« 信さん・炭坑町のセレナーデ | トップページ | マリア様がみてる »

2010年11月26日 (金)

クリスマス・ストーリー/Un conte de Noël

Photo フランス映画界を代表する錚々たる面々が一同に会し、クリスマスに集まったとある大家族の愛憎物語を描き出した家族ドラマであり人間ドラマだ。『隠された日記 母たち、娘たち』が記憶に新しい大女優カトリーヌ・ドヌーヴを筆頭に『潜水服は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリックやアンヌ・コンシニらの夢の競演に引き込まれる。監督は『キングス&クイーン』のアルノー・デプレシャン。
>>公式サイト

風変わりな一家のおかしな物語

book あらすじ・作品情報へ book

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへみなさんの応援クリックに感謝デスsunshine

01

『しあわせの雨傘』と並んでこの冬のカトリーヌ・ドヌーヴ作品として楽しみにしていた本作。『隠された日記 母たち、娘たち』とあわせるとここのところ立続けに3本も公開されると言うのも珍しいかも。しかも注目すべきはドヌーヴだけではありません。『潜水服は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリックやアンヌ・コンシニ、ドヌーヴの娘・キアラ・マストロヤンニ、『キングス&クイーン』のジャン=ポール・ルシヨンとエマニュエル・ドゥヴォス『ユキとニナ』では諏訪敦彦と共同監督も務めたイポリット・ジラルド、『夏時間の庭』のエミール・ベルリングといった豪華なキャスティングにはそれだけで心浮き立つものを感じます。物語はクリスマスを中心にして展開されるヴュイヤール家の家族を描いたもの。端的に言ってしまうとこの家族、みんなどこかしらおかしいのです。

02 03

元々ジュノン(カトリーヌ・ドヌーヴ)とアベル(ジャン=ポール・ルシヨン)夫婦には4人のこどもがいるはずでしたが、長男のジョゼフは幼くして白血病を患います。ジョゼフを救うために夫婦は子供を作り、生まれた男の子はアンリ(マチュー・アマルリック)と名付けられましたが、残念ながら骨髄は不適合。ジョゼフは亡くなってしまうのでした…っというのが先ずはプロローグ。この設定は『私の中のあなた』と同じですが、違うのは結局役立たずに終わったアンリをジュノンがずっと嫌っていること。そりゃおかしいだろうと思うのですが、何せ面と向かって「あなたが嫌い。」と言い切って憚らないのだから仕方ない。聞いてるだけだと凄く嫌な母親に聞こえてしまうでしょうが、これをドヌーヴが演じると全然嫌な人に見えないから困ったものです。

04 05_3

年齢を重ねてますます気品を漂わせる彼女の演技は、往年のファンならずとも思わず引き込まれてしまう魅力があります。アンリを嫌っているのはジュノンだけではありません。姉のエリザベート(アンヌ・コンシニ)もそうでした。物語序盤では借金のかたに父親の工場や家屋敷まで売らせようとするアンリに代わって、彼女が借金を支払うかわりに彼を家族から追放するというシーンが描かれます。まあ確かに観ているだけでもロクデナシなのは解るのですが、どうも借金そのものが彼女が彼を家族から追放した原因ではないらしい。彼女は自分の息子ポール(エミール・ベルリング)が心の病を患っていることすらアンリのせいにする始末で、むしろその憎しみ方は尋常ではありません。正直いうと、私は度が過ぎる彼女の嫌い方が非常に不愉快でした。

06 07

ところが神様は意地悪と言うか皮肉屋というか…。ある日ジュリアがジョゼフと同じ白血病であることが解り、しかも兄弟たちが血液検査をした結果、よりによって適合するのがアンリとポールだけということが判明するのです。おかしなもので、アンリがポールに会うことすら嫌っているエリザベートを尻目に、一族の嫌われ者と友達が誰もいない孤独な少年という似たような境遇の2人に骨髄の適合者という共通点が加わって心を通わせていく様子が不思議に心地良かったり。ユニークだったのがジュリアが骨髄移植を受けた場合と受けない場合に関して、余命を計算で割り出そうとするシーン。これはエリザベートの旦那のクロード(イポリット・ジラルド)が優秀な数学者だという設定を活かしているのですが、家族が揃いも揃ってなにやってんだと。(笑)

