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2010年9月 7日 (火)

第二回下北沢映画祭

Photo 今年で二回目を迎える下北沢映画祭。先日の「ぴあフィルムフェスティバル」で準グランプリを獲得した片岡翔監督の『くらげくん』の上映があるということで参加してきました。地域密着型ということで会場も下北沢にある成徳高等学校のミモザホールで行われる手作り感一杯の映画祭です。
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『くらげくん』グランプリ&観客賞獲得!

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観てきたのはプログラムD コンペティション部門。250以上の作品の中から厳選された11作品が上映されました。これがまた非常にレベルの高い作品揃い。当ブログとしては片岡翔監督びいきなのは否めませんが、正直言って匹敵するだけの作品があったのもまた事実。『くらげくん』の完成度の高さは既に知っていましたが、どうしても笑いが多い作品のインパクトは強いものですから観客賞は難しいかと思っていたのですが…。先に観客賞の受賞が発表され、もしかしてと思いきやグランプリまで。やはりごひいきの監督が2冠獲得ともなると我がことのように嬉しいもので、思わず大騒ぎしてしまいました。という訳で、当ブログとしての寸評を付けつつ全作品をご紹介します。

グランプリ・観客賞
『くらげくん』 
監督:片岡翔
2009年/14分0秒/カラー

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乙女チックなくらげくんはガキ大将タイプの虎太郎が大好き。引越しで離れ離れになってしまう2人は電車に乗って旅へ出た。少年の一途な想いは届くのか? 永遠のノスタルジーと現代が同居する新世代の子供映画が誕生!

詳しいレビューは「ぴあフィルムフェスティバル」で書きましたのでそちらをご覧ください。2度目でしたが2度目は初回より更に良かった!虎太郎がじゃんけんに勝って無邪気に結婚しなくて済んだと喜ぶ姿を、微妙な面持ちで眺めるくらげくんの表情が切なくて思わず涙が出そうになりました。直後の電車で仲良く二人並んで座るラストカット、優しくマフラーを巻いてあげるくらげくん、なんだか「これで良かったんだよね」と自分に語りかけているかのような表情にまた感動。それにしてもやっぱり流石の完成度の高さです。14分の作品として限界まで磨ききった珠玉の一作でしょう。

準グランプリ

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『最低』
監督:今泉力哉
2009年/30分0秒/カラー

亜実の家に元ストーカーからと思しき封筒が届く。そこに入っていたDVDに同棲相手・正雄の浮気現場が映っていると思った亜実は、妹にそのDVDを見てほしいと頼みに行く。一方そのころ、正雄は仕事をさぼってパチンコしていた。

この作品、実に面白い。何がいいってこの写真にある役者さんが最高。この人、同棲相手のほか実は三股をかけているのです。それがそれぞれみんな美人で、こういっちゃなんですが、この人は絶対ここまでもてないだろ…って感じ。しかも別れてくれない浮気相手に言った言葉が「何だよ、俺めっちゃ好かれてるじゃん…」って、ふざけんなコラっ!ってなもんですが憎めない。(笑)実に味のある俳優です。ちなみに同棲相手をストーカーする男性の方が全然カッコよかったりします。作品本来のテーマは三股をかけているけど犯罪者ではない正雄とストーカーで捕まったけど一途な男の対比、そしてそれぞれを好きな女性がいるという人間関係の構図が非常に上手く描かれていました。

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『くちゃお』
監督:奥田昌輝
2010年/3分50秒/カラー

ガムを噛むことが生きがいの小学生くちゃおはクラスの嫌われ者。みんなで風船を一斉に飛ばしても、くちゃおは風船を手放さない。学校からの帰り道、風船ガムを噛み出すと空想の世界に入っていく。持っていた風船が顔になりガムを噛みだすと、様々なものに変化していき、空想は飛躍していく。そこへ鳥が飛んできて・・・

