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2010年5月30日 (日)

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

Railways 東京の一流企業に勤めるエリートサラリーマンが50歳を目前に、幼い頃からの自分の夢だった「“一畑電車”の運転士になる」を実行に移す姿を中心に、家族の絆、人との触れあいを描いた人間ドラマだ。主演は『ザ・マジックアワー』の中井貴一、共演に『ドロップ』の本仮屋ユイカ、『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』の高島礼子が出演。監督は作品の舞台となっている島根出身の錦織良成。
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一言でいうなら“とても良い話”でした。舞台が島根県の田舎というだけあって、決して派手ではないですし、主演の中井貴一からして演技派ではありますが、どちらかといえば地味な感じです。しかし、この作品の場合、その地味さのなかに人の心の温かさや優しさが沢山詰っていました。主人公の筒井肇(中井貴一)は一流企業のエリートサラリーマンで時期取締役候補。妻の由紀子(高島礼子)は専業主婦からハーブティーのお店を開いたばかりで2人とも仕事に追われる毎日を送っています。一人娘の倖(本仮屋ユイカ)はバラバラになっていく家族に苛立ちを隠せません。とはいえ観ている限り、肇とて仕事一筋という露悪的な描かれ方ではなく、むしろどちらかといえば今の時代のごく一般的な父親像のように見えます。良くあるような、家に帰ってきても娘は無視して口も利かないなんてことはありませんし。

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そんな肇に転機が訪れます。それは肇の母・絹代(奈良岡朋子)が倒れたという知らせでした。さらに母を見舞っている肇のもとに同期で親友の川平(遠藤憲一)が事故死したとの連絡がはいります。二重のショックを受ける肇は、子供の頃に集めていた電車の切符をみて自分の夢を思い出すのでした。それは地元のローカル線“一畑電車”の運転士になるということ。人生の儚さを親友の死で自覚して悩んでいるところに、母の精密検査の結果で末期のがんが見つかったことも重なり、肇は自分の夢を追うことに決めるのでした。それは即ち一度しかない人生を思うがままに生きつつ、しかも残り少ない人生の母のもとにいてあげられることをも意味する訳です。実に上手い脚本の流れに感心しつつも、私には同じことは出来ない、そこまで自分に自身がもてないと考えてしまったり…。

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ところでこの一畑電車という会社、エンドロールを見たらなんと実在の会社なんですね。作品の象徴的な車両として扱われている「デハニ50形」は現在は営業運転からは引退しているそうです。さて、この時同期入社した宮田(三浦貴大)と共に肇は運転士になるための訓練を受けることになるのですが、その舞台となるのが私の地元・調布を走る京王線なのが嬉しいところ。余談ですが、どおりで中吊り広告にやたらと本作の宣伝が多いはずです。(笑)見慣れた京王線の電車を中井貴一が運転する様子は映画の中とはいえちょっと不思議な気分でした。で、晴れて2人とも運転士に合格します。ちょっと幼い頃からの夢にしては簡単に叶ってしまったなぁという気がしないでもないんですけどね。

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しかし、今回の場合は夢をかなえる最大の障壁は、肇の年齢で今の仕事、それも取締役直前のエリートサラリーマンを棒に振るという点なんで、広い意味では決して簡単ではなかったといえるんでしょう。同期の宮田は元高校球児なれどもひじを壊して、仕方なく一畑電車に就職した若者。当然ながらこの宮田と肇が絡む事件は用意されているのですが、その事件もまた実に島根の田舎を舞台にしたに相応しいものでした。肇は倖に言います。「楽しい仕事なんてないと思ってた。」と。子供の頃からの夢の仕事をしている肇にとっては、全てが苦になりません。その気持ちが真心をもってお客さんに対応することに繋がり、それがその事件の時に結実することになる…。

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簡単に言うと宮田のミスをかばって辞めようとする肇を、お客さんが止めるというシーンなのですが、それは都会ではちょっとありえないけれど、人と人との繋がり、人の温かさ・優しさを感じるとても素敵なシーンでした。絹代の入院している病院のすぐ脇を通る一畑電車。子供の頃からの夢を叶えた息子を見る母の目は、限りない慈愛と喜びに満ちています。これほどの親孝行はありません。振り返るにろくに実家にも帰らない我が身の不明を恥じるばかりです。さて、肇が島根で運転士になりましたが、由紀子は東京に店を開いている関係上、どうしても2人は離れ離れに生活せざるを得ません。由紀子はその辺りを悩んでいました。

