ルンバ!
計算しつくされた緻密な笑い |
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こりゃまた楽しい!実は前作『アイスバーグ!』との二本立てという、最近では珍しい上映形態なれども、やっぱりドミニク・アベルとフィオナ・ゴードン夫婦の道化師ならではの大げさな演技を見ているとそれだけで笑えてしまいます。当然前作に引き続き2人は夫婦。しかし今回は2人とも教師という役回りです。教室で生徒たちに英語を教えるフィオナ(フィオナ・ゴードン)のシーンからもう大笑い。うーん、これを上手く言葉には出来ない!シチュエーションと動きで笑わせてくれる作品だけにそれを全部言葉にしてもきっと面白くないでしょうしね。とにかく教えているフィオナの抜け、窓の外でドム(フォミニク・アベル)がネタ的な動きをしていたりともう一々細かいのです。
そんな2人はダンスが大好き。特にルンバは得意中の得意で劇中でもかなりの時間を割いて踊るシーンがあるのですが実際本当に上手いです。ただしこの2人が普通に踊るはずも無く、この奇抜なルンバシーンは序盤の見所と言えます。ある日フィオナとドムは近くのダンス大会に参加するのですが、ここで登場するのが『アイスバーグ!』でルネ船長を演じたフィリップ・マルツ。彼は自殺願望のある男ジェラールという役回りです。ちなみにこのマルツや共同監督を務め、この作品にも出演しているブルーノ・ロミもみな主演2人と同じく道化師。要は前作本作ともに道化師の仲間とともに、道化映画を撮ってしまったといえるのです。さて、そのジェラールのせいでドムとフィオナが事故を起してしまったからさあ大変!
フィオナは左足を失い、ドムは記憶を失ってしまいます。というかドムは直前に何をしたのかも忘れてしまう認知症のような症状。もう大好きなルンバは踊れない……のに映像はナンセンスな映像を映し続けてそれがまた面白い。なにしろフィオナなど全身ギブスで固められてるんですから。全身とは文字通り顔以外の全てです。(笑)ドミニクはインタビューで「笑いの底には常になしがしかの悲劇がある」と語っていますが、観客が思い描くことの重大さをバカバカしさで裏切るところにこの人たちの真骨頂があるように感じました。同じようなことはこの後のシーンでも言えます。というより、思えば『アイスバーグ!』でも、夫も子供も捨てて氷山に登りに行くという設定自体同じことですね。
退院した2人は学校に戻るも、今までのような授業が出来るはずも無く敢え無くクビに。挙句にダンスにまつわる思い出の品々を焼いている最中に、フィオナの義足に火が燃え移り、更にはそれが家に燃え移って丸焼けになってしまうという、ありえないぐらいの不幸が彼らを次々と襲うのだけれど、これがことごとく面白い。不謹慎だけれども笑っちゃう、そんな感じです。『アイスバーグ!』でも書きましたが、まるでドリフのコントの如く、同じボケを連続してかましてくるのですが、計算された笑いの中での常套手段と言えるのかもしれません。さて、前作ではどちらかと言うとフィオナ中心での展開でしたが、今回はドム中心で話は進んでいきます。
典型的なのが、パンを買いに出たドムが帰り道を忘れてしまったことがきっかけで、件の自殺願望男ジェラールと生活を始めること。まるで前作ではフィオナと一緒に過ごしたのだから、今回はドムと一緒にとでも言うかのようでもあり、これがまた結構楽しそうだったりするのです。1年後にドムを忘れるためにフィオナが訪れた海辺の崖。彼女が投げるバラの花が何故か何度も投げ返されてくるシーンなど非現実でナンセンスの極みだけれど、笑いの底に悲劇があるなら、悲劇の上に笑いはあるわけで、それは即ち笑い=幸せを予感させるシーンといえます。実際、再びめぐり合った2人が海の上でルンバを踊るシーンは、2人の愛情の深さがあふれ出るものでした。一見バカバカしさが先立つものの、脚本に3年をかけたという緻密に計算された笑いは、おそらく何度見ても笑える一級のコメディだと思います。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:彼らの舞台も観て見たいな。
総合評価:70点
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『ルンバ!』予告編
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