ゲキ×シネ「蛮幽鬼」
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| 震えが止まらない!充実の3時間 |
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「五右衛門ロック」でその虜になってしまったゲキ×シネシリーズ。今回は作家をその「五右衛門ロック」と同じ中島かづきが務めているとあって期待度大。ただし今回は古田新太が出演しない…。劇団☆新感線のカリスマだけにどうなんだろう。代わりの上川隆也は今まであんまり素晴らしいと思ったことがないのです。と、色々考えながら臨んだのですが……全ては杞憂。素晴らしい作品でした!「五右衛門ロック」で感じたあの興奮、魂が震えるような感動を再び味わえるとは!とりあえずゲキ×シネを観た事がないという方、悪いことは言わないから今すぐ観たほうが良いです。しかも劇場のスクリーンで観ることに意味があります。全編182分などあっという間、舞台演劇の素晴らしさと映画の素晴らしさのコラボレーションは両者の良いとこ取り。お値段は2500円とちょっとお高めですが間違いなく値段以上の充実感が得られます。

岩窟王『モンテ・クリスト伯』をモチーフにした本作、は遠い昔に栄えた島国・鳳来国を舞台にした凄まじいばかりの復讐劇。親友の殺害という無実の罪を着せられ10年に渡って監獄に繋がれた男・伊達土門(だてのどもん:上川隆也)は暗殺者の一族・サジと名乗る男(堺雅人)の力を借りて脱獄し、自分を陥れたかつての友・音津空麿(おとつのからまろ:粟根まこと)と稀浮名(きのうきな:山内圭哉)、そして親友・京兼調部(きょうがねのしらべ:川原正嗣)を殺した犯人に復讐をすべく飛頭蛮(ひとうばん)と名前を変えて帰国するのでした。いつもの古田新太であれば序盤から笑いの渦が巻き起こるところですが、今回はいつになく真面目なお芝居。端正なお顔の上川隆也といつも笑顔の堺雅人の二人の何とも上手い間合いの掛け合いに一気に引きこまれてゆきます。

最初の見せ場はこの2人が脱獄するシーンでの殺陣。特にサジは殺し屋一族の中でも最高の腕を持つという設定だけに、立ち回りに迷いが見られたら台無しになります。堺雅人、笑顔の暗殺者の設定どおりに笑顔を崩さず見事な太刀さばきじゃありませんか!時折見せる真面目な顔はハッとするほど美形。しかしそれ以上技を見せてくれたのが後で出てくる刀衣(とうい)役の早乙女太一。流石の女形だけあって、今回も美しい方白(かたしろ)という役も見せてくれますが、彼の流れるような太刀さばきと翔ぶような躍動感溢れる体さばきは見事の一語。余りの素晴らしさにただただ呆然と眺めてしまったほどです。何しろスクリーンの中のお客さんから流石に拍手が巻き起こっていたくらい。「五右衛門ロック」での森山未來も相当に良かったですが、こと立ち回りだけなら間違いなく早乙女太一に軍配を上げます。

今回はここで脱獄をする土門とサジ、そしてそれに付き従うペナンが物語の主人公チームと言ったところ。このペナン役に扮するのが劇団☆新感線に欠かせない高田聖子。彼女はおかしなアクセントの日本語を喋る変な外人な役の割りに、何故かそれが真っ当なキャラクターとして存在してしまうという不思議な役どころでした。コミカルで真面目、この同居を難なくこなせるのは彼女ならではです。さて、土門を裏切った空麿と浮名ですがここに浮名の父親・稀道活(きのどうかつ)を加えたのが主人公の相手チーム。道活を演じる橋本じゅんは高田聖子とならんで新感線の個性派人気俳優。基本的にこの人は必ず主人公とは敵対する側のボス役で登場してくるのが常で、もうこれが毎回絵に描いたように最終的にやられキャラですが、はっきり言ってこの人がいなければ芝居は成立しません。

毎度毎度お笑い担当で今回も何故か一人だけ顔に隈取してますし。(笑)つまり悪役だけれども真の悪役ではないんですね。ということは土門の真の敵となるのは誰なのか。意外なことに彼の前に立ちはだかるのはかつての恋人・京兼美古都(きょうがねみこと)でした。演じる稲森いづみ、私は元々この人の演技力には疑問を感じていましたが、今回は序盤こそ若干のぎこちなさを覚えたものの、しり上がりにキレを増してゆきます。演技だけでなく、思わずハッとするほどの美しさは一見の価値アリ。何せ上川隆也は見たままの美男子ですから、このカップリングの敵同士とあっては落としどころに注目せざるを得ません。ってことは要は美古都が真の敵じゃないってことです。まあ当たり前ですね。じゃあ誰なのか?といっても何も特別なことではなく、ある程度までくると大体話の流れは予想がつくのですけどね。舞台芝居ですから登場人物はもう基本的に決まってますし。

クライマックスの立ち回り、役者の汗が飛び散り、目は血走る、必死の形相をアップで捉えた映像。毎回思いますが、生身の役者の迫力ある芝居を誰もが間近に見られるのがゲキ×シネの最も優れたポイントです。その渾身の迫力は例えばそれが女優であっても観客を圧倒されるだけの力があります。シーンとしてストーリーとして感動するというより、魂の篭ったその芝居に感動し、役者が捕らえた役と観ているものはその時同期するのです。あとは流れ来る怒涛の感情の渦。どんなに文言を費やしたとしても、この感動は中々説明しきれない…。最初にも書きましたが必見です。観れば解る!
個人的おススメ度
5.0
今日の一言:必見!
総合評価:100点
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『ゲキ×シネ「蛮幽鬼」』予告編
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