています。特に後藤淳平の不器用で素直になれない男の演技は、技術的にどうこうではなく、もって生まれた雰囲気を感じました。

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さて本作のストーリーはその勇気ではなくユウキの方を軸に最初は展開して行きます。売れないお笑い芸人のユウキは先輩で元相方の剛志(桜木涼介)に誘われてヒーローショーのバイトを始めるのですが、この剛志の恋人をバイト仲間のノボル(松永隼)が寝取ったことが事件の始まりでした。ショーの最中に殴り合いのケンカをになり、結局剛志は友人のチンピラヤクザに頼んで、ノボルとノボルの側についた勉(米原幸佑)を脅し金を要求します。困った勉は兄の拓也(林剛史)に相談し、そこで元自衛隊員の勇気に助っ人を頼み剛志たちに報復を企てると。前半はこんな流れで展開してゆくのですが、簡単に言ってしまうと勇気が本格的に登場するまではすこぶるつまらない映画で、観ていてどうしようか頭を抱えそうになってしまったほど。とにかく笑うとか感動するとか怒るとか…、観ていてこちらの心を動かす要因が殆どないというのも本当に珍しい…。

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観客席から漂う空気もなんだか呆然といった感じで、最初のうちはチラホラ笑いも聞こえていたものの、次第に水を打ったようにシーンとなっていました。観ているものに対してどう反応して良いのやら解らないといったところでしょうか。余りにつまらないヒーローネタに、何の魅力も無い登場人物、どうでも良いところで恋人とノボルのベッドシーンをだしながらも、何のエロさも感じない。134分もの尺があってもこの前半で無駄に使っているとしか言いようがありません。そんな中、勇気たちが登場してくると、ようやくそれぞれの登場人物も自分の居場所を見つけたかのように、物語に感情がでてくるのでした。勝浦に呼び出された剛志とチンピラは、彼らにボコボコにされます。ここは恐らく嫌悪感を抱く人も多いでしょう。意識が殆どない相手をパターで何度も殴りつけ、挙句は金属バットで頭をぶん殴る…まさに半殺し。

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何しろ劇中で殴っている登場人物たち自身が内心やりすぎだと解ってやってるんですから、観ているほうにだってそりゃ伝わります。もっともそうは言ってもこのシーンが良くも悪くも井筒監督の真骨頂でしょう。解っていてもとめられない若者の暴走、誤った力の解放を表現する手法としてはある意味解り易いと言えます。さて、ユウキは幸か不幸か剛志とチンピラのパシリでしかないことでリンチには合いませんでしたが、その代わり虫の息の2人を生き埋めにする手伝いをさせられてしまいます。ところが!埋める場所に向かう途中、ドライブインで休憩中にチンピラのほうは何と意識を取り戻し脱出に成功してしまうのでした。この段階で勇気たちご一行様に死亡フラグが立ったのは言うまでもありません。問題はそれがいつ訪れるかということ。仕方なく剛志だけを生き埋めにすることにしますが、ユウキは埋める穴に無理矢理命じられて突き落とし共犯にさせられます。

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この後、ユウキと勇気は徐々に心の距離を近づけていくのですが、それはお互いの中に思うようにいかない、若者同士に共通の苛立ちを感じたからでしょう。決して裕福ではない親に金を出してもらいながらM-1優勝を夢見るユウキ…それがいかに難しいことで、それに対して今の自分がいかに中途半端なのかは自分が一番良く解っています。「お前人間のクズだな。いつまでもM-1優勝とか妄想抱いてんじゃねーよ!」という勇気の言葉に「妄想を抱いて何が悪いんだ!」と反論するユウキ。しかしここで勇気は気づきます。自分もこいつと同じであさみ(ちすん)と石垣島に店を出すなんて淡い妄想をいだいているじゃないか…と。内心の想いとは裏腹に、人を殺してしまった自分、そして仲間の前では強く見せようとする自分、そして情けないユウキはそんな自分にの映し鏡…。結局2人とも夢という妄想を抱きながらやってることは親の前で、恋人の前で、仲間の前でヒーローを演じているだけ。

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勇気は饒舌でもないですし、本当に不器用な若者ですが、こうした心情の移り変わりが後藤淳平の演技からしっかり伝わってくるのにはちょっと驚きです。冒頭にも書きましたが、雰囲気を持った良い“俳優”だったと思いました。ハッキリ言ってジャルジャルなど面白いと思ったことはないですが、彼の演技力は今後が楽しみ。福徳秀介は…下手だとは思わなかったけどもういいかな。(苦笑)そうそう、こう書くと何やらめでたしめでたしに聞こえますが、死亡フラグは消えてません。で、当然その時はやってきます。もっとも勇気が本当に死んだのかそうでないのかは解らないままですが。彼ら若者の気持ちの描き方は上手いのでその部分はとても伝わって来ましたが、映画そのものの完成度としては低いと思います。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:後藤で★1つ!
総合評価:60点

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『ヒーロ-ショー』予告編

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