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2010年10月25日 (月)

約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語

Photo_2 19世紀のフランスはブルゴーニュ地方を舞台に、最高のワインを生み出すことに生涯を費やした一人の男の半生を描く。主演に『夏時間の庭』のジェレミー・レニエ、共演に『ハンニバル・ライジング』のキャスパー・ウリエル、『マイレージ・マイライフ』のヴェラ・ファーミガらが出演。監督は『クジラの島の少女』のニキ・カーロ。ワインと人の結びつきを強く感じさせる人間ドラマだ。
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ワインは人生そのものだった

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実は個人的にはワインは好きではないお酒。しかしながらお酒にまつわる話はかなり好きだったりします。本作は19世紀初頭のフランス、今では誰もが知るワインの名産地ブルゴーニュ地方を舞台に、最高のワインを生み出すことを夢見る一人の農夫の半生を綴った物語です。それにしてもこの映画はワインと人間との結びつきを非常に強く感じさせる作品です。更にそこに天使を登場させることで、ワインをテーマにした宗教説話的な部分までも含めた普遍性を持たせた物語に仕立てているようにも思えました。ギャスパー・ウリエル扮する天使ザスの姿は余りにステレオタイプなため、人によっては気持ちが引いてしまう可能性もありますが、個人的にはワインがキリストの血であるという例えがあるように、信仰とワインの関係性から考えてもそれほどの違和感を感じませんでした。

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最初はヴリー伯爵家の葡萄農園で働く一介の農夫でしかなかったソブラン(ジェレミー・レニエ)はいつか自分の思い通りのワインを作ることを夢見ていました。ある日彼の前に現れたのが天使ザス。このザスが物語を通じ様々な局面でソブランにアドバイスを与えることになります。「土を味わえ。」と土壌の大切さを教え、自分の家の庭に生えていたという葡萄の苗木をソブランにプレゼントする…。それを誰も見向きもしない山の尾根に植えるソブラン。そして同時に1年に1度だけその尾根の葡萄畑で再会することを約束するのでした。天使がくれた苗木だけにそれはもう素晴らしい葡萄の木が育つのかと思いきや、最初はそうは簡単に行かないんですね。天使が関わってくる割には案外厳しい現実というか、葡萄作りに関しては結構リアルな描写だったりします。

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資金稼ぎのためにナポレオン軍の遠征に参加してズタボロになって帰ってきたり、妻や娘のペチコートを引き裂いて苗木霜から守ったり、幼い娘を病で亡くしたりと筆舌に尽くしがたい苦労を経て初めて彼のワインが生まれたのが1815年でした。天使ザスの舌さえも満足させるその出来栄え、曰く「君の味がする」というこのワインは、作り手の喜びや悲しみ、愛情といった全てが詰った味だったのです。このワインに目を留めたヴリー伯爵に認められ、伯爵亡き後を継いだ姪のオーロラ(ヴェラ・ファーミガ)により、醸造家として迎え入れられるソブラン。ボロボロの衣服を着た一介の小作農夫から考えると格段のステップアップですが、顔つきや目に宿る光までもが自信に満ち、己の野望を隠さないように変わってくるのでした。

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ジェレミーの素晴らしいのはその微細な表情や眼力の変化をキチンと表現できることと、しかしながら葡萄の木に対する時と、天使ザスに対する時だけは昔も今も変わらぬ一貫した真摯な姿勢であることをキッチリと演じ分けていること。だからこそ、ソブランを観ていても単純に出世して調子に乗ったヤツという風には観えないのです。ところが好事魔多し。ゼスとの何度目かの再会の時、ソブランは彼が天国に住んでいないと告白されます。地獄に住む天使もいると。地獄に住む天使=堕天使=悪魔、つまり自分が今まで悪魔と付き合ってきたのだと思い込んだソブランのショックは大きかった…。しかしザスにしてみたら何故そうなるのかが理解できない。そりゃそうです。彼は最高のワインを作るには歓びだけでなく哀しみや苦しみも含めた人間の全てが必要だと説いていたから。

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ソブランとて現にそれを実行したからこそ1815年のワインがある訳で。いつの間にやらソブランは良いワインが出来たのは天使のおかげで、自分には天使がついているから大丈夫、自分は幸運な男だと思い込むようになっていたんですね。人間の内には善なるものと悪なるものが両方存在する、作り手の全てを込めて作られたワインが最高であり、ならばそこには当然ながら全てに否定的な事象も含まれていなければいけません。キリスト教では最終的には善が悪を駆逐し究極的には一元論に辿り着くといいます。そこに疑問を唱えて堕ちたザスはつまり間接的に人間は最高だと言っているのではないでしょうか。だからこそ最終的にかれは人間として生きる道を選んだのだと思えてならないのです。葡萄の木が病で全滅し、その中にたった一本だけザスから送られた苗木が残ります。

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全てを失った中からの再興。その葡萄の木には今度はソブランだけではなく、オーロラの、大勢の農夫たちの人生が詰っていました。と同時に役目を終えたかのように天に召されるソブラン…。たかがワイン、されどワイン、人間との密なる係わり合いの中で遥かな昔から育まれて来たこの文化に、ちょっと襟を正して向き合ってみようかと思わせる作品でした。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:ちょ、麻酔なし?!
総合評価:77点

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『約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語』予告編

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受信: 2010年10月25日 (月) 15時11分

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受信: 2010年11月27日 (土) 20時12分

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受信: 2010年11月28日 (日) 19時06分

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受信: 2011年4月24日 (日) 10時20分

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