08 09

微分だか積分だか知りませんが、割り出された数字は、移植を受ければ1.7年は大丈夫……ってそれ短くないか?なにやらやけに悲観的な数字しか並ばないのに、当のジュリアは移植の副作用である皮膚炎が嫌だから受けないなどと言い出す始末。すったもんだの挙句、1月1日に骨髄移植を受けることに決まるのでした。余談ですがフランスは元日でも普通の日と同じなのだなと改めて実感。さて、かくもおかしなこの一家。一見まともに見える三男イヴァン(メルヴィル・プポー)とシルヴィア夫妻(キアラ・マストロヤンニ)もやっぱり変。そもそもシルヴィアはイヴァンの従兄弟のシモン(ローラン・カペリュート)の事が好きだったらしいのだけれど、シモンの方もシルヴィアを愛していたのだというのです。それはいい、結婚前ならどうなりと。

10 11

ところが、今になって燃え上がる恋心、一晩をともにしたベッドに子供たちが母親を起こしに来ると、ドアの向こうで見ているのは夫のイヴァンじゃないですか。にこりと笑って立ち去るケヴィンだけれど、この“にこり”はシルヴィアを信用しているからなのか…。それにしても自分の妻が従兄弟と裸でベッドをともにしたのを目の当たりにして、何も起こらないと言うのがもはや私の理解の範疇外だったりします。そもそもアンリは一家の中でもおかしなヤツで通っていたらしいけれど、私から言わせてもらえれば他の家族とどこが違うのか。一番まともなのは父親のアベルぐらい。全くおかしな連中だと思いつつも、華やかなクリスマスの夜の晩餐、深夜のミサと欧米のクリスマスの過ごし方は、日本とは違う家族の団欒を強く感じさせてくれる素敵な情景です。

12

しかし家族で見ていた映画が『十戒』とはこれがまた皮肉。一体この一家はいくつ破ってるんだろう。ふと気がついたのは、ここまで何とはなしに本当の家族の数日間を切り取ったかのように物語に入り込んでいる自分がいたということ。そう、クリスマスの夜に語り継がれていく、とある家族の喜怒哀楽を盛り込んだ現代版の寓話だと考えたらしっくり来るのではないでしょうか。デプレシャン監督のタクトによる豪華俳優陣の競演は、クリスマスの夜に奏でられるオーケストラの演奏にも似た魅せる作品だったと思います。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:マチューさんおデコ大丈夫?
総合評価:75点

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

『クリスマス・ストーリー』予告編

|

« 信さん・炭坑町のセレナーデ | トップページ | マリア様がみてる »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/197507/37826327

この記事へのトラックバック一覧です: クリスマス・ストーリー/Un conte de Noël:

» クリスマス・ストーリー /Un conte de Noel/A Christmas Tale [我想一個人映画美的女人blog]
ランキングクリックしてね [続きを読む]

受信: 2010年11月26日 (金) 15時56分

» 【フランス映画祭2010】『クリスマス・ストー... [NiceOne!!]
原題:UNCONTEDENOEL監督:アルノー・デプレシャン出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ルシヨン、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ、メルヴィル・プポー、エマニュ... [続きを読む]

受信: 2010年11月26日 (金) 18時46分

» クリスマス・ストーリー [あーうぃ だにぇっと]
11月20日(土)@恵比寿ガーデンシネマ。 [続きを読む]

