食べて、祈って、恋をして

エリザベス・ギルバートのベストセラー自伝的小説を映画化。ニューヨークの女性ジャーナリスト離婚、失恋を経てイタリア、インド、バリ島を巡る自分探しの旅に出る様子を描いたヒューマンドラマだ。主演はオスカー女優のジュリア・ロバーツ。共演に『ノーカントリー』のハビエル・バルデム、『スパイダーマン』シリーズのジェームズ・フランコらが出演している。監督はライアン・マーフィー。
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上映時間１４０分。いくらなんでも長すぎ。はっきり言って主人公に共感できる人でなければつまらない作品だと思います。ジュリア・ロバーツ自身は４３歳にして相変わらず可愛い女性だなと思いますし、その演技自体は流石はオスカー女優だけあって何の問題もないと思います。問題は脚本でしょう。本作の構成を大まかに分けると、序盤のニューヨークでの離婚と失恋のパート、そしてイタリアの“食べて”パート、インドの“祈って”パート、バリ島の“恋をして”パートの４つに分けられます。で、序盤意外の３パートではそこで人との出会いを通して主人公リズ（ジュリア・ロバーツ）が何かを得て次のパートに進むという繰り返しになります。

しかしながらそれぞれのパートがいかんせん冗長的過ぎ。グダグダと毒にも薬にもならないムダ話は、それだけの長さがないと各地の風景を見せられないからなのかと勘ぐってしまった程でした。序盤、夫と離婚を決意し、しかもすぐに付き合った若い男ともあっという間に上手く行かなくなります。良く解らないけれど彼女は付き合った男色にすぐに染まってしまって、自分が解らなくなってしまうらしい。それで思い切って１年間かけて自分探しの旅に出かけることにするのだけれど、その年になるまで気がつかない人ってのもどうかと思う…。いずれにしても所詮このシーンはプロローグなのだから、もっとコンパクトにサクサク見せて欲しいものです。

最初の目的地はイタリア。ついてから友人ができ、彼らからイタリア人気質を学びながら、彼女は人生豊かに生きるとはどういうことなのかを実感するのでした。個人的にはこの“食べる”パートが一番好み。何と言っても実に美味そうなパスタやピッツァなどのイタリアンに、堪らなく素敵なローマの街の佇まい。少し驚いたのが街のレストランでリズがスパゲティをモリモリ食べる姿。下手をすると単に汚らしく映ってしまいますが、ギリギリのラインを保った上で、食べるという人間の本能を呼び起こす映像でした。インドに旅立つ直前の感謝祭ディナーで解凍を忘れたターキーを翌朝の朝食にしてしまうあたり、いかにもアバウトで刹那に享楽的なイタリア人らしさの象徴のように感じます。

次に向かったのがインド。“祈って”パートは文字通り寺院に住み込みで生活する様子を描いています。どうも瞑想に身が入らないリズ。瞑想中に考えてしまうのは解れた夫や彼のこと。しかしそんなリズに先に寺院に来ていたリチャードが話しかけます。要は心を空っぽにしなければ新しいものは入らないということなのですが、彼の言う「自分を許せるまでここにいろ。」という言葉はイマイチ意味が解らない…。リズは自分が許せなかったから今ここにいる訳じゃないんじゃないの？彼女は自分自身を取り戻したかっただけで、自分が夫や彼を好きになったことや離婚したこと自体は後悔しているわけじゃないと思うのですが。ともあれインドの結婚式の風景はそれはそれで余り見られない映像が嬉しいところです。

最後に向かったのがバリ島。ここには彼女が再びこの島を訪れるきっかけとなったクトゥという占い師がいます。“恋をして”パートだけにここでは当然恋人が登場すますが、それがハビエル・バルデム演じるフェリペというブラジル人。しかしハビエルはペネロペ・クルスは本当に奥さんだからともかく、スカーレット・ヨハンソンやらこのジュリア・ロバーツやらオイシイ役が多いですね。まあこのパートも例によってウダウダと２人のラブラブな様子を延々見せてくれる訳ですが、ある意味で〆のパートであるはずのここが個人的には一番ガッカリでした。フェリペは彼女に愛していると伝えますが、リズはそれで自分の中に築き上げてきた調和が崩れてしまうことを恐れます。

きっとそれは旅の中で得た友人や、経験、人を思う優しさなどの全ての調和の上で成り立っている自己がまた崩壊してしまうことを恐れたのでしょう。ただそこまでは解らなくも無いのです。結局リズは彼から逃げてアメリカに帰ろうとクトゥに別れを告げに行くのでした。ところが２人が別れたことを、そしてその理由知ったクトゥはこう言います「一人の人を愛して調和が崩れることもまた調和なのだよ。」と。それを聞いたリズはフェリペの元に取って返す……って、結局最終的には占い師の言うがまま？それじゃお前は１年間かけて何を学んできたのだと。自分で気付いて欲しかった、結果的に２人が結ばれたのは良かったとは思うけれどそこがどうにも残念に感じたのでした。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：こんなん金持ちにしかできねぇよ！
総合評価：62点

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『食べて、祈って、恋をして』予告編