« 瞳の奥の秘密/El secreto de sus ojos | トップページ | ヒックとドラゴン »

2010年8月 8日 (日)

フローズン/Frozen

Photo 地上15mの高さにあるスキー場のリフトに置き去りにされてしまった3人の若者たち。しかも次に動くのは一週間後。オマケに吹雪が彼らを襲う…。観ているだけで観も凍る恐怖のシチュエーション・スリラーだ。監督はこれが長編二作目となるアダム・グリーン。出演はケヴィン・ゼガーズ、ショーン・アシュモア、エマ・ベル。「ソウ」シリーズのピーター・ブロックが製作総指揮を務める。
>>公式サイト

確かに寒い!でもオチもちと寒い!

 あらすじ・作品情報へ 

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへみなさんの応援クリックに感謝デス

01

スキー好きの私としては予告編の段階から何やらちょっとユニークなシチュエーションに惹かれていた作品。ホラーかと思ったけれどいわゆるホラーとはちょっと違い、いわゆる「ソウ」シリーズに代表されるシチュエーションスリラーでした。だから基本的に画面に映し出される大半が3人乗りのリフトのシーン。それこそ『ソウ/SAW』の1部屋よりももっと狭い訳で、ここから一体どう話を展開してくれるのか、そこが本作の見所です。結論から言えば、個々の要素に光る部分はあるけれど、全体としてはまあまあなスリラーだったというところでした。一応3人の男女の人間関係はダン(ケヴィン・ゼガーズ)とパーカー(エマ・ベル)が恋人、ダンとリンチ(ショーン・アシュモア)が幼馴染ということになっていますが、正直あんまり関係ないです。(苦笑)

02 03

実はリフトに置き去りにされてしまう前にはプロローグ的な話がありまして、それはスノボ初心者のパーカーを男2人で面倒を見るという構図だったりします。で、初心者の付き添いに疲れたリンチが帰る前にどうしても一回思いっきり滑りたい!と思ったのが間違いだったという流れなんですね。でもこれも結局はあまり関係ないです。要するにリフトという驚異的に狭いシチュエーションだと、そこから人が取り得る行動なんて選択肢はそうない訳で、必然的に会話劇が中心にならざるを得ません。つまり人間関係もプロローグもすべてリフト上での話しのネタに使うための要素でしかないということなのです。で、ここから先はネタバレしつつ書いていきます。あ、知っていても多分何ら問題はありません。特に驚くようなことはありませんから…。

04 05

リフト上に残されて下まで15m、夜になり吹雪いて来た、しかも次に動くのは一週間後、さてそうなったら皆さんならどうしますか?私なら先ずリフトのワイヤーを伝って支柱から降りようとします。それがダメなら、リフトから飛び降ります。雪が積もっていれば運がよければ死なないでしょうし。そもそもワイヤーを伝って落ちるのも、飛び降りるのも結果的に同じことですし、少しでも怪我が軽く済む可能性があるほうを選択すると思うのですが…。しかし本作ではダンが先ず飛び降りちゃいます。いやもうこの時の足の骨の折れる音ときたら!『殺人犯』のオープニングに匹敵する不快感さでした。でもそれは序の口、何と両足の開放骨折で動けなくなったダンに狼が集団で襲い掛かるのです。簡単に言えば生きながらにして喰われるという訳。

06 07

これは堪らん……。そもそもリフトに取り残された初期の段階で3人がまだ余裕がある時、「悲惨な死に方といえば?」なんて話題に「ジョーズに喰われるのが悲惨だ」なんて当のダンが応えていたのがあまりにもブラック過ぎる伏線だったりします。ただ、これって実はホラーとかスリラーなんでしょうか?スキー場にいきなり集団で狼が出てくるってのもいかがなものかとは思いますが、それ以前に狼たちは別に悪でもなんでもなく、単にダンが餌になっただけ。それも何者かの意思でそうなったわけではなく、元をただせば普通に事故が原因なんですよね。それでもここまではドキドキしたり、気持ち悪かったりしたのですが、ここから先は残念ながらそう大した展開もなく、むしろエンディングまで拍子抜けの連続だったりします。先ずはリンチが私の思った第1案、ワイヤーを伝って支柱に辿り着きます。

