今度の日曜日に
同一線上にない想いが気になる |
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ほのぼのとしたテイストのヒューマンドラマでした。おじさんと呼ぶにはまだ若い市川染五郎のちょっとぼっちゃん的風貌は、借金返済のために仕事を3つも抱えているような男には見えません。しかしだからこそ朴訥で真面目過ぎるほど真面目なキャラクターが上手くはまっているように見えました。お相手役のユンナは韓国で人気の女性歌手。といっても例によって初めて聞いたのですが…。微妙なイントネーションも含めてそのあまりにも上手い日本語は、どう考えてもセリフを完璧に覚えたというより、普通にしゃべれるのじゃないかと思いきや、やっぱりそう。小学生いらい独学で日本語を学び、今では友達に日本のドラマの訳を頼まれるほどなんだとか。そんな彼女が演じるのが韓国から大好きなイ・ヒョンジュン先輩を追って、映像を勉強するために日本来た留学生チェ・ソラ。


おいおい、いきなり大好きな先輩と一緒にいるために日本留学ってベタなパターンか?と思いきや、何と彼女が来日した時にはヒョンジュン先輩は既に帰国した後。どういう話の展開…というより、じゃあ何のために先輩は登場したのだろう?実はソラがヒョンジュンのことを想っているというのは、ラストへの伏線だったのでした。ここから物語はいきなり半年ほど飛びますが、恐らくその間ずっと、何となく気分が乗らない毎日を過ごしていたんだろうなということは想像がつきます。ちなみに先生役は竹中直人。今回は極普通のテンションでよい先生を演じていました。授業では自分の興味のある対象を映像に納めるという課題が出されますが、その対象としてソラが選らんだのが松元茂(市川染五郎)…っとようやくココに来てもう一人の主演が登場と相成る訳です。


ソラは彼がやっている三種類の仕事、大学の用務員・ピザの配達員・新聞配達員の全てを偶然目撃し、彼に興味を抱くようになるのですがそれは動機としてはちょっと弱いように感じます。もちろん深く関わってゆくにつれ、実は松元さんがビンの収集が趣味であるだとか、仕事が忙しくて用務員をしている間に立って眠るといったような面白い部分は見えてくるのですが。ともあれ客観的に見れば冴えないおじさんと韓国人女子大生という妙なコンビが成立します。ちなみにこの後お互いに惹かれあっていく…なんてよくありがちな展開は一切ありません。恋愛感情を挟まない男女の物語なんて久々に観たような気がします。しかし嫌がる松元さんを口説き落として撮影を開始する彼女は、これまでと打って変わって活き活きとした表情を浮かべ始めるのでした。結局のところ、日本であてにしていたヒョンジュン先輩が自分に何も言わず帰国し、その後も一切連絡が取れない。


異国の地での心細さは彼女を孤独へと追いやっていたのかもしれません。教室のシーンでは韓国人のソラが日本のどんなところに興味を持つか知りたいと言った同級生に「私は韓国人の代表じゃありません!」などと食って掛かるシーンもありましたし。要は彼女は松元さんの中にも自分と同じ孤独をみたのだと思うのです。ビン集めが趣味の彼に付き合ってビンを拾い、そのビンを楽器にして保育園のクリスマスパーティーで演奏をし、そのシーンを作品のラストにしようと考えるソラ。そこに飛び込んでくるヒョンジュン先輩の死。ショックを受けた彼女を心から励ましたのはもちろん松元さんでした。シーンそのものだけ観ると胸打つシーンではあるのですが、彼女が松元さんのことをよく知っているのに対して、彼はソラのことを余り知らないのです。当然先輩の存在に関しても。そこにどうしても違和感を禁じ得ませんでした。


具体的にいうと、彼女は死の知らせを聞いた瞬間にショックでビンを落として割ってしまいます。松元さんの心の支えだというビン。彼女は先輩の死のショックから立ち直れないままに、指を血だらけにしながらビンを修理しようとします。当然ながら彼女はビンを割ってしまったことで落ち込んでいる訳ではありません。しかし松元さんはそんな彼女をみて、自らビンを叩き割りながら彼女を慰めるのです。ビンなんかよりソラさんの方が大事だと。それはそれで良いですが、私は2人の気持ちがこの時に同一線上にないことがどうしても気になったのでした。最終的に松元さんが姿を消すというエンディングも含めて、肝心なところでどうもチグハグな印象で終わってしまったようで残念です。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:ユンナさん普通に日本で活躍できます。
総合評価:61点
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『今度の日曜日に』予告編
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