ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う
石井隆監督と竹中直人の『ヌードの夜』が17年ぶりに続編として帰ってきた。心に深い傷を抱えるヒロインは自分の過去を消そうとし、男は自身を犠牲にしてもそんな彼女を助けようとする…。グラビアアイドルを引退した佐藤寛子がセクシーな全裸で熱演したことが話題を呼んでいる。共演に大竹しのぶ、井上晴美、宍戸錠。 >>公式サイト
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元グラビアアイドルの佐藤寛子がヘアヌードで濡れ場を見せてくれるということで観てきました。正直言ってそれ以上の鑑賞理由はなかったり。で、結論からいうと公称85-55-85の体は素晴らしいの一語。Fカップのバストは大きさはもちろんのこと形、ハリ、柔らかさともに最高。正に美巨乳という言葉がピッタリです。単に裸を見せてくれているだけでなく、Tバックでのポールダンスシーンなどは、エロさという意味では全裸以上といえるかもしれません。かなり際どい動きまで大胆に演じている彼女からは、グラビアアイドルを引退し、清純派の仮面をかなぐり捨て、女優一本でやっていくのだという覚悟がひしひしと感じられます。想像以上の熱演に、ちょっと彼女を見直しました。が、ストーリーそのものとしてはどうなのか…。本作は石井隆監督と竹中直人の『ヌードの夜』から17年ぶりとなる続編とのこと。
個人的に竹中直人は大好きな俳優ですし、くたびれた中年男、人間臭いドロドロさや不器用さを演じている彼を観ているだけでも引き込まれるのですが、何やら無理がありすぎる脚本に、不自然な演出が目に付くのが残念な所。話に入り込めそうになる度にどこか醒めてしまっている自分が顔を見せてしまうのでした。しょっぱなからとあるじいさんを刺し殺し、その遺体を切り刻むという凄惨な場面。ただそれはチラチラ見えるだけで腕がゴロンとならないのがハリウッドとは違う所でしょうか。更に切り刻んだ肉塊を富士の樹海に撒いてしまうのだけれど、その時じいさんの持っていたロレックス(時価100万円也)も一緒に撒いてしまう、これがまず物語の取っ掛かりとなります。始まって何が何だか解らないままにどうやら母娘らしい3人が嬉々として残虐行為にいそしむ異常さにとりあえず目を奪われるのでした。
れん(佐藤寛子)はその時捨ててしまったロレックスを父の形見だと偽って“何でも代行屋”紅二郎(竹中直人)に探させます。これがまさしく運命の出会いなのでした。偶然にもというか、幸運にもというか、次郎はロレックスを見つけるのだけれど、異様な異臭に何かの肉が付いている。そこで彼はその時計を知り合いの刑事・安斎ちひろ(東風万智子)に託して、検査をしてもらうことにするのです。でまあ、そんなことをしている間に、れんたち母娘の企みに関して描かれるのだけれど、これがどうやら保険金殺人を繰り返しているらしい。それもビルを建てるために。なんだそれ?妙に安っぽいだなと思いきや、本質はそこではありませんでした。母・あゆみ(大竹しのぶ)に姉・桃(井上晴美)そしてれんの3人は場末のバーを開いてるのですが、バーなのかポールダンスを見せる店のか、売春宿なのかもうごちゃまぜなのが妙な雰囲気です。
さて、検査の結果ロレックスについていたのは人肉だと判明するのですが、何故か安斎刑事は時計を次郎に渡してしまう…。しかも次郎は過去に死体遺棄で前科が付いていることまでわかっているのに、なんでそうなるのだろう?ワザとらしく次郎の家に携帯を忘れ、それのGPSで次郎の行動を監視するって、一介の刑事がそんなスパイのようなことを独断で出来るほど日本の警察は暇なのか…。監視されているということに気付きもせずに、れんとの関係にはまっていく次郎。一応物語ではれんが次郎に自分の生い立ちを辿らせるための依頼をし、それに気付いた次郎がれんへのシンパシーを深めるという過程が描かれるのだけれども、調査員が一々調査対象にのめり込んでいたら仕事にならないんじゃなかろうか。逆に言えば、れんが幼い頃に父・山神直樹(宍戸錠)と頃近親相姦の関係にあったからといって、それだけでは次郎の行動に説得力がないと思う。
結局、そんな次郎とれんの官能シーンはそれそのものに意味があるとは思えません。しかもやたらと長い全裸での演技。次郎が既に服を着ているのに一人真っ裸で演じさせ続けることに何の意味があるのか。いや、個人的には全く問題ないどころか、むしろ大歓迎なんですけどね。それが観たくて来てるから。(苦笑)ただ演出的には異様に映りました。ついでに言うと、ブラックアウト・インしながら時間の経過を端折るような濡れ場は、演出家の自己満足に過ぎないです。いかにも退廃的でエロティックですといった部分を表現してみました的な編集はむしろに鼻につきます。やるなら徹底的にどこまで本質に迫れるかを隠すことなく、ある種そこだけドキュメンタリーぐらいに見せた方がいい。これで結局次郎は山上の保険金殺人を手伝わされることになります。もちろんれんの策略な訳で、客観的にはこれぞ正に悪女の極みってやつですね。
要はそこには幼い頃受けた心の傷から立ち直れずに復讐に走る女がいたということ。そしてその復讐の矛先は、直接的に自分を犯した父親だけではありませんでした。自分が犯されているのを黙って観ていた母への恨み、いつも自分より可愛がられる姉への恨み、更には夫を娘に奪われた妻の恨みまで露になってくる…。あれ?なんだかどこかで聞いたような話です…。ああ『プレシャス』と同じですね。が、結末に向かって迫真の盛り上がりを見せる『プレシャス』とは違い、富士の樹海の打ち捨てられた石切り場でのクライマックスに向かえば向かうほど、何やら茶番劇に見えてきてしまうのでした。安斎刑事の独断による追跡や、銃を奪われて逆に撃たれたりする様は、安っぽい刑事ドラマのよう。結局、次郎が殺人幇助あるいは死体遺棄の共犯で捕まることもなく事務所に呆然と座っているラストシークエンスに到っては、何で?と素朴な疑問が…。
