KING GAME キングゲーム
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結論:江川達也の企画倒れ |
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そのタイトルからするとゲームがテーマの2大作品『ライアーゲーム』或いは『カイジ』を思い出すかもしれないけれど、全く違います。まあ冷静に考えると「王様ゲーム」は単なるパーティーゲームであっていわゆる駆け引きを楽しむゲームではありません。イキナリ砂漠を歩くスズ(石田卓也)の回想からスタートする本作、まずここで彼だけは何があろうと死なないことが明らかになるのは作品の展開上マイナスの効果しか与えていないように思えます。という訳で回想はとある一室に集められた10人の男女からスタート。一応パーティーゲームとは言っても最低限のルールはあるらしく、そのうちの一つは「決して本名を明かさないこと」でした。


参加者たちはそれぞれあだ名がつけられた名札を持つことになります。つまり最初のスズもあだ名。で、これが何のためなのかといえば結果的に別に何の意味もありません。結局名前など個人を識別できればなんでもいいという意味なのでしょうか?10人はキングゲームの主催者と契約を結び、10日間の間王様ゲームをし続ければ、契約内容を履行してもらえるという、なにやらえらくオイシイ話。ちなみに契約内容を秘密にするというのもルールです。司会役・白兎の川村ゆきえが何やら可愛らしい声でメイド風に進行していく演技が痛々しくて辛い…。この時点でゲームの目的が何なのかは全く不明、10人の男女も何故彼らが選ばれたのかも不明、何処にいるのかも不明。


何も解らないまま暫く王様ゲームが続くのだけれど、この状況でこんなもの見せられても自分が参加してなければ面白いはずもなく。一応期待が持てるのは出演俳優が非常に個性的なところで、個人的には“山登り”の堀部圭亮、“横分け”の山本浩司、“ヨシツネ”の夏目ナナあたりがどんなキワキワな芝居を見せてくれるのかに注目していました。ところが、これが思った以上にノーマルというか大人しいというか。不完全燃焼も甚だしい。結論から言うと一番キレてたのは“山咲”の木村佳乃ぐらいです。『告白』で彼女のイッてる芝居が意外なほどにはまっていたのを思い出させる好演です。自分で自分を「変態」だと言いきり、文字通り「女王様」として振舞う様子に思わず目を引きこまれました。


それにしても山本浩司や堀部圭亮もそれに匹敵するぐらいの倒錯的芝居も出来るはずなのに設定的にどうも小奇麗にまとまり過ぎです。夏目ナナに到っては元々AV女優なんですから、彼女に濡れ場をやらせておいてバストトップも見せないような演出は無意味。なら彼女である必要はまったくないです。結局今時の大学生のコンパの方がよっぽど過激なノリだというレベルの王様ゲームが続きます。そうこうしつつ日にちが経つにつれどうやら自分たちは船に乗せられているらしいことが解りますが、“横分け”だけが船内を調べたりするものの後のメンバーは何もせず。この異様なほどに自分たちのおかれた環境に無関心なのは何故なんでしょう。もっとも一部の人間に関しては後ほど理由は判明しますが。


他にも、部屋の酸素濃度を下げることで幻覚を見させたりするのだけれど、結局何のためにそんなことをしたのか全く放置。いい加減退屈で眠くなってきたところでようやく種明かしが始まります。結局オチは「この王様ゲームは本当にとある国の王様を決めるゲームだった」ということらしい。しかしそもそもゲームになってないし…。恐らく江川達也は“王様ゲームで本当に王様を決めたら面白い”そんな発想からスタートして本作の原案をまとめたんでしょう。しかし所詮王様ゲーム自体に深みを持たせることなど無理な相談なのです。そもそもこのゲームは普通ではできないことしないことをみんなの前でさせてそれを見て盛り上がるという刹那的なゲームに過ぎないから。個性的で面白い俳優を全く活かせていない失敗作だと思います。
個人的おススメ度2.0
今日の一言:『戦慄迷宮3D』の脚本家ならこんなもんか…
総合評価:45点
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『KING GAME キングゲーム』予告編
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