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2010年10月26日 (火)

森崎書店の日々

Photo_2 付き合って一年半の彼氏が突如結婚することになり大ショックのヒロインが、神田神保町にある叔父の古本屋の二階に居候し、町の独特の雰囲気の中で再生していく様子を描いたハートフルな人間ドラマ。ヒロイン貴子を演じるのはこれが映画初主演となる菊池亜希子。共演に内藤剛志、田中麗奈。脚本・監督は「Presents 合い鍵」の日向朝子。神保町のふとした日常がやけに懐かしい。
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人の心を癒す街・神田神保町

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日本最大なだけでなく世界最大の古本屋街である神田神保町。最近ではスポーツ用品店の数がやたらと増えてきたけれど、未だに多くの書店が軒を連ねています。独特のかび臭い、すえた様な匂いは最初はちょっと気になりますが読書好きには堪らないものがあり、かく言う私も学生時代は毎週必ず足を運んでいました。本作はそんな神保町の片隅にある小さな古本屋「森崎書店」が舞台となっているお話です。主人公・貴子はOLで、ある日突然彼氏から結婚すると告げられるのでした。「は?どういうこと?」一年半近く付き合っていた私は一体何だったの?あまりのショックに加え、彼氏は会社の先輩。彼女は結局仕事を辞めて日がな一日ボーっと過ごしていたのでした。主演の貴子を演じる菊池亜希子、元々モデルだそうですが私は今回初めて見ます。

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っと思ったら『ぐるりのこと。』に出演していたらしい。申し訳ないけれど全く印象に残っていません。彼女の演技がそうなのか、持って生まれた雰囲気がそうなのかは解りませんが、本作でもちょっと可愛いといった感じで、まさに普通を絵に描いたような女の子を演じていました。そんな彼女だけに、初めて森崎書店に来た時から神保町の、古本屋の風景に綺麗に馴染んでいます。で、実は本作、ここで何か事件が起こるわけでもなんでもありません。タイトル通りただただ貴子が森崎書店の二階に居候し神保町で過ごした日々を切り取っているだけなのです。この神保町という街の持つ独特の雰囲気は見るものに何かを感じさせるとは思いますが、もしかしたら名前しか知らない方にとっては何が面白いのかサッパリな作品かもしれません。

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きたろう演じる喫茶店のマスターは30年近く神保町で営業をしていたり、その喫茶店でアルバイトをしているトモコ(田中麗奈)は明治大学の大学院に通っていたり。ちなみに、神田神保町界隈には他にも専修大学なんかもあったりします。だからどうなんだと言われれば、別にどうもこうもないとしか言いようがないのですが…。森崎書店に暮らすようになった貴子は、叔父のサトル(内藤剛志)の代わりに店番をしたりする代わりに家賃はタダ。店先に座っている貴子に話しかける常連のサブ(岩松了)は話は長いけどこよなく文学を愛しているおじさん。「いいかい、志賀直哉っていうのはね…」なんて話し始める姿はきっと本当の神保町のどこかにもいそうで、何だか観ていてとても愉快なのです。店を出たり入ったりうろうろしている高野(奥村知史)は例の喫茶店のアルバイト。

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ひょっとして貴子の事が好き?そんな風に思いきや、実は貴子を通じてトモコの情報を得ようとしていたり。そんな素朴な人と人の繋がりが極自然に出来てしまう古本屋の雰囲気に、貴子は少しずつ失恋の痛手から立ち直って行きます。古本祭りの様子や、古本の入札の様子といった、神保町の表と裏の様子もしっかりと見せながら貴子の可もなく不可もない生活が淡々と続きますが、ある日偶然にも街で自分を振った彼と再会。彼女はあのショックが再び甦るのでした。個人的にはこの先はちょっと異質な感じを受けます。貴子から全てを聞いたサトルは、その彼氏の家に彼女とともに行き貴子に謝罪させようとするんですね。そこまでは、本当に極ありふれた、しかし神保町の独特の時空間だったのが、そこだけやけに人間臭くなるというか、もっと言えば嘘くさいのです。

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それは気分の良い温泉に湯治に来ていたのに、突然そこだけ外科手術をしようとするかのように感じました。貴子が元彼に再会したことで心の中のわだかまりが再び表に出てきたのだということは解りますが、いずれにしても時が解決してくれることであり、それを優しくそっと包んでくれるのが神保町という街の良さじゃないかと思うのです。はるか古からの智恵が宿るこの街だからこそ持つその空気に身を任せて欲しかった…。結局全て吐き出した貴子はすっきりと立ち直りますが、逆にこれがもっと傷つく可能性だってあったと思うんですよ。こういう作品を観てしまうと、今話題の電子書籍にはやはり夢がないなとつくづく思います。古本の持つ独特の匂いや存在感、それはある人の人生の一部でもあり、それを読むことは、見知らぬ誰かと一瞬だけれども人生を共有することじゃないか。そんな風に思えて仕方ありません。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:神保町には映画館・岩波ホールもあります
総合評価:63点

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『森崎書店の日々』予告編

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