最近進境著しい東京藝大の奥田監督作品。絵画っぽいアニメーションがほのぼのとした郷愁すら誘う秀作です。基本的にナレーションを歌にしてアニメーションを見せていく形式ですが、この歌が五・七調の歌詞になっているため、日本人の語感にピッタリとハマルのです。演歌や歌謡曲の歌詞が狙ってそうなっているのと同じですね。このままNHK教育テレビの「みんなのうた」の背景アニメとして使えてしまえそうな程の完成度の高さには驚かされるばかりでした。恐らく誰が見ても苦手な人はいないであろう秀作です。

その他のノミネート作品

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『パンティの話』
監督:三代川タツ
2009年/20分0秒/カラー

大学8年生の芹沢は、 東京に来て10回目の誕生日を虚しく迎えようとしていた。 そこへ舞い落ちる1枚のパンティ。 運命の歯車はいつだって突然動き出す。

個人的に凄く好きな作品。主演の俳優は、準グランプリの『最低』の人と同じ俳優です。あちらでは三股してますがモテモテ、コチラではちょっとオタッキーで全くもてないレンタルビデオ屋の店長を演じていました。この人のキャラの強さに対して、女優のキャラが対抗できてないのが惜しいところ。

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『化け狩り』
監督:小川和也
2005年/19分22秒/カラー

ホラーコメディー。 真実とはなにか?私たちは何を真実と決めるのか? 古い屋敷でお化けが出ると女主人、涼子から退治を頼まれた郁男と喜代子。 2人がそこで出会った”化け”は真実なのか幻想なのか、そのとも冗談なのか?

ジャパニーズホラー風の映像表現や演出は中々面白いです。お化けは人の恐怖から生まれる、即ちその恐怖がなくなればお化けはでない、それじゃどうするのか…。言いたいことは解るのですが、20分弱はちょっと長すぎかと。もっとコンパクトにテンポよく結末まで導いて欲しかったところです。

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『山』
監督:岩井澤健治
2010年/9分00秒/カラー

大橋裕之の漫画を原作にした。青春オフビートアニメーションです。

実にシュールなアニメーション。大橋裕之の漫画原作ゆえに特徴的な目が面白い。結構淡々と進む作品ですがどことなく吉田戦車だとかそっち系のゆるさを感じる作品でした。

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『収集家の散歩』
監督:大見明子
2010年/6分13秒/カラー

ある日のある収集家の散歩。 自分のマンションを出て、ぶらっと近くの公園を散歩する。公園に行くと、歩きながらなにげなく見たものが、つぎつぎに頭の中に集められていく。新聞を読む人、カンガルーの石像、草むらに咲く小さな花たち・・・ これらの見たものは、その形を変えたり、かたどられながら、頭の片隅に残っていく。 意識的にそして無意識的に私たちはいろいろなものを見ている。何気ない日常の中で私たちが目にしているものは、どのように記憶の中に集められていくのか。

橋口監督が総評で実験的な作品で楽しませてもらったと褒めていました。手前の粘土模型が透明になり背景画像が映し出されるというちょっと変わった作品。『トイ・ストーリー3』の同時上映短編『デイ&ナイト』と似た映像表現だけれども、流石にディズニーと比べては可哀想ですね。粘土模型に託された意味が良く解らなかったのが残念。

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『河童の腕』
監督:平野遼
2009年/5分42秒/カラー

河童くんの友情と肉体と魂の叫び、さらに愛がたっぷりのアニメーション

ほのぼのアニメーションかと思いきや、河童の腕がブチッとぬけてしまったり、クビだけが出てきたりと意外にグロいシーンも。物凄く丁寧に描かれているだけに、制作にどのぐらいの時間がかかったのだろうと感心します。河童の腕は例えば右が伸びたらその分左が縮む、それを知らないと違和感があるかも。途中ちょっと話が飛躍しすぎたのが辛かったです。