受信: 2010年11月26日 (金) 21時22分

» クリスマス・ストーリー ~フランス映画祭2010より~ [とりあえず、コメントです]
アルノー・デプレシャン監督がカトリーヌ・ドヌーヴをはじめとする豪華俳優陣でおくるクリスマスの物語です。 どんな家族の物語が描かれるのだろうと気になってチャレンジしてみました。 フランス映画らしいドロドロな展開にひやーっと思いつつも、人間の複雑さをしみじみと感じる作品でした。 ... [続きを読む]

受信: 2010年11月28日 (日) 22時39分

» クリスマス・ストーリー [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
Un Conte De Noel (Original Soundtrack) [Import from France]クリスマスに集まる家族のあたたかな物語と思っていたら期待を裏切られる映画なので要注意だ。個人主義のフランス、自己主張のヨー ... [続きを読む]

受信: 2010年12月 2日 (木) 23時49分

» 「クリスマス・ストーリー」 [RAY's Favorites]
ふと考えると私は、映画は圧倒的に一人で観ることが多いようです。 ライヴに関しては、音の趣味が近い友人と一緒に観ることが多く、或いは、一人でチケットを購入してライヴ参戦したとしても、現地で”音モダ...... [続きを読む]

受信: 2010年12月 7日 (火) 01時06分

» 『クリスマス・ストーリー』。。。 ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2008年:フランス映画、アルノー・デプレシャン監督、カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ、メルヴィル・プポー、ジャン=ポール・ルシヨン、キアラ・マストロヤンニ、イポリット・ジラルド、ローラン・カベリュート、エマニュエル・ドゥヴォス出演。... [続きを読む]

受信: 2010年12月14日 (火) 22時35分

» 『クリスマス・ストーリー』:独特なスタイルで描く、血は水よりも濃し @ロードショウ・ミニシアター [りゃんひさ MyBlog~映画レビューなど]
2011年1月に休館が決まった恵比寿ガーデンシネマで、アルノー・デプレシャン監督作品『クリスマス・ストーリー』を鑑賞しました。 割引などのない平日にも係わらず、8割以上の入りで、少々出遅れたりゃんひさは、かなり前方の席で鑑賞することとなりました。 それはさておき、映画のハナシ。... [続きを読む]

受信: 2010年12月15日 (水) 13時43分

» クリスマス・ストーリー [心のままに映画の風景]
フランス北部の街、ルーベ。 アベル(ジャン=ポール・ルション)とジュノン(カトリーヌ・ドウーヴ)夫婦には、長女エリザベート(アンヌ・コンシニ)、次男アンリ(マチュー・アメリック)、三男イヴァ...... [続きを読む]

受信: 2010年12月18日 (土) 00時40分

» 「クリスマス・ストーリー」見所はカトリーヌ・ドヌーヴだけ [soramove]
「クリスマス・ストーリー」★★☆ カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ出演 アルノー・デプレシャン 監督、150分 、2010年11月20日より順次公開、 2008,フランス,ムヴィオラ (原作:原題:Un conte de Noel/A Christmas Tale )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「暖かいとはいえ、12月も押し迫り じゃあと、その... [続きを読む]

受信: 2010年12月24日 (金) 01時44分

» クリスマス・ストーリー(2008)☆彡UN CONTE DE NOEL [銅版画制作の日々]
降る雪が、待... [続きを読む]

受信: 2011年1月 8日 (土) 12時57分

» クリスマス・ストーリー(DVD) [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
母の病気をきっかけに、クリスマスに集まった子供たちの再会を描く「キングス&クイーン」のアルノー・デプレシャン監督作。出演は「隠された日記 母たち、娘たち」のカトリーヌ ... [続きを読む]

受信: 2011年12月22日 (木) 17時38分

» 映画評「クリスマス・ストーリー」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆(6点/10点満点中) 2008年フランス映画 監督アルノー・デプレシャン ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2012年1月27日 (金) 11時26分

« 信さん・炭坑町のセレナーデ | トップページ | マリア様がみてる »