魔法使いの弟子／The Sorcerer's Apprentice

「ナショナル・トレジャー」シリーズの製作ジェリー・ブラッカイマー、主演ニコラス・ケイジ、監督ジョン・タートルトーブが結集したのに加え、「パイレーツ」シリーズや『プリンス・オブ・ペルシャ／時間の砂』のブラッカイマー＆ディズニーのコンビで贈るファンタジーアドベンチャームービーだ。伝説の魔法使いの後継者に選ばれた主人公を中心に繰り広げられる魔法合戦に注目！
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本家よりドラゴンボール？！

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「ナショナル・トレジャー」シリーズや、最近では『プリンス・オブ・ペルシャ／時間の砂』が公開されたジェリー・ブラッカイマー製作だけあって、エンタテインメント作品としては安心して楽しめる作品でした。元々ディズニー・アニメ「ファンタジア」の“魔法使いの弟子”がモチーフとなっているだけあって過激なシーンもなく、夏休みに家族で見るにはピッタリと言えます。主演のニコラス・ケイジが演じるのは、善なる魔法使いマーリンの３人の弟子の内の１人で、第７７７代目の魔法使いの最高指導者であるバルサザールという役どころ。似合っているのか似合っていないのか、何ともコメントしづらいロン毛はともかく、ボロボロのロングコートはこれが結構カッコいい。『ダレン・シャン』のクレプスリーもこんなコートを着てましたが、欧米人はこの手の服が良く似合いますね。

さて、そもそもの発端は３人の弟子の中での恋の三角関係でした。美しきヴェロニカ（モニカ・ベルッチ）はバルサザールを選び、恋破れたホルヴァート（アルフレッド・モリナ）は悪の魔法使いモルガナに組するようになります。ヴェロニカはモルガナを自分自身の体内に封印するも体をモルガナに乗っ取られそうに。そこでヴァルサザールは仕方なくヴェロニカごとモルガナを人形に封印したのでした…。そしてバルサザールが１０００年の時をかけて見つけ出したモルガナを倒せるマーリンの後継者“選ばれし者”がデイヴ（ジェイ・バルシェル）というわけ。ここまでがプロローグなのですが、個人的にはこういったファンタジーらしい大げさな世界観が実に好み。…なんだけれども、好みじゃないのがこのデイヴを演じた俳優ジェイ・バルシェル。（ファンの方ゴメンナサイ！）

『ファン・ボーイズ』でウィンドウズを演じた彼は、カルトな作品のカルトな役にピッタリでしたが、今回のファンタジーの一方の主人公としてはイマイチ。気弱な物理学オタクの大学生という設定にしても、主人公として物語を牽引するにはそれなりの人間的な魅力が必要だと思うのだけれど、それがどうしても彼からは感じられなかった…。ただ面白いのはその物理学の考え方が魔法に含まれていること。大槻教授じゃないけれど何せ彼らは自らの掌の中にプラズマを発生させちゃうというんだから驚きです。漫画「ドラゴンボール」で登場する孫悟空の元気玉ってこんな感じ？なんて思ったりも。（笑）そんな魔法を使うにはそれなりにルールがあります。一つは「ハリー・ポッター」でいうところの杖の代わりに指輪が必要なこと。そしてもう一つ必要なのが革靴。何でもゴムの靴底は魔力を弱めるらしい…。

あまりにダサくてオヤジっぽい革靴をけなすデイヴに「何だと！」とにらみを利かせるバルサザールですが、にらんでる顔がロン毛でオヤジのニコラスだと思わずコチラも吹出してしまいました。物語はひょんなことから封印が解けたホルヴァートがモルガナを封印から解き放ちこの世を滅ぼそうとするために、人形を手に入れようとバルサザールたちを付け狙うという流れ。この手の作品にありがちなどうでも良いデイブの恋愛モードもしっかり用意されていますが、その恋愛の発端と彼が魔法使いになるきっかけをきちんとリンクさせてあるので、一応は納得できる形にはなっています。クライマックスでは彼女も多いな役割を振られていますし。流石はマーリンの後継者というべきか、デイヴは驚くほど短期間に魔法が使えるようになって行くのですがそれはまあご愛嬌、というかお約束。

彼は自分の研究室を掃除するためにモップたちを自由に動かそうとして失敗するのですが、その動くモップたちはアニメ「ファンタジア」の中に登場するワンシーンのようであり、誰もが見覚えがあるはず。もっともこうした一見物語り本線と関係なさそうなシーンが、無機物を操るという意味でクライマックスへの伏線にもなっていました。封印を解かれて甦ったモルガンとデイヴとの対決じゃかなりワクワクさせてくれますが、彼がワンランク上の覚醒に到るシーンではさらに興奮！プラズマボール連発シーンはコチラの気持ちまで燃えてきます。ただ一つ言うならばいわゆる魔法というには種類が少なく「ハリー・ポッター」的なイメージで観ると肩透かしでしょう。魔法というよりどちらかといったら超能力に近い感じ。だからでしょうか、スケール感では「パーシージャクソン」には軍配が上がるかな。

いずれにしても後には何も残らない作品ではありますが、それだけに軽く楽しめる作りになっています。アニメではないけれど夏休みの子供向けとしては十分なクオリティの作品でした。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：エンドロールの後がありますのでご注意を
総合評価：62点

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『魔法使いの弟子』予告編