処刑人
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10年前の作品とは思えない出来栄え |
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まもなく続編の『処刑人II』が公開されるということで予習です。一度観たハズですが、流石に約10年前の作品ともなると殆ど覚えてない…。もっとも今回改めて観直して感じたのは、2010年現在でも十分に通じるハイセンスかつ渋いバイオレンスアクションムービーだということでした。正直言って決して売れっ子映画スターとは言えない2人、ショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスがそれぞれコナーとマーフィーのマクマナス兄弟を演じるこの作品、そこに一本芯を通しているのは名優ウィレム・デフォーの存在です。というか、アクションシーン以外ではデフォーの存在感は圧倒的。FBI特別捜査官のポール・スメッカー役ということで、基本的にマクマナス兄弟との2Sは殆どありませんが、そうでもしないとマクマナス兄弟がかすんじゃいます。


舞台はボストン。ひょんなことからロシアンマフィアの1人を殺してしまった兄弟ですが、正当防衛が認められ無罪放免になるものの、留置場の中でなんと「悪なる者を滅ぼし、善なる者を栄えさせよ」と神の啓示を受けてしまうのでした。と書くと僅か数行ですが、実際にはここに行き着くまでが結構長かったり…。序盤は正直ちょっと退屈です。しかし啓示を受けてから先がいよいよ本番。イタリアンマフィアの運び屋ロッコ(デイヴィッド・デラ・ロッコ)を加えて3人でマフィア連中を殺しまくります。これがまたショーンとノーマンが実にカッコいい!一応双子という設定なんで身長体格ほぼ同じ。そんな2人が両手に拳銃を持ち撃ちまくるポーズは、まるで香港ノワールを思わせるほど決まってるんですね。


一方で殺されまくるのが悪人どもとはいえ殺人は殺人。ボストン市警とFBI捜査官スメッカーは操作を始めます。ちなみにこのときのスメッカーが現場で見せるエキセントリックな行動がかなり見もの。余談ですがオペラを聴くのにCDウォークマンを使っているところが懐かしい。(笑)しかしエキセントリックではありながら、類稀な推理力で現場で起こったことを推測する訳です。まるでスメッカーと兄弟たちが現場に一緒にいるかのように。ちなみに、それだけ切れ者の捜査官の顔を持ちながら実はゲイだったりするところが恐ろしい…。というか、正直ウィレム・デフォーが男と寝ているところはあまり観たくないカットです。(苦笑)


さて標的となっているヤカベッタ(カルロ・ロ)たちは兄弟たちを殺すために、刑務所から最強の殺し屋エル・ドゥーチェ(ビリー・コノリー)を仮出獄させるのですが、この人見た目は普通におじいさん。しかしタダのおじいさんではなく、クレイジジー。そしてこのクレイジジーは何とマクマナス兄弟の父親だったりするからややこしい。もっとも解ってみればあの親にしてこの子ありってなわけで、兄弟のクレイジーっぷりも素直に納得できるというものではありますけども。しかしながら最初はそんなことに気づくわけもなく、マフィア幹部を襲って家を出た兄弟たちにイキナリ拳銃乱射と手荒い歓迎。ここで吹き飛ばされたロッコの指からスメッカーに兄弟たちが犯人であることがばれてしまいます。


しかし!日頃から己の無力さに疑問を抱き、兄弟たちが悪人を処刑していることは“正義”なのではないかと考え始めるスメッカー。この辺の心理的な変化は実は最初に彼が事件現場に登場したときの様子と後の様子の違いに現れていました。先に書いたように、最初はオペラなんぞを聴きながら、あくまでもスマートに推理するのに対して、兄弟がエルに襲われた現場では服装も乱れまくり、何かに取り憑かれたかのようで、顔には半ば狂気が宿っています。この辺の演じ分けはさすが名優ウィレム・デフォーで、観ている時には気にならないけれど、最終的に気付くと実は徐々に追い込まれていたことが解るという実に好演でした。


結局兄弟たちに手を貸すスメッカー。そしてエルと兄弟はヤカベッタの公判に乱入し、彼をに神の裁きを下すのですが、このシーンが圧巻!彼らがヤカベッタだけでなく、そこにいる全員に言った台詞。それは即ち悪を見逃す事は悪に加担しているのと同じだと言っているかのようでした。(詳しくは下に。)最後に街頭インタビューで、聖人(セインツ)と呼ばれるようになった彼らのしたことに対する一般人の反応が映し出されますが、恐らく本作を観た人たちの中にも色々と意見はあるでしょう。とはいえ日本にも「必殺!仕事人」もいますからね。個人的にはこんな作品も大好きです。…っと言うわけで、続編『処刑人II』では事件が終わり、アイルランドに亡命したこの3人が再びボストンに戻ってくるところから始まります。(to be continued...)
個人的おススメ度4.0
今日の一言:父と子と精霊のみ名において…
総合評価:77点
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クライマックスの決め台詞 |


コナー よく聞け
マーフィー 貧乏も飢えも許す
コナー 怠慢も堕落も許す
マーフィー だが不正は許さん
コナー 悪事は見すごさない
マーフィー 地獄の果てまで追いつめる
コナー 悪事を働いた者を殺し
血の雨を降らせてやる
マーフィー 殺すな 姦淫するな 盗むな
これが神を信じるものの掟だ
コナー 人としての基本的名振る舞いだ
守らぬものは死で報いよ
マーフィー 罪悪にも程度がある
それが軽い罪悪ならばとがめはしない
だが度を越せば俺たちの出番だ
コナー お前たちも罪を犯せば
必ず俺たちが現れる
それは報いを受ける時だ
マーフィー 好きな神の下へ送ってやる
マクマナス家に伝わる祈りの言葉 ![]() ![]() 主のために守らん 『処刑人』予告編 『処刑人II』予告編 |
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