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『幽霊さん』
監督:管公平
2010年/9分46秒/カラー

格安物件に越してきた女。女に襲いかかる心霊現象。 しらをきる不動産屋。 作者が実際に体験した出来事をモデルにした心霊コメディです。

監督が実際にあった話を5年かけて映画化したという作品。撮影は2日だったそうですが…。オーソドックスな展開なれども実に面白い。審査員の方も言っていたけれど、初っ端に引きこんでくれるシーンがあると、とても観易いのです。一瞬ホラーかと思わせつつのある意味衝撃的カット!そのクライマックスは会場が湧いていました。非常に上手くまとめて来た作品だと思います。

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『中学星chu-gakusei(完全版)』
監督:清水誠一郎
2010年/13分8秒/カラー

地球からすごく遠い所にある「中学星」は、住んでる人全員が全身タイツの中学生の惑星。そんな白黒の星で繰り広げられる先生と生徒の日常を描いた、はじける青春(?)リズミカルコメディ!

今回の11作品中、会場の笑い声は最も多かった作品。私も爆笑させてもらいました。中学星の4つのルールに従ってテンポ良く展開されるネタの数々は実にケッサク。TOHOシネマズのギフトムービー「紙ウサギロペ」の後継として推薦したいぐらいです。惜しむらくは予告編でネタバラシしてしまったのと、完全版を謳っているだけに2本分を1本にまとめてしまったようで、ちょっと長すぎだところ。この手の作品はスパっと来て潔くやめたほうがインパクトが残ります。喰い足りない位でいいんです。

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『Miuro(ミューロ)』
監督:松下エリカ
2009年/21分0秒/カラー

「このマッチに火を灯して見たものは、あなたの見たいものに変わるんです―」マッチを売って暮らしている日向は、祭壇前で拾った乃々を実の妹として育てていた。互いの孤独を癒す存在として、本当の姉妹のように仲睦まじく暮らす日向と乃々。しかし乃々には、ある秘密があった。夜の帳が降り、幽霊たちのダンスが始まる時、徐々にその秘密が明らかになっていく・・・美麗な映像と繊細な心理描写で、孤高に生きることの美しさと哀しみを描き出した新感覚ホラー。

うーん、この作品だけ寝ました。先に書いた通り、初っ端に観ている人を掴むシーンがあるのは重要だと思うのです。何だかスーッと入ってそのまま淡々と進んでしまった印象。衣装含め今回の11作品中で唯一の時代劇風の映像は特徴的ではあったけども、いかんせん単調な作品なのでコレについていくには忍耐力が必要かも。個人的にはこの作風で3時間半の最後に上映というのも辛かったのではないかなと思います。

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という訳で、授賞結果発表後も審査員、監督、演者、スタッフ、観客含めた懇親会があり、その後には打ち上げまでも参加自由という、ホント地元密着手作り感がたっぷりの映画祭。すっかり気に入った『最低』と『パンティの話』の俳優さんとお話もできましたし、橋口監督と握手もさせてもらったり。非常に楽しいひと時を過ごさせてもらいました。来年以降も楽しみです。最後に、スタッフの皆さんはじめ映画祭に関わった全てのみなさん、お疲れ様でした!

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9月に入っても暑い5日、日曜日の午後、第二回下北沢映画祭のコンペティション部門が上映され  「くらげくん」も入選してましたので行って参りました{/kirakira/} ツイッターで知り合った方や、Nekomeを応援してくれてるblog友達のKLYさん ほか沢山の方に来て頂きました{/hikari_blue/} 審査員に「ぐるりのこと」の橋口亮輔監督、 アニメーション「イヴの時間」の吉浦康裕監督、 下北沢トリウッドの大槻貴宏さん、 映画評論家の轟夕起夫さん。 上映後すぐに4名による審査を待ち、30... [続きを読む]

受信: 2010年9月 7日 (火) 12時31分

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