アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
1940~50年代のタンゴの黄金時代を築いたマエストロたちが大集合し、彼らが奏でる歌と演奏をたっぷりと聴かせてくれる音楽ドキュメンタリー。『ブローバック・マウンテン』や『バベル』でアカデミー作曲賞に輝くグスターボ・サンタオラヤが企画したアルバム『CAFE DE LOS MAESTROS』のレコーディングの様子や、世界三大劇場の一つコロン劇場でのコンサートの様子が収録された貴重なフィルムだ。 |
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アルゼンチンタンゴって普通のタンゴと何か違うの?なんて程に私は音楽には疎く、この作品も単にドキュメンタリーが好きだということと、音楽モノならはずさないだろうという理由での鑑賞でした。劇中ではアルゼンチンタンゴの歴史や、数々の著名人の名前や曲名が登場しますが、全て始めて聞くもので、音楽的な会話になると何のことやらというのが正直なところ。しかしながら、本物の素晴らしさは無知さえも越えるわけで…。マエストロと言われてもただの老人にしか見えないけれど、彼らの奏でる音楽に思わずうっとり聴きいってしまう自分がいたのでした。とはいえ、作品に関してどうこう言えるほどの知識がゼロなんで、今回は見ていて感じたこと、気づいたことを簡単に書いてみたいと思います。
本作のプロデューサーであるグスタボ・サンタオラージャは『ブローバック・マウンテン』や『バベル』でアカデミー賞作曲賞を受賞しており、その彼がアルゼンチンタンゴのマエストロたちを集めてアルバム『CAFE DE LOS MAESROS』を作ろうというのがもともとの企画。作品前半はそこで集まった彼らマエストロたちのレコーディング風景や、彼らが語る昔話で構成されています。個人的に一番気になったのはサッカーシーン。ワールドカップ開催中だからという訳ではないですが、アルゼンチンと言えば私にとってはタンゴよりもマラドーナですから。収録はブエノスアイレス最古のスタジオで行われていたそうで、ブエノスアイレスを本拠地にするボカ・ジュニアーズに熱狂する人々の映像が流れます。
これはアルゼンチン人にとってのタンゴとサッカーがどれだけ重要な存在なのかが解るワンシーンでした。歳はとってもマエストロと呼ばれるだけあって、練習風景では意外にも細かい指示が飛びます。しかしその指示を受ける側もまたそれに見事に応えていく…。彼らほどの域に達すると、お互いに何を求めているのかが解っているのでしょう、その微妙な音の違いなど私には全く解りませんが、丁寧に積み上げていく姿勢、妥協のなさ故にマエストロと呼ばれるまでになったのだなと思わせられるものでした。そして作品はクライマックスに…。ミラノのスカラ座、パリのオペラ座に並ぶ世界三大劇場の一つであるブエノスアイレスのコロン劇場でのステージが始まります。
いやはやコレが圧巻。最初に書いたとおり本物のもつ素晴らしさというのは例え門外漢であってもその心に直接訴えかけてくるものなのですね。ダンスシーンあり、独唱あり。しかも今現在既に亡くなっているアーティストたちも居たりして、正にこのステージは唯一無二、二度と再現不可能な至高の域に達しているのでした。さして音楽に造詣が深くない私ですら完全に聴き入っていましたから、タンゴ好きの方はもう文句なしにおススメです。タンゴという一つの文化を生み出し、それを大切に守り、あまたのマエストロたちを生み出してきたアルゼンチンという国。ちょっと彼の国を観る目が変わった作品でした。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:知ってる曲もありました~
総合評価:66点
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