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2010年7月 7日 (水)

ロストクライム-閃光-

Photo 戦後最大のミステリーとも言われる三億円事件。その真相に迫った永瀬隼介の小説「閃光」を映画化したのが本作。とある殺人事件と三億円事件との関わりに気付いた老刑事と若手刑事のコンビが、身内の警察組織に追われつつも真相にたどり着くというクライムサスペンスだ。主演は奥田瑛二。共演に川村ゆきえ、武田真治、夏八木勲といった個性派が揃う。監督は『プライド 運命の瞬間』の伊藤俊也。
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謎が無くちゃミステリーじゃない。

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何とも腑に落ちない、説得力のない刑事ドラマでした。原作小説「閃光」の映画化だけにそこでの設定があるのでしょうが、そのあたりは全部解っているものとして話を進められているような気すらするのです。現代に起こるとある殺人事件。ラーメン屋の店主が殺されたこの事件の捜査官・滝口政利(奥田瑛二)は、戦後最大のミステリーとも言われる三億円事件の捜査官でもありました。殺されたラーメン屋の店主が三億円事件の犯人一味の一人だったことから、滝口はこの事件そのものが、三億円事件に関係したものだと睨みます。睨むことそれ自体は大いに結構。しかしこの流れだと三億円事件自体が、犯人も含めて解明されているという前提になります。あれ、いつそんなことになったの?

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観ている側は、解明されていないと思っているのに、真逆の前提で当然のように話を進められることに大きな違和感を覚えずにはいられません。しかも劇中の説明では、犯人は6人組で、裏のリーダーは女性であり、しかも当時の警察庁ナンバー2の娘だったために、警察は捜査に蓋をしたと言うことになっていました。いやはや、三億円事件はもはや劇中では戦後最大の謎でもなんでもなく、解明済みの事件なのですね。(苦笑)つまり本作に説得力がないのはこの仮説の上に、劇中起こってくる出来事に対する仮説を重ねる、“if”が2重3重になっている話の展開に無理がありすぎるからなのです。もしこうした展開にしたいのならば、どうやって滝口が真実(と信じること)に辿り着いたのか、そこから説明しなければならないでしょう。

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いくらフィクションの映画とはいえ、ある日いきなり滝口が一方的に言っていることを信じて作品を観てくれと言われてもそれは流石に気持ちが入り込めません。原作ではそのあたりの説明はあるのでしょうか?未読なので何とも言えませんが。などと観ているほうがそう思っているのに、滝口とコンビを組む所轄の刑事・片桐慎次郎(渡辺大)はそのいきなり聞かされた話の内容や資料を頭から信じてしまうんですね。そんなんで刑事なんてやってられるのかとちと心配になってしまいましたよ。しかもこの片桐、若いから未熟なのか、若いのに優秀なのか、一体どういうキャラなのかサッパリつかめない。もっともラスト付近で警官と立ち回る姿をみると、確かに本人が警察に入った動機として語っていたとおり、剣道は上手いということだけはハッキリしましたけども。

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ちなみにこの片桐、元ヘルス嬢の津村多恵子(川村ゆきえ)と同棲中。サービスカットだか何だか知りませんがやたらと出てくる2人のエロシーンは、それ自体作品の流れになんの関係もないので、シーン自体がやけにストーリーから浮いてしまっています。それは犯人一味の真山恭子(かたせ梨乃)と吉岡健一(宅麻伸)のベッドシーンも同じで、何故その場でそのシーンが必要なのか、必然性がないままに無理に入れ込んでいる意味が解りません。オマケにバストトップどころか服すら脱がない超お座なりさには飽きれるしかなかったのですが…。かくして奥田瑛二の怪演ぶりだけがやたらと目立つという状態に。必然的に話はいつの間にやら最初の殺人事件は何処かに行ってしまい、三億円事件の秘密を暴こうとする刑事2人と、それを防ごうとする警察組織という図式になってしまいます。

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しかし、これがまた一向に盛り上がらない。何故かと言えば簡単なことで、最初に書いた通り、警察がそこまでして隠したい理由を私たちは既に知ってしまっているから。何故そこまで警察が必死になるのか、その謎を巡ってこそ話は盛り上がるというもの。結局、一番最初に一番重要であるべき核心をさらっと明かし、それに対する説明も無いままに、悪く言えば老刑事の思い込みのまま突っ走る様子を見せられただけと言えます。今となっては三億円事件の名前は知っていても、客観的な事実すら知らない人の方が圧倒的で、そういう人々を相手に見せる作品としては丁寧さや親切さが足り無すぎ。最後の最後で元々の殺人事件に立ち返るも、この犯人も途中からバレバレ。どうしてミステリー作品なのにこうも謎らしい謎がないのか不思議な作品でした。

個人的おススメ度2.0
今日の一言:予告編では渡辺大が松田翔太に見えた…
総合評価:45点

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『ロストクライム-閃光-』予告編

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