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2010年10月14日 (木)

ブロンド少女は過激に美しく

Photo 撮影中に100歳の誕生日を迎えた巨匠マノエル・デ・オリヴェイラ監督がエサ・デ・ケイロスの短編小説をモチーフに映画化。とある男が列車で隣の席に座った婦人に、自らの衝撃的な体験を告白する様子を回想を中心に描いている。主演は監督の孫のリカルド・トレパ。驚きの結末に注目。
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走り去る列車を見つつ想う

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『ブロンド少女は過激に美しく』だなんて一見何か勘違いしてしまいそうなタイトルだけれど、ポルトガルの巨匠マノエル・デ・オリヴェイラ監督の作品です。そもそも原題は『SINGULARIDADES DE UMA RAPARIGA LOURA』。もちろんポルトガル語なんですが、「ブロンド少女の特異さ」という意味で、エサ・デ・ケイロスの1873年の短編を元に現代に置き換えて作られたのだそう。個人的には結末まで観ても、過激というより特異、風変わり、要は“変わってる”という感じを強く受けました。僅か64分の中で淡々と語られるある男の恋愛話なのですが、やや時代がかった映像やセリフに思えるのは、オリヴェイラ監督の100歳という年齢から来る世界観なのでしょうか。

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そもそも列車の中で出会った見知らぬ婦人にマカリオ(リカルド・トレパ)が思い余ったような表情で「『妻にも友にも言えないような話は、見知らぬ人に話すべし』と言います。私の話を聞いて頂けますか?」と話しかけるのが始まり。物語は終始この婦人にマカリオが語った内容を映像で見せてくれるというものでした。リスボンの伯父の店の会計士として働いていたマカリオは、向かいの窓に見える美少女ルイザ(カタリナ・ヴァレンシュタイン)に一目惚れしてしまいます。友人のつてを使って彼女と知り合うよう手はずを整えるあたりの若い男の気持ちは私にもとても良く理解できます。しかも「一目会ったその日から、恋の花咲くこともある」ではないですがいきなり両思いだというのだからラッキー。

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しかし、そこからすぐ「よし!彼女と結婚しよう。」となるのが先に書いた通りあまり今っぽくない。しかも彼女にプロポーズするより先に叔父さんの許可を求めるんですね。何か日本以上に家と家の結びつきを重んじるかのように感じました。ところが何故か叔父さんは、どうしても結婚するならクビだし、この家を出て行けとまで激怒します。どうしてこんなに怒るのか、これはハッキリと劇中では描かれていないものの、最後まで観ていて感じた限りでは、「自分の力で何もなし得ていない者が結婚を口にするなど100年早い!」そんなところではないかと思います。それが証拠に失業した彼が商社の仕事でカーボヴェルデに赴き“一財産作った”後に改めて彼の結婚を許していますから。

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ちなみにカーボヴェルデはリスボンから南南西、アフリカ西岸にある諸島で1975年までポルトガル領だったところ。もちろん話自体はそこまで昔ではないものの、この一財産とはユーロじゃなくて、きっと旧通貨のエスクードなのかなぁなとど思えてしまうレトロな雰囲気を感じてしまいます。ただいずれにしろ話そのものはここまで非常に単調。私がこの作品が面白いと思えるのはこの後のラストシーンがあるからなのです。全てが順風満帆に進むかと思わせておいてのルイザのこの行為。(ネタバレ結婚指輪を買いに行った宝石屋で何と指輪を万引き!)結婚を控えた女性として、確かにこれは“特異”というか“変わってる”というか…。(ネタバレ結局マカリオは怒って婚約破棄)それまでの淡々さが嘘のように観客の驚きを誘った後、いきなりまた淡々と走り去る列車の姿でエンディングを迎える。

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このギャップのある演出が実に秀逸でこの作品の印象をがらっと変える効果を持っていると思います。俗っぽい話をすると、結果的にはとある男の失恋話なので、これを聞かされていたご婦人はどう思ったのでしょう、そこが気になりました。(笑)本作の日本公開には同時上映があります。これはジャン・リュック・ゴダールの1954年の作品で『シャルロットとジュール』という13分の短編モノクロ映画。当時兵役中だったジャン=ポール・ベルモンドの声をゴダール監督自身がアフレコしているそうで、アパートの一室という単一シチュエーションで繰り広げられる男女の会話劇がユニークでした。ヒロインのアンヌ・コレットがチャーミングですが、この方、既に女優業は引退されているそうです。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:『コロンブス 永遠の海』は寝た。
総合評価:71点

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『ブロンド少女は過激に美しく』予告編

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