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2010年10月19日 (火)

半次郎

Photo 今秋公開の『桜田門外の変』以外のもう一本の幕末映画。鹿児島出身の榎木孝明が企画をし、明治維新で活躍をした薩摩の志士・中村半次郎、後の桐野利秋の生涯を描いた時代劇だ。主演は榎木孝明、共演にEXILEのAKIRA、白石美穂、津田寛治、坂上忍らが出演している。監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠。
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半次郎たちの想いは届いているか?

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いつも思うのだけれど、幕末史の連続性や、人と事件の関連性を描くには映画では時間的な制約がありすぎるのじゃないかと。しかも本作は薩摩藩の中村半次郎の生涯を描いた伝記映画。半次郎は維新の最後、西南戦争で命を落とすのだから、その波乱万丈な生涯はほぼ幕末史のメインの時代に重なってくる訳です。結論から言えば、やはりその危惧は当たっていて、前半は恐ろしいほどに物語がかっとんで行きます。しかし、どうやら本作は西南戦争を一番フィーチャーしたかったようで、後半、西郷とともに鹿児島に帰ってからはじっくりと腰をすえた描き方をしていました。余談ですが、私の中で幕末史を描いた最高のドラマはNHK大河の『翔ぶが如く』。あの中では薩摩のぼっけもんたちの不器用だけど熱い心を西田敏行らが見事に演じてくれていましたが、今回の榎木孝明はどうなのか、そこにも注目しての鑑賞となったのでした。

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まず畑でサツマイモを掘り返す中村半次郎(榎木孝明)というシーンから始ります。流石に若い頃の半次郎は54歳の榎木孝明ではちと無理がありますが、鹿児島出身だからか、薩摩弁の方は自然に馴染んでいました。父親が公金を横領したかどで流罪にされていた彼ら一家は武士と言っても極貧状態。ですがそのあたりはもう一瞬にして過ぎ去ります。とにかくサクッと西郷(田中正次)&大久保(北村有起哉)と出会い、サクッと京に上り、気がつくとどこかの門で京都で立番中だったり。(苦笑)それでも京都時代には長州藩士・鮎川小次郎(葛山信吾)との出会いのシーンもあり、謀議の最中に新撰組に踏み込まれたりといった様子がダイジェスト的に挟まれていて、尊攘過激派と半次郎との関わりを示唆してはいるのですが、流石にちょっと薄すぎるかなと思います。

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一般的には「人斬り半次郎」などと呼ばれ、肥後の河上彦斎・薩摩の中村半次郎と田中新兵衛 ・土佐の岡田以蔵らとともに幕末の四大人斬りなどと呼ばれていますが、半次郎は他の3人と異なり、暗殺は1件しかしていないというのが史料に残る実際のところ。そういった部分に拘って、京都で初めて人を斬ったシーンなどが挿入されているのは、中々に拘りがあって好感が持てます。ちなみにもう一つ拘りがあって良いと思ったのが、半次郎の猿叫。薩摩示現流が刀を振り下ろす際に上げる気声ですね。よく一部に「チェストー!」となどと言っていますが、実際には人それぞれあるものの「キェェェィ!」と言った感じが本当のところで、劇中でも一部を除きキチンとその点も留意されていました。さて、半次郎は京都にいる間にキセル屋の娘さと(白石美帆)との淡い恋を経験しますが、鹿児島に帰る前に、別れ際に撮った2人の写真は実際に存在していたり。

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西南戦争の本当の意味は単に西郷隆盛の中央政府に対する反乱ではなく、士族の滅亡にあります。もちろん大義名分は違うところにありますが、要は西郷はこのままでは士族の不満の芽はくすぶり続け、いつか爆発することを悟っていました。西郷が決起し、それを中央政府が叩き潰せば以後日本に内乱は起こらない、何故なら当時日本最大のカリスマだった西郷ですら中央政府には敵わなかったという現実が残るから。黙って若い士族の御輿になる彼の傍らに半次郎は常にいました。半次郎程の切れ者が西郷の考えが解らないはずもなく、それでも己の信じるもののために殉じるのが武士であるという強烈な哲学。結局彼を含めたそういった武士的な思考までも滅ぼす、或いは封印してしまったのが西南戦争なのかもしれません。この時、半次郎たちの決起を止めるべく帰薩していた永山弥一郎を演じたAKIRAがこれが意外にイイ。

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まあ、チョンマゲを解いたと言えば言葉は良いけれど、EXILEの時に近いその髪型は、時代劇の中にあって観ようによってはチャラくもあり、また流行の洋風に見えなくもありません。しかし芝居はこれが実に重厚じゃないですか。彼の話す薩摩弁がまた実にしっくりと無理なくはまっていて、それは榎木孝明以上じゃないかと。単身幕軍に斬り込むシーンはまさに圧巻の一語。最後の一軒屋で命尽きる寸前まで戦う彼の姿からは並々ならぬ迫力を感じます。話を半次郎に戻しましょう。知っての通り、薩軍は物量に勝る官軍に圧倒されて行きます。最終的に城山に包囲され西郷が自刃し、別府晋介(津田寛治)の手で解釈された時点で全てが終わりました。残る半次郎たち幹部の文字通り決死の突撃。眉間を銃弾が貫き倒れる半次郎…。官軍完全包囲の城山にさとが泥だらけになり現れるのは現実感がありませんが映画ならではの脚色ということで良しとしましょう。

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「たとえ戦に負けても、犠牲を払うても、捨てちゃならんもんがある。オイどんたちが戦う意味は必ずや誰かに届く、弥一郎どん、オイと一緒に死んでくれ」とは親友・永山弥一郎への言葉。彼らが捨てちゃならんもんのために払ってくれた犠牲、彼らの戦った意味は現代に生きる我々に届いているのでしょうか。必ずしもそうとは思えない昨今の政治のあり方などを思わず考えてしまう自分がいたのでした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:大河ドラマにして欲しい!
総合評価:71点

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『半次郎』予告編

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