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恐らく由紀子は、肇が電車を運転する姿をみて、離婚を思いとどまったのだと思うのですが、この辺がちょっとわかり難いのと、今後も夫婦なのに東京と島根と離れ離れに暮らすの?という、およそ現実的ではない結末がちょっと気持ち的に引っかかりを残したまま終わってしまったのが残念なところでした。そうそう、宮田が何となく倖を気にかけるような素振りをしていたのも、その後どうなったのかがちょっと興味が湧くところではあります。自分が生き甲斐を感じてできる仕事をしている人は、特に今の世の中では非常に少ないです。その意味では肇はとても幸せな人間なんでしょう。しかし、何に生き甲斐を、幸せを感じるかは人それぞれ。自分はどうなんだろう?とちょっと振り返らせてくれる作品でした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:島根といえば鷹の爪団だったのだけど…
総合評価:70点

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『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』予告編

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コメント

こんにちは♪

>京王線

ボクの場合は通勤ではなく飛田給に行くのに使う
電車なんで、馴染み深くもあって何かウレシクな
っちゃいました。

肇の夢が叶ってしまう行は出来過ぎた感があって
気持ち首を傾げてしまうところが無きにしもでし
たが、温かみがありユッタリトした展開で最後ま
で心地よく観ることが出来ました。
ただ、他のエピを欲張り過ぎた感もあり上映時間
130分はちょっとキツいものがありました。
島根のキレイな景色と東京ではあまりお目にかか
れない単線で少数編成の一畑電車の組み合わせは
鉄ちゃんならずともでしたよね♪ (゚▽゚)v

投稿: 風情♪ | 2010年5月30日 (日) 10時20分

◆風情♪さん

こんにちは^^

なるほどなるほど、そりゃ確かにそうだよね~。でも多分このブログを見てくださっている方の中でも、私と風情♪さん以外には物凄く解らない方が多いであろうローカルな話題ですねー。(爆)

そうそう、あのゆったりとした展開が一畑電車らしい展開というか、心地よいんですよね。鉄ちゃんにとってはもしかして当たり前の事かもなんですが、門外漢にとっては風景も含めて、なんか惹かれますよね。^^

投稿: KLY | 2010年5月30日 (日) 22時06分

こんばんわ♪
自分の記事のコメントにも書きましたが、
夢意外にアッサリかないましたよね(笑)
地元出身ではあるけれど、いつの間にかお祭りで船頭をするくらい地域密着してるし(笑)
でも、全部ベタで押し通す感じがよかったです。
バタデンの風景もノスタルジックでしたし。
確かに、夫婦の絆の部分をもう少し掘り下げてほしかった気はします。
実は由紀子が密かに病院に通っていたということが分かるハーブティーのエピソードは、
高島礼子が是非入れて欲しいとお願いしたそうです。
あのシーンがないと由紀子の存在感が薄かった気がするので、
追加されて良かったと思いました。

投稿: maru♪ | 2010年5月31日 (月) 01時36分

◆maru♪さん

こんばんは☆
だよねー。夢にときめいて明日にきらめく暇も無いぐらいサクッと。(笑)
もうあのお祭りの時には、一畑電車の筒井さんってある意味有名人なのかも。^^;

そうなんだ、あのシーンは高島さんの希望なんだ。でもそうですよね。アレがなかったら殆ど存在理由が無いというか、別に出てくる必要なくなっちゃうし。ちょっとエピソード的に多かったんですよね。だから、それぞれもうちょっと深く観たかったかなって。これ連ドラとかにしたら結構面白い作品になりそうな感じがします。