っとまあ辛口に書きましたが、最初に書いた通り、私は佐藤寛子のヘアヌードと濡れ場が観たかっただけですのでその意味では大変満足させて頂きました。
個人的おススメ度
3.0
今日の一言:評価の大半は佐藤寛子のものです
総合評価:60点

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『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』予告編
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» ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。石井隆監督、竹中直人、佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、大竹しのぶ、宍戸錠。同監督の1993年作品の、同じく竹中直人主演「ヌードの夜」の続編のようなもの。バーを営む母(大竹しのぶ)と娘の姉桃(井上晴美)と妹れん(佐藤寛子)の三人は昵懇になった客を内縁関係....... [続きを読む]
受信: 2010年10月 8日 (金) 16時20分
» ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う [やっぱり邦画好き…]
『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』が動きだした。前作『ヌードの夜』から17年、企画から10年をかけた石井隆監督と竹中直人の熱い想いの詰った渾身の作品『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』は、主人公・紅次郎の新しい物語。主演の竹中直人はもちろんのこと、竹中扮する紅次郎を取り巻く女優たちの豪華競演も本作の大きな見どころ...... [続きを読む]
受信: 2010年10月 9日 (土) 02時52分
» 『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』をシネマート新宿2で観て、佐藤寛子には熱烈な拍手を送りたいけど、映画は☆☆なふじき [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【☆☆記事のタイトルに書いたとおりです】
ええと、この映画の企画が
佐藤寛子を脱がす事にあるのなら、
大成功。
100%どころか200%達成してると言えるでしょう。
達成しすぎちゃった感があって、この後、
女優としての杉本彩みたいに、
そういう....... [続きを読む]
受信: 2010年10月 9日 (土) 09時51分
» ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う [象のロケット]
東京近郊の古びた雑居ビルでバー“あゆみ”を営んでいる母あゆみ、長女・桃、次女れんは、一攫千金を狙い保険金殺人を重ねている。 しかしある日、桃は無計画に老人を刺し殺し、れんは老人のロレックスの時計を失くしてしまう。 れんは証拠を消すため、“何でも代行屋”紅(くれない)次郎に「父の形見のロレックスを探して欲しい」と頼むのだが…。 ハードボイルド・サスペンス。... [続きを読む]
受信: 2010年10月10日 (日) 09時04分
» ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う [単館系]
石井隆監督と竹中直人の「ヌードの夜」の続編。
前作「ヌードの夜」から17年後という設定。
名美シリーズの続編でもある。
名美シリーズは観... [続きを読む]
受信: 2010年10月12日 (火) 00時06分
» 男は、女を救いたかった~「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」 [ひょうたんからこまッ・Part2]
『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』
(2010年・日本/127分)
公式サイト
9月28日(火)完成披露試写会
にて鑑賞
可憐な花びらの奥にちらちらと灯る鬼火。
闇に潜んだ狂気はやがて大輪の花... [続きを読む]
受信: 2010年10月12日 (火) 23時36分
» 『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』 感情を編集する [Days of Books, Films]
映画になった石井隆の「名美」ものを全部見ているわけじゃないけど、僕の見たなかでい [続きを読む]
受信: 2010年10月20日 (水) 21時02分
» ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う 竹中直人佐藤寛子 (キネ旬ムック)17年ぶりの続編だが、のっぴきならない事態に巻き込まれるという主人公の業(ごう)は気の毒なほど変わっていない。何でも代行屋・紅次郎のもとに、れんという美少女が、父の形見の高級腕時計を探し....... [続きを読む]
