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2010年10月22日 (金)

ルイーサ/Luisa

Photo ブエノスアイレスに住む孤独な女性ルイーサはある日突然仕事をクビになり、オマケに可愛がっていた猫までもが死んでしまう。しかしペットを火葬するお金がない彼女は、一念発起して資金稼ぎを始めるのだった…。主演はアルゼンチンのベテラン舞台女優レオノール・マンソ。監督はこれがデビュー作となるゴンサロ・カルサーダ。
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人間の底力、人間のしたたかさ

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何とも風変わりなコメディ映画でした。大笑いするというものではなく、元々のラテン系の人々が持つ陽気さが根底にある笑いという感じ。主人公のルイーサ(レオノール・マンソ)はブエノスアイレスのアパートに住む60歳の孤独な女性。劇中に時おり挿入されるフラッシュ的な回想シーンを見ていると、どうやら若い頃にご主人と娘を一編に事故か何かで亡くし、それ以来はネコのティーノと暮らしているらしい。朝は定時にティーノに起こされ、食事を採り、勤める霊園に出勤し、夕方からは有名女優のお世話係の仕事をし、帰宅したら夕食を食べて寝る。この一連の生活が毎日キッチリ判で押したように正確に繰り返されているらしい。らしいというのは、劇中では彼女のそうしたノーマルな1日は初っ端に1度見せられるだけだから。

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しかしそんな彼女の恐ろしいほどに几帳面な性格は、この僅か1日の生活からハッキリと見て取れるのです。何かモノを食べたら必ずハンカチで口元を拭き、出勤は玄関を出る時間まで決まっている。オフィスの数々の置物はその置く向きまできまっていて、ついでにお客さんに対する応対の仕方も恐らくキッチリマニュアルどおり。ところが!ある朝、可愛がっていたティーノが死んでいたのがケチの付き始めでした。霊園に行くと社長からクビを宣告され、有名女優は引退してマンションを売るからもう来なくていいと言う……つまり彼女は一日にして全てを失ったのでした。ルイーサおばさんは恐らくご主人と娘を亡くして以来自分を歯車の如くキッチリと生活の中に組み込むことで自分を保っていたのでしょう、居場所が無くなるとこれがもうどうしていいのか解らない…。

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さしあたりティーノの火葬費用は300ペソかかる、これを退職金で賄おう。そう皮算用していた彼女に銀行から連絡がきます。彼女は銀行に向かうのですが、ここで最初に判で押したような生活を見せている意味が解ります。何と彼女は地下鉄の乗り方が解らない…、エスカレーターに乗れば乗ったでビビリまくって取っ手にしがみつく…。あまりに世間知らずな様子にクスクス笑ってしまうのですが、銀行についてからは更に面白い。何と店長に会わせろと主張するのだけれど、それは銀行からの手紙が店長名だから。って、銀行から何か郵便物が届く時は、一応企業としての代表者名として社長の名前を入れるものですよね。彼女はそれをそのまま差出人だと受け止めた訳。戸惑う店長と自信満々のルイーサのやり取りは、その映像切り返しのテンポも良くて何だかウキウキしてきてしまうのです。

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しかし、結局彼女の退職金は20ペソちょいと言うことが判明し途方にくれるルイーサ。普通ならここで別の仕事を探そうとなるのだけれど何故か彼女はそうならないのがまた面白いところです。もっとも、地下鉄すら満足に乗れないのでは他で働けるとも思えませんが…。思えないのだけれど、そこでもっと思えないことをしてしまうのがルイーサの凄い所。電車の中でカードを売っている若者を見かけると、何と自分も真似をするのです。要は地下鉄の中で嘘の告白をして哀れんでもらいカードを買って貰おうって寸法。ところが、仕事用のスーツを着て「私は“HVI”です。7人の子供がいます――」なんてやっちゃったら、もう嘘がバレバレ。ところでブエノスアイレスの地下鉄には本当にこんな人たちがいるんでしょうか?

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結局色々考えあぐねた末に、足が悪いことにして物乞いをするというところに落ち着くのだけれど、何でそこに落ち着いちゃうのかは謎。しかし職業的には堕ちる所まで落ちているのに、不思議とルイーサの表情は生きているのです。少なくとも毎日決まりきった生活を送っている時のあの難しい顔ではなく、人間が本来持つ生存本能(彼女なりのね)が表に表れていた必死な顔でした。何しろ最初は銀行の店長にやり込められていたのが、同じ足の悪い物乞いのオラシオ(ジャン・ピエール・レゲラス)との場所の取りあいにも一歩も引かないぐらい。あまつさえ、それじゃ足の悪いあなたと、盲目の私の2人で稼ごうなんていいだす始末!環境は人を変えると言いますが、逞しく変わりすぎですね。(笑)思えば彼女はご主人と娘の死から先、心は死んでいたのでしょう

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とある方法でティーノを火葬することを思いつき、ようやく肩の荷が下りたように号泣するルイーサ。それはティーノだけでなく、亡き夫や娘の死からやっと立ち直るきっかけだったに違いありません。ラストシーン、駅で音楽を演奏していたバンドマンの一人から声を掛けられたルイーサーの顔からはどん底を見た人間のしたたかさが感じられます。世界的な不況の中で失業率も高くなる現在、この作品はある種の応援歌といえる作品だといえるのではないでしょうか。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:撮影の仕方が特徴的で面白い
総合評価:69点

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『ルイーサ』予告編

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受信: 2010年10月22日 (金) 16時59分

» 『ルイーサ』(2008)/アルゼンチン・スペイン [NiceOne!!]
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» 『ルイーサ』で陽気に孤独にひたろうよ。 [かろうじてインターネット]
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受信: 2010年11月10日 (水) 20時11分

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受信: 2010年11月12日 (金) 08時07分

» 『ルイーサ』。。。 ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
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受信: 2011年9月14日 (水) 13時24分

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受信: 2012年1月13日 (金) 20時53分

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ブエノスアイレスの街と地下鉄を舞台に、容赦ない現実の中で何とか生きようとする女性の姿を描くアルゼンチン映画。監督は本作が長編劇映画デビューとなるゴンサロ・カルサーダ。 ... [続きを読む]

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