投稿: KLY | 2010年5月31日 (月) 01時55分

バタデンのデハニ50形乗ったことあるんですよ。景色は抜群にいいし、最高です。この車両、観光のためにまた復活するみたいですよ。

投稿: 佐藤秀 | 2010年5月31日 (月) 15時37分

◆佐藤秀さん

おお!まじですか!そうだよなぁ、外から見てるだけでも凄くよさそうな景色だったし。なるほど、今何気に鉄道ブームだったりしますしね。

投稿: KLY | 2010年6月 1日 (火) 00時18分

KLYさんこんにちは
そうですね。中井貴一は貴重な俳優の一人になりましたね。しみじみと淡々とこの役を演じていましたからね。
自分が生き甲斐を感じてできる仕事ですか、なかなか難しいですね。一定期間は生き甲斐を感じても、一生生き甲斐を感じ続けることは、ほぼ不可能でしょうね。
だいたい長くとも5年周期というのが、人間の性であるような気がします。

投稿: ケント | 2010年6月 2日 (水) 12時35分

宣伝では華麗なる?転職が前面に出ていましたが、
物語の根底には人と人の繋がりが描かれていて
観終わってから時間が経つにつれて
色々な想いが湧き出てくる作品でした。

投稿: michi | 2010年6月 2日 (水) 12時53分

◆ケントさん

こんんちは。
中井貴一さんの人柄の良さがそのまま出ている役ですもんね。この人昔からあんまり突拍子も無い役をやらないですが、その分自分の守備範囲の作品では無類の強さを発揮するタイプだと思います。
一生は無理ですねぇ。私も好きで今の仕事に就きましたが、今では正直そこまで生き甲斐は感じてません。(笑)


◆michiさん

逆ならともかくこの場合あんまり華麗じゃないですよね。(笑)まあ転職がテーマじゃないので別に良いのですけど。仰るとおり、見終わってからジンワリ来る作品で、私も記事を書きながら色々思い出しては考えてませした。

投稿: KLY | 2010年6月 3日 (木) 00時59分

最後まで乗っててくれよっていうセリフでストンと落としちゃいましたね。
余計なことをしゃべらんでもわかりあえる夫婦になってることが条件ですが。(笑)


いろんな意味でファンタジーやなとは思ったんですが、ホントええ話でした。好きを仕事に出来てその幸せそうな顔が親孝行になるって理想の親子ですよね…

投稿: Ageha | 2010年6月 3日 (木) 13時49分

◆Agehaさん

いい感じでまとめてはくれてたんですよ。それは解るんですが、やはりちと多牌かなぁ。好きなんですけど、だからこそ余計深い部分が気になっちゃいます。
やっぱりこういうのを連ドラにしてもらえるといいんだけどなぁ。

投稿: KLY | 2010年6月 3日 (木) 16時14分

こんにちはー♪

見に行ったときはどうだろう?って思っていたら、面白かったです!
笑えるところもあり、ホロリと来るところもありで、良かった♪

運転士になるまでがあっさりとなってしまったのがちょっと拍子抜けしましたけど、その後のエピソードもじんわり来る話しで良かった^^

投稿: みすず | 2010年6月 4日 (金) 15時10分

◆みすずさん

こんちゃ~☆
そうそう、何だか思ったより簡単に運転士ってなれる?とか誤解されそう。^^;
子供がやりたい仕事を活き活きとしてる姿を親に見せられたら、そりゃ親はほんと幸せだろうけど、中々現実的には難しいよねぇ。好きなことを仕事に出来るだけで幸せだし。
しかし中井貴一さんがこれほど電車の運転士が似合うとは!(笑)

投稿: KLY | 2010年6月 4日 (金) 23時32分

今日見ました。良い映画でしたが、ちょっと長いかなあ。
ちと多牌、っての言い得て妙です。
父親を亡くしたばかりなので、私もこの主人公の生き方はちょっとうらやましいと思いつつやはりファンタジーだと思いました。
中井貴一、いい役者になりましたね。
最近、インタビューを読んだら、中井貴一、父親(佐田啓二)の亡くなった37歳で自分も死ぬと思っていたそうです。
父親の歳を超えてから色々心境の変化があったのかな。

投稿: きさ | 2010年6月10日 (木) 23時18分

◆きささん

ですね。あんまり現実的に観ても仕方ないけど、やっぱり私だったら一流企業の取締役手前では辞められないです。そう考えると現実的でないという意味と、文字通り夢があるって意味でファンタジーですよね。

