THE LAST MESSAGE 海猿

海上保安庁の潜水士たちの活躍を描いた大人気「海猿」シリーズの劇場版第３弾。今回は国家プロジェクトである巨大天然ガスプラントで発生した事故の救助に向かった主人公たちを大型台風が直撃する。主演の伊藤英明、ヒロインの加藤あいほか佐藤隆太、石黒賢らお馴染みのメンバーも揃う。監督も同じく羽住英一郎。シリーズ完結に相応しい壮大なスケールに興奮する。
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海保の誇り、仲間の絆、愛する家族

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大満足！今までの「海猿」シリーズの中で最大のスケールでした。１２９分などあっという間です。もちろんこの作品の定番として、どんなピンチに陥ろうとも必ず仙崎大輔（伊藤英明）は生きて戻ると信じて疑う余地はないのですが、それでも次から次へと起こるアクシデントにもう目はスクリーンに釘付け。今回は日本・韓国・ロシアの共同国家プロジェクトである天然ガスプラント「レガリア」を舞台にした物語です。海洋掘削装置ドリルシップがそのレガリアに衝突し、その救助に向かう所から話は始まるのですが、細かいことは抜きにしていきなり救助は始まっているというのが潔くてGOOD。それにしてもこのプラントの映像、ＣＧとは思えないほどリアルで迫力があります。それはその周囲に集まる多くの海保巡視船やヘリがホンモノであることの相乗効果でしょう。今回も海上保安庁さんが頑張ってくれたんですね、きっと。

とにかくしょっぱなのこの救助シーンだけ観ていても、事故のスケールの大きさが良く現れていていきなり緊張感急上昇まちがいなし！もうその段階で怒涛の勢いでストーリーに引き込まれてしまうのでした。仙崎が出動したこの日は実は環菜（加藤あい）との３回目の結婚記念日ということもあって、ここから劇中では３つのシチュエーションがパラレルに進行していきます。もちろんメインは現場で残りは環菜と子供、そして海上保安庁地下二階の指揮所。ちなみに指揮を執る下川（時任三郎）は前作にも登場したお馴染みの顔です。お馴染みと言えば仙崎のバディの吉岡（佐藤隆太）、実は今回彼の出番は少ないのがファンには残念な所かも。レガリアに救助に入るまでは一緒なのですが、民間人３人と共にレガリアに取り残されるのは別管区の２年目の潜水士・服部（三浦翔平）。つまり今回は仙崎と服部が臨時にバディを組みことに当たるというわけ。

仙崎は６年目なのですが、何だか感慨深いものがあります。ところでこの６年という数字は実際の経過年数です。仙崎が海上保安大学校の潜水士課程に入るところからを描いた映画１作目は２００４年の公開なんですね。こんな微妙なこだわりもシリーズファンには嬉しいところ。さて、超大型台風がガレリアを直撃するということで、彼らを残したまま海保の巡視船は一度当該海域から退避してしまいます。唯一の連絡手段である吉岡と仙崎の無線での会話、持ち前の明るさで仙崎を元気付けながらも不安が隠せない吉岡や、指揮所で退避を決断した下川の苦渋の表情が自体の重大さを物語っていました。この辺の緊張感を煽る演出はお手の物といったところなんでしょうけども、解っていてもドキドキさせられてしまいます。が！…取り残された設計者の桜木（加藤雅也）によれば台風直撃でも沈む心配はないらしい。

という訳で、一緒に取り残された船医の西沢（吹石一恵）や作業員の木嶋（濱田岳）とともに食事をしながら楽しく世間話までしてしまうという…。現場なのに何やらえらくほのぼのとしたシーンは今までにない展開だったのですが、それは文字通り嵐の前の静けさだったのでした…。（いや嵐は来てたけど。）案の定この後まず最初のアクシデント。ただ天然ガスプラントやドリルシップと言われても今一つどんな仕組みなのかが解らないだけに、どんなアクシデントが起こっているのかが解りにくいというのはあるかも。いずれにしても本作唯一の潜水シーンが用意されていますが、やはり海猿たちのウェットスーツ姿は最高にカッコイイ。特にメチャクチャいいガタイの伊藤英明の後姿、スーツの「海上保安庁」の文字を観るともうそれだけで過去のシリーズから積み重なる、海猿たちの海保にかけるプライドが思い出されてきます。

元々本作は、彼ら機動救難隊員が持てる技術の全てを使い、命を懸けてミッションを成功させる心と行動、そのプロフェッショナルとしての矜持が見所であり、それを見せ付けられた日には胸の高ぶりを押さえられないのです。その究極とも言うのが、ラストのミッションでしょう。詳しくは書きませんが、５人が助かるためにはレガリアを沈めるしかないということになります。沈み行くレガリアに一人取り残される仙崎は、前作『LIMIT OF LOVE 海猿』での吉岡にダブりました。下川の「絶対に死なせるな！」の激が飛び、自分の弱さを克服した服部が潜る、そして続々と放たれたようにヘリから飛び込んでいく海猿たち。何が何でも死なせないという男たちの気迫と、もはやそうすることが本能となっている彼らの行動に見入ってしまいます。とはいえこのシーン、実はちょっと要救助者をほっぽって仙崎に注意がいきすぎじゃないの？なんて思ったりもしたんですけども。

要所要所で挟まれる環菜と子供のエピソードは、現場と指揮所だけでは単調になりがちなストーリーに良い感じで緩急の“緩”をつけてくれます。しかしタダそれだけでなく、大輔の環菜と子供への愛情や、彼女の大輔への愛情が彼の心の支えであり、それが現場での彼の行動にフィードバックされ、更には服部も含めた他の人間の心理状態にも波及していくという演出、このあたりも実に巧といえます。エンドロールでシリーズ全ての印象的なシーンが登場するのはもう堪りません。色々な想いが胸をよぎりながらまた感涙でした。シリーズ完結を謳うに相応しいこの大作、３Ｄでの鑑賞も選べますが、私は試写会で２Ｄでの鑑賞でしたが十分満足。感動大作ゆえにメガネは邪魔だと思うのは私だけでしょうか…。

個人的おススメ度4.0
今日の一言：濱田岳のキャラが「鴨川ホルモー」っぽい…
総合評価：80点

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