08 09

しかし下には狼の群が…。必死で逃げますが、普通に考えたら結論は火を見るより明らかです。そして、その普通は裏切られることなく当たります。さて残るはパーカー。「ソウ」の如く、何かを犠牲にして、例えば腕の1本や脚の1本を犠牲にして助かるのか、万策尽きたと思われるこの状況でどうなるのか!当然注目が集まるところであり、作り手の工夫の見せ所、もっと言えば観客に最も「あっ!」と言わせなければいけないところです。なのに……偶然にもリフトを支える部分のピンが飛び、リフトが落下するも地上5mぐらいでとまって飛び降りても平気な距離になるなんて!飛び降りたパーカーの脚にリフトが落下したはずなのに何とか立ち上がれちゃう程度の怪我だなんて!逃げてる最中にリンチを喰ってる狼と遭遇するもスルーされちゃうなんて!

10 11

――っとまあ、恐ろしいまでの幸運続きで見事に生きながらえるという、あまりにも冴えなさ過ぎなオチには安心するやらがっかりやら。確かに恐ろしく寒そうで、予告編では安全バーを素手で持ったパーカーの手の皮がベロンと剥けたりしますが、そういった要素がその場限りで話の中に活かされていません。着想は面白かったと思います、ですがどう脱出させるかではなく、どう脱出させないかを考えたほうがシチュエーションスリラーは面白くなると思うのですが。別にバッドエンドでも構わないのですから。そうそう、リンチ役のショーン・アシュモアですが「X-MEN」シリーズでの役柄が“アイスマン”だというところが恐ろしくブラックジョークです。(笑)

個人的おススメ度3.0
今日の一言:スキー場からクレームこないかな…?
総合評価:60点

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

『フローズン』予告編

|

« 瞳の奥の秘密/El secreto de sus ojos | トップページ | ヒックとドラゴン »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フローズン/Frozen:

» フローズン /FROZEN [我想一個人映画美的女人blog]
{/hikari_blue/}{/heratss_blue/}ランキングクリックしてね{/heratss_blue/}{/hikari_blue/} ←please click 「もし極寒のスキー場のリフトに取り残されてしまったらどうする?!?」 ホラーじゃなく、ジャンルはワンシュチュエーションスリラー サンダンスで話題になり、低予算映画として日本でも公開された「オープン・ウォーター」っていうのがあったけど、 あれと同じパルコpart3での上映とあってどこかかぶるものを感じてた。 劇場の予告篇で... [続きを読む]

受信: 2010年8月 8日 (日) 10時33分

» フローズン [象のロケット]
日曜日、恒例のスキーに出かけたダンとジョーは親友同士。 男同士の時間を楽しみたかったのに、今年はダンの恋人パーカーが加わったことが、ジョーは面白くない。 遅くまで滑っていた3人は「吹雪が来る」という係員の警告を無視。 ところが地上15メートルのリフトに、彼ら3人だけが取り残されてしまう。 スキー場は次の金曜日まで休みなのだが…。 パニック・スリラー。... [続きを読む]

受信: 2010年8月 8日 (日) 11時36分

» フローズン/ケヴィン・ゼガーズ [カノンな日々]
どこでだったか忘れましたけど劇場予告編を観てコレは絶対に観たいと思っていました。突然停止してしまったスキー場のリフトに置き去りにされてしまった男女3人の恐怖体験を描くシチュエーション・スリラー。つまりは『オープン・ウォーター』のスキー場版ってこと? 出演...... [続きを読む]