受信: 2010年10月20日 (水) 23時58分
» 「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
石井隆ワールド、全開の一本。
ほんとよねえ。漆黒の夜、しのつく雨、瞬くネオン…。
撮り方は、舌なめずりするようにねちっこく、匂い立つように不健康そのものに。
誰が観たって、石井隆の世界が帰...... [続きを読む]
受信: 2010年10月21日 (木) 21時34分
» 「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」:孤高の石井ワールドなれど… [大江戸時夫の東京温度]
映画『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』は、石井隆ワールドを愛する者にはたまらない [続きを読む]
受信: 2010年10月26日 (火) 22時40分
» 「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」 [みんなシネマいいのに!]
形の良い豊満な胸、くびれた腰 随分前の週刊少年チャンピオンのグラビアページを見 [続きを読む]
受信: 2010年10月31日 (日) 12時18分
» 『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」□監督・脚本 石井 隆 □キャスト 竹中直人、佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、宍戸 錠、大竹しのぶ■鑑賞日 10月29日(金)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 石井 隆の世界にはやっぱり僕には理解し難い・・・。 理解しようとしないで、時間つぶしのスケベなオヤジ風味で観た方がいいのかも(笑) 自分の中では途中から、平山秀幸監督の『OUT』の映像が流れて来て、それと比較しなが... [続きを読む]
受信: 2010年11月 4日 (木) 08時40分
» 「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」 [Mr.Bation]
「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」
バーを営むあゆみ、桃、れんの美しい母娘。その末娘れんが、ある日代行屋・紅次郎の事務所を訪ね「父の散骨時に一緒にばらまいてしまった形見のロレックスを探して欲しい」と依頼。紅次郎は、奇妙な依頼と思いつつも、天使のように純粋なれんを放ってはおけず捜索を
... [続きを読む]
受信: 2010年11月 6日 (土) 10時28分
» 「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」愛を奪われた先にみた闇に覆われた女の悲惨な過去 [オールマイティにコメンテート]
11月7日に新潟で公開されていた
「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」(R15+指定)を観賞した。
この映画は17年前に公開された
映画「ヌードの夜」の続編的な作品で
何でも屋の男がある以来を受けた事で事件に巻き込まれていく姿を
描いたストーリーである。
依頼さ....... [続きを読む]
受信: 2010年11月22日 (月) 22時31分
» ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う [監督:石井隆] [自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ]
完全復活の石井隆監督。男と女の情と欲と憎しみと愛情をこれだけ濃く深く描ける監督が世界に何人いるだろう。テンポの悪さや感情移入不可能な母娘たちの言動はもちろんこの映画の欠点なのだけれど、石井隆なりの映画表現を突き詰めた結果なのだから、欠点も嫌悪も含めてこ...... [続きを読む]
受信: 2011年1月 3日 (月) 22時52分
» 『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』 [cinema-days 映画な日々]
ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う
代行屋 紅次郎は依頼人れんに騙され
母娘の保険金殺人に巻き込まれる...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞)
『ヌードの夜』(1993年)の続編... [続きを読む]
受信: 2012年1月23日 (月) 00時34分
» 映画評「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・石井隆
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2012年1月26日 (木) 14時09分
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