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2010年10月14日 (木)

桜田門外ノ変

Photo 茨城県の市民団体が企画を立ち上げて映画化が実現した時代劇。吉村昭の同名小説をベースに、幕末動乱の幕開けとなった「桜田門外ノ変」の現場指揮官・関鉄之介を主人公に、事件からその顛末までを描いている。主演は『GOEMON』の大沢たかお。共演に長谷川京子、北大路欣也、柄本明、生瀬勝久、西村雅彦など層々たる俳優が揃う。監督は『男たちの大和/YAMATO』の佐藤純彌。
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そこにドラマはなかった…

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日本史に興味がない人には恐らく非常にとっつきにくい作品。「桜田門外の変」という歴史上の大事件、そしてそこで討たれたのが大老・井伊直弼だということは誰でも知っているでしょうけども、襲撃実行部隊の指揮官が関鉄之助介という水戸藩の下級侍だということを知っている人は案外少ないのではないでしょうか。確かにこの事件は幕末へ向かうきっかけとなった一大事件であるのは間違いありません。しかしそこに関わった人々をドラマとして描くには、幕末史全体を大きなドラマと考えた時、ちょっとキャスティングが弱いといわざるを得ないでしょう。まして本作の場合は開始早々にいきなり「桜田門外の変」に突入してしまうため、個々の武士の想いに観客の気持ちがついていきにくい。

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事件の直接的な原因は井伊直弼(伊武雅刀)がペリーと勝手に通商条約を結んでしまったこと。この結果、尊王攘夷派の武士や大名、公家らはいきり立つ訳ですが、特に水戸藩主・徳川斉昭(北大路欣也)は御三家の一として井伊直弼に反対の意を表すのです。しかし、井伊は反対派を徹底的に弾圧する挙にでます。それが長州藩の吉田松陰や越前藩の橋本佐内らが斬首になったかの有名な「安政の大獄」。徳川斉昭ですら永蟄居させられる事態に、我慢の限界を超えた水戸藩士たちが起したのが「桜田門外の変」なのです。劇中でもこの流れは当然描かれていますが、ちょっと変わった構成で見せてくれました。即ちメインストーリーを「桜田門外の変」以後の顛末に置き、時折過去に遡って事件の原因となった出来事を回想的に紹介するのです。

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残念ながらコレがちょっと解りにくい。先述した歴史的流れを知っていればともかく、知らないで観ると時系列が混乱してしまうかもしれません。更に歴史の流れと人の気持ちは必ずしもリンクしている訳ではないので、歴史的事実が理解出来たとしても鉄之介たちの無念の度合いがどうも伝わってこない、或いは伝わってきてもとても軽いのです。暴発した水戸藩士たちは計画では京に向かい、そこで薩摩藩の挙兵に参加することになっていましたが、おりしも島津斉彬死後跡を継いだ島津久光によってその挙兵計画は潰されてしまいます。結果として鉄之介たちは既にその段階で行き場を失ってしまったのでした。つまり「桜田門外の変」のキャストたちの歴史的な出番はここで既に終了しているのです。

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というよりそもそもの幕末史の中では彼らは所詮あるシークエンスで少しフィーチャーされる程度の存在でしかありません。メインキャストはやはり広く世間に知られている坂本龍馬であったり西郷吉之助なんですね。そこを無理に密着するものだから、ひたすら鉄之介が逃亡する様を描くしかないわけです。面白くありません。そもそもちょっと勘違いしていると思うのは、幕末史のダイナミズムは個そのものにはないということ。個の動きが各藩の動きや朝廷、幕府の動きにリンクしてくるところが面白いのです。まして個としての背景すら何も描かれていない鉄之介たち水戸藩士の逃亡劇など退屈なだけですし、一々誰がどこで捕まったとか、斬首になったとスーパーで出されても、歴史の教科書でしかありません。

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故に「桜田門外の変」を描きたいのならば、通常の時系列に乗せつつ、鉄之介たち藩士の日頃に密着し、彼らの尊王攘夷思想の発端であるとか、藩主斉昭が彼らに及ぼした影響、世の尊皇攘夷の流れの中で彼らがその中心にいたことなどを描いた上で、最後に襲撃を成功させるというオーソドックスな描き方が一番良かったのだと思います。ところでその見せ場の襲撃シーンですが、コレが残念ながら変に安っぽいというか迫力がないというか。これは『十三人の刺客』を観た後というタイミングの問題もあるのかもしれませんが、東映の時代劇が東宝の時代劇に殺陣で負けてるというのはいかがなモンなんでしょう。更に雪の中とはいえ、あからさまに彦根藩邸から桜田門に到る道沿いに襲撃者がぞろっと待ってるというのも奇異に映りました。