受信: 2010年8月 9日 (月) 23時33分

» フローズン [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
もしかしたら自分にも起こるかも。そんなリアルな恐怖に襲われるシチュエーション・スリラーだ。主な登場人物は3人だけだが、不安やエゴが交錯し、緊張感が途切れることはない。スキー場にやってきたダン、ジョー、パーカーは、夜、最後の滑りを楽しもうとリフトに....... [続きを読む]

受信: 2010年8月10日 (火) 23時46分

» 「フローズン」のような目にだけは遭いたくない! [大江戸時夫の東京温度]
映画『フローズン』はアイディア一発勝負の低予算ノー・スター映画ってことで、数年前 [続きを読む]

受信: 2010年8月11日 (水) 00時49分

» フローズン [映画的・絵画的・音楽的]
 B級映画ながらも大層面白い作品だと耳にして、それならばと、『フローズン』を見に渋谷のシネクイントに出かけてきました。 (1)物語は、こんな粗筋です。  日が落ちかかってから、ダンとジョーとパーカーは、スキー場の3人掛けリフトに乗って山頂に登っていきますが、その途中で突然リフトが止まってしまいます。終業間際に無理に頼み込んで乗ったために、周囲には他に人が見あたりません。スキー客は全て下山したと勘違いしたリフト係員が、電源を切ってしまったようです。真っ暗で酷い寒さの中、彼ら3人だけが地上15mの高さ... [続きを読む]

受信: 2010年8月25日 (水) 05時43分

» フローズン(2010)*FROZEN [銅版画制作の日々]
京都での公開はなさそうだと諦めていたら、何とTジョイ京都で公開されることに、、、、。でも前売りチケットの発売はなし。というこ... [続きを読む]

受信: 2010年10月29日 (金) 00時26分

» 映画『フローズン』を観て [KINTYRE’SDIARY]
10-46.フローズン■原題:Frozen■製作年・国:2009年、アメリカ■上映時間:93分■字幕:加藤真由美■鑑賞日:8月13日、シネクイント(渋谷)■予告編□監督・脚本:アダム・... [続きを読む]

受信: 2010年11月 1日 (月) 23時34分

» フローズン [Recommend Movies]
極寒の暗闇に、叫び声も凍りつく! 【感想】 実はあたくしも経験した事あるシチュエーション(>_ [続きを読む]

受信: 2011年1月 9日 (日) 13時22分

» フローズン [ゴリラも寄り道]
フローズン [DVD](2011/01/07)ケヴィン・ゼガーズ、ショーン・アシュモア 他商品詳細を見る<<ストーリー>>ダン、ジョー、パーカーの若者3人が、日の暮れたスキー場で 最後の滑りを楽しもうと乗り込んだリ...... [続きを読む]

受信: 2011年1月11日 (火) 09時22分

» フローズン [銀幕大帝α]
FROZEN/10年/米/93分/サスペンス・ホラー/劇場公開 監督:アダム・グリーン 脚本:アダム・グリーン 出演:ケヴィン・ゼガーズ、ショーン・アシュモア、エマ・ベル <ストーリー> 最後の...... [続きを読む]

受信: 2011年1月13日 (木) 00時30分

» フローズン [だらだら無気力ブログ]
デビュー作となるスラッシャー映画『HATCHET/ハチェット』で一躍 ホラー界期待の新鋭となったアダム・グリーン監督が、極寒のスキー場を 舞台に描く戦慄のサスペンス・スリラー。 ひょんなことからリフトに置き去りにされてしまった3人の男女が、 文字通りの身…... [続きを読む]

受信: 2011年1月16日 (日) 00時06分

» フローズン [小部屋日記]
FROZEN(2009/アメリカ)【DVD】 監督:アダム・グリーン 出演:ケヴィン・ゼガーズ/ショーン・アシュモア/エマ・ベル もうスキー場には、行けない! もしも、スキー場のリフトに取り残されてしまったら? 恐怖のシチュエーション・スリラー。 男女3人がスキー場のリ...... [続きを読む]