へー、そんなこと思ってたんだ。でも実際、彼は年取ってからの方が断然良いと思いますもん。彼の中で何かが変わったのかもですねぇ。

投稿: KLY | 2010年6月11日 (金) 02時06分

KLYさん。こんにちは。

いい話ですよね。
夢。忘れてはいないんですが、行動に移すのはなかなか勇気がいることです。

主人公が、考え方が変わってゆく流れがわかりやすく、共感が持てる作品だったと思います。

投稿: de-nory | 2010年8月16日 (月) 12時38分

◆de-noryさん

こんにちは。
全くいい話でした。中井貴一さんの人柄がにじみ出るような芝居が本当に好きです。この人は良い意味で、善人の役がピッタリですよ。
今時の派手な作品の中では、こじんまりした作品ですが、こういう作品こそ邦画の良い点がでると思うので大切にしたいものです。

投稿: KLY | 2010年8月17日 (火) 01時30分

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受信: 2010年8月12日 (木) 01時36分

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「ゆっくりでいい。一歩ずつ前に進んでいれば、それでいい」 【STORY】(goo映画様より引用させていただきました。) 「goo 映画」こちらから{/m_0156/} トラックバック RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 - goo 映画 人生において、「ここは動いた方がいい。」そう感じる瞬間というものは、あるものである。 会社の取締役にまでなろうという男の、人生を変えてた決断。子供の頃の忘れていた夢。電車の運転士になること。 私も中井貴一演じるこの男と近い年代。 こ... [続きを読む]

受信: 2010年8月16日 (月) 12時39分

» mini review 10505「RAILWAYS」★★★☆☆☆☆☆☆☆ [サーカスな日々]
仕事に追われ、家族を省みることのなかった50歳目前の男が、ふと人生を振り返り、幼いころの夢を追い求め始める感動ストーリー。監督は『白い船』などで知られる島根出身の錦織良成。主人公の男を『亡国のイージス...... [続きを読む]

受信: 2010年11月25日 (木) 05時16分

» RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 [空想俳人日記]
初夢や 忘れ亡き心と 相語らふ  ひょんなことで、確か去年ですか、劇場で公開された「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(それにしても長いタイトルですなあ)をDVDで観る機会を得ました。久しぶりです、DVD鑑賞。  正直言って、導入から暫くの間、話の中... [続きを読む]

受信: 2011年1月 7日 (金) 06時50分

» 《レイルウェイズ》 [日々のつぶやき]
RAILWAYS [レイルウェイズ] [DVD]/中井貴一,高島礼子,本仮屋ユイカ ¥3,990 Amazon.co.jp 監督:錦織良成 出演:中井貴一、高島礼子、本仮屋ユイカ、橋爪功 大人が夢見てもいいんですね。 「仕事一筋でいつも時間に追われている肇は同期のいる工場整理を任され... [続きを読む]

受信: 2011年1月12日 (水) 19時01分

» 春と忠男と運転士 [Akira's VOICE]
「RAILWAYS(レイルウェイズ)」 「春との旅」  [続きを読む]

受信: 2011年1月28日 (金) 11時13分

» Railways 49歳で電車の運転士になった男の物語 [映画!That' s Entertainment]
●「Railways 49歳で電車の運転士になった男の物語」 2010 日本 松竹 Robot Entertainment 130min. 監督:錦織良成 出演:中井貴一、高島礼子、本仮屋ユイカ、三浦貴大、奈良岡朋子、橋爪功、佐野史郎、     宮崎美子、遠藤憲一、中本健、甲本雅裕、松福亭松之助、石井正則ほか。 <評価:★★★★★★☆☆☆☆> <感想> ベタな映画だな。男の夢を実現するということは、こんなこともあるのだよ、という凄く解りやすい ストーリーを、出雲の一畑電鉄という美... [続きを読む]

受信: 2011年8月18日 (木) 23時43分

» 『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 ('11初鑑賞161・WOWOW) [みはいる・BのB]
☆☆☆☆- (10段階評価で 8) 11月18日(金) WOWOWシネマの放送を録画で鑑賞。 [続きを読む]

受信: 2011年11月19日 (土) 17時48分

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