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最後に俳優について少し触れましょう。個人的に印象に残ったのは、北大路欣也の正に徳川御三家に相応しい威厳のある演技と、嫌らしい悪役をやらせたら日本一の伊武雅刀の演技。その2人が演じる徳川斉昭と井伊直弼の対決シーンは地味だけれど本作で最も見応えがあったように思います。柄本明や生瀬勝久、そして忘れちゃいけない貧相な役をやらせたら右に出るもののいない温水洋一の下男も実にイイ感じ、というかそのまま。(笑)子供店長はどこからどう見ても子供店長そのままなので、もういい加減大人は彼を持ち上げるのをよした方がよいです、彼のためにも。幕末史ファンとしては期待の一作だったのですが、ちょっとガッカリな作品でした。

個人的おススメ度2.0
今日の一言:うーん、全然心が動かなかった。
総合評価:47点

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『桜田門外ノ変』予告編

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受信: 2010年10月26日 (火) 16時35分

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受信: 2010年10月27日 (水) 20時59分

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» 桜田門外ノ変 [映画的・絵画的・音楽的]
 『週刊文春』(10月21日号)の阿川佐和子のインタビューに、主役の大沢たかおが登場して、面白そうな内容のように思えたこともあって、『桜田門外ノ変』を渋谷TOEIで見てきました。 (1)た...... [続きを読む]

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受信: 2010年10月31日 (日) 13時05分

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桜田門外ノ変10:日本◆監督:佐藤純彌「男たちの大和/YAMATO」「植村直己物語」◆出演:大沢たかお、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、加藤清史郎、西村雅彦 、伊武雅刀、北大路欣也◆STORY◆安政7年(1860年)、尊王攘夷を唱えた水戸藩藩主・徳川斉昭は、開国派の幕府...... [続きを読む]

受信: 2010年11月 2日 (火) 16時30分

» 映画「桜田門外の変」を見てきました。セリフが漢字ばっかりでした [人間、我慢が辛抱や]
にほんブログ村 あんまり見たい映画ではなかったのですが、チケットが当たったので見 [続きを読む]

受信: 2010年11月 4日 (木) 03時06分

» 桜田門外ノ変 [ダイターンクラッシュ!!]
2010年11月3日(水) 17:30~ TOHOシネマズ川崎1 料金:0円(フリーパス) パンフレット:未確認 『桜田門外ノ変』公式サイト フリーパス7本目。 フリーパスなので、無理やり観ている感が・・・ 今日観た中で金払っても観たのは、「アイルトン・セナ」だけであろう。 日本史を知らないのであるが、これがその後の明治維新に重要な事件だったのだろうということは、薄々判る。西郷とか龍馬とかの姿や名前もちょびっと出てくるし。 しかし、この事件が、これだけで完結すると、志半ばで終わった人々の物... [続きを読む]

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» 『桜田門外ノ変』を丸の内TOEI①で観て、疲労困憊ふじき☆ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【☆単純につまらん】       大老・井伊直弼を暗殺する。 それはいい。 そこまではいい。 その後が延々、逃亡。 逃亡にドラマチック要素なし。 にも関わらず、延々と逃亡をただ描く。 なんか今年の春から三回、引越して、 引越先はあそことあそ....... [続きを読む]

受信: 2010年11月 8日 (月) 00時14分

» 桜田門外ノ変 [墨映画(BOKUEIGA)]
「直弼の首ひとつ」 【STORY】(goo映画様より引用させていただきました。) 安政7年(1860年)、尊王攘夷を唱えた水戸藩藩主・徳川斉昭は、開国派の幕府大老・井伊直弼より永蟄居を命じられていた。 事態を憂慮した水戸藩士有志は、脱藩して...... [続きを読む]

受信: 2010年11月 8日 (月) 07時36分

» 桜田門外ノ変 [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
開国か、攘夷か!そこには誇りを懸けた男たちの志があった。1860年3月24日、江戸城桜田門外で水戸藩の浪士らが大老・井伊直弼の行列を襲撃して暗殺したという、歴史的大事件「桜田門外の変」を映画化。水戸藩士・関鉄之介を中心に事件へと至った過程、逃亡の果てに迎える運命...... [続きを読む]