受信: 2011年1月21日 (金) 23時19分

» 凍る・・・ [Akira's VOICE]
「フローズン」 「フローズン・リバー」  [続きを読む]

受信: 2011年1月27日 (木) 10時20分

» 【映画】フローズン [★紅茶屋ロンド★]
<フローズン を観ました> 原題:Frozen 製作:2010年アメリカ ←クリックしてね。ランキング参加中♪ 映画館で超観たかった作品!! 都合が付かなくて、結局観られなかったんだけど、大きなスクリーンで観たかったな。 ソウシリーズの製作を手がけたピーター・ブロック製作のソリッド・シチュエーション・スリラー。 スキー場にやってきた、ダン、ジョー、パーカーの三人は、日暮れ前に最後の滑りを楽しもうとリフトに乗り込むが、山頂に向かう途中でリフトが止まってしまう…。 彼らが最後の客で、周りには誰... [続きを読む]

受信: 2011年1月28日 (金) 22時34分

» フローズン [映画鑑賞★日記・・・]
【FROZEN】 2010/08/07公開 アメリカ 93分監督:アダム・グリーン出演:ケヴィン・ゼガーズ、ショーン・アシュモア、エマ・ベルスキー場でひょんなことからリフトに置き去りにされてしま ... [続きを読む]

受信: 2011年2月 8日 (火) 13時17分

» フローズン [映画、言いたい放題!]
映画館で予告を観て、 面白そうだったので、観たいと思いました。 観た人が面白いと言っていたのですが、 グロいのが苦手、と言うと 「結構グロいです(^_^;)」 と言うので、映画館で観るのは断念しました。f(^^;) 大学生のダン・ウォーカー、ジョー・リンチ、パーカー... [続きを読む]

受信: 2011年2月18日 (金) 13時48分

» フローズン [ダイターンクラッシュ!!]
2011年6月12日(土) 18:30~ 三軒茶屋中央劇場 料金:0円(二本立ての二本目) パンフレット:非売 フローズン [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオンメディア: DVD 同じ場所にいるだけのオープン・ウォーターな設定。(オープン・ウォーターは流されているので同じではないか。) あちらがかなり退屈だったのだが、こちらはなかなか見せてくれた。 「バカな若造が、ヘッ!」となるかと思ったが、こいつら、なかなかの好漢なので、少し感情移入をしてしまう。これが勝因か。 怪物や殺人鬼... [続きを読む]

受信: 2011年6月13日 (月) 04時12分

» フローズン (Frozen) [Subterranean サブタレイニアン]
監督 アダム・グリーン 主演 ショーン・アシュモア 2010年 アメリカ映画 93分 サスペンス 採点★★★ 閉じ込められたり埋められたり、はたまた真っ白なペーパーテストを前に頭を抱えたりと、あの手この手を駆使したシチュエーション・スリラーがたくさん作られてま…... [続きを読む]

受信: 2011年11月13日 (日) 07時38分

» フローズン(DVD) [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
スキー場のリフトに取り残されてしまった若者3人の恐怖を描くシチュエーション・パニック・スリラー。製作に「ソウ」シリーズのピーター・ブロックが参加。出演は「ジェイン・オー ... [続きを読む]

受信: 2011年11月22日 (火) 18時29分

» フローズン☆独り言 [黒猫のうたた寝]
観始めたら、止まらなくって一気に最後まで。スキー場に遊びに行った3人の男女が、リフトに置き去りになってしまうシチュエーション・パニック・スリラー。果たして3人の運命は?週末しか営業してないスキー場に取り残された若者たち。次に管理人が来るのは、次の週末(5日後... [続きを読む]

受信: 2011年12月 4日 (日) 01時07分

» フローズン [映画感想メモ]
リフトからの飛び降りは大変危険です。絶対に真似しないでください! いい加減あらす [続きを読む]

受信: 2012年1月31日 (火) 21時05分

« 瞳の奥の秘密/El secreto de sus ojos | トップページ | ヒックとドラゴン »