受信: 2010年11月 8日 (月) 17時44分

» 「桜田門外ノ変」 [みんなシネマいいのに!]
 ♪ようこそここへ、クッククック。 こんにちわ~、桜田門外の変です。  明石家さ [続きを読む]

受信: 2010年11月 8日 (月) 23時39分

» 桜田門外ノ変 [『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba]
幕末リアリズム。 日本の未来を変えた、史上最大の事件。 吉村昭の歴史小説「桜田門外ノ変」。安政7年3月3日、江戸城桜田門外で江戸幕府大老・井伊直弼暗殺とその顛末を暗殺実行部隊の指揮者・関鉄之介視点で映画化したもの... [続きを読む]

受信: 2010年11月 9日 (火) 00時31分

» 映画『桜田門外ノ変』(お薦め度★★) [erabu]
監督、佐藤純彌。脚本、江良至、佐藤純彌。原作、吉村昭。2010年日本。時代劇映画 [続きを読む]

受信: 2010年11月13日 (土) 03時46分

» 桜田門外ノ変 [Yuhiの読書日記+α]
吉村昭の同名小説を原作にした、日本史上、超有名な大老井伊直弼暗殺事件を描いた作品。監督は佐藤純彌、キャストは大沢たかお、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、西村雅彦、伊武雅刀、北大路欣也他。 <あらすじ> 水戸藩士の下級武士の家に長男として生まれ、30歳のときに迎えた12歳年下の妻・ふさ(長谷川京子)や長男の誠一郎(加藤清史郎)と共に穏やかな暮らしを送っていた関鉄之介(大沢たかお)。しかし、藩主父子が井伊大老(伊武雅刀)の専断により処罰されたという急報が、彼の日常に影響を及ぼし始める。(シネマトゥデイ)... [続きを読む]

受信: 2010年11月15日 (月) 00時09分

» 桜田門外ノ変 [いやいやえん]
桜田門外の変は、歴史上有名な事件ですが、実際のところ教科書でも数行しか載っていないし、(私が)幕末興味ないしで、大老・井伊直弼が殺された政変と言うくらいにしか知りません。なので、題材が新鮮にうつりました。 非常に淡々としていると思います。思考は違うがそれぞれの立場から祖国を守ろうとした二組の派閥による事変は、先にメインの事変があってその後に前後談や逃亡劇があるわけですが、それが長くて、ちょっとダレてしまっていると思います。ただ、襲撃の経緯や前後の話は興味深いものでした。 歴史を追った作品とし... [続きを読む]

受信: 2011年5月16日 (月) 21時33分

» 映画評「桜田門外ノ変」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中) 2010年日本映画 監督・佐藤純彌 ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2012年4月 8日 (日) 09時07分

» 桜田門外の変  [映画!That' s Entertainment]
●「桜田門外ノ変」 2010 日本 東映 「桜田門外ノ変」製作委員会  137分 監督:佐藤純彌   原作:吉村昭「桜田門外ノ変」 出演:大沢たかお、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、渡辺裕之、加藤清史郎、    北大路欣也、伊武雅刀、西村雅彦、榎本孝明、池内博之、田中要次ほか <評価:★★★★★☆☆☆☆☆> <感想> ラストの現代の桜田門から国会議事堂へのパーンは何を言いたかったのか? ことほど左様に、原作ありとはいいながら、やたら長い歴史ドキュメントを 見ているようであった。ナ... [続きを読む]

受信: 2012年4月11日 (水) 21時30分

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桜田門外ノ変 1860年(安政7年)の事件から 指揮した水戸藩士・関鉄之介らの 2年間に亘る逃亡を描く... 【個人評価:★★ (2.0P)】 (自宅鑑賞) 原作:吉村昭 [続きを読む]

受信: 2012年5月 4日 (金) 15時36分

» 「桜田門外ノ変」 [ひきばっちの映画でどうだ!!]
                          「桜田門外の変」 私、歴史あまり詳しくないので、「桜田門外の変」という出来事があった、くらいしか解らずに(汗)鑑賞となりました。 オープニングの「絵地図と解説ナレーション」には拍子抜けしましたが・・(...... [続きを読む]

受信: 2012年6月 3日 (日) 14時16分

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