マチェーテ

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが監督した『グラインドハウス』内に登場する偽の映画予告編を本当に長編映画として制作。ナタのようなナイフの使い手マチェーテと宿敵たちとの苛烈な闘いを描いたバイオレンスアクションだ。主演はダニー・トレホ。共演にジェシカ・アルバ、ロバート・デ・ニーロ、スティーヴン・セガール、ミシェル・ロドリゲスといった豪華な俳優が揃う。
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マチェーテ、面白い。

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クエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲスが監督演出した『グラインドハウス』。その劇中に登場する偽の映画予告編を本当に長編映画として作ってしまったというのが本作です。が！そんなことはハッキリ言ってどうでもいい。言えるのはこの作品がめちゃくちゃイケテルＢ級映画だってこと。いや、超Ｂ級と言っていいと思います。バイオレンスアクションと言うとカッコいいけれど、悪く言えばエログロアクションともいえる悪ノリっぷりに、やたらと贅沢な俳優たちが適材適所にはまって来るのだから堪らない。もっともエロといってもロマンチックさの欠片もない、意味不明なエロなんですが…。（笑）ちなみにマチェーテとは日本で言う所の山刀、ナタに近いもので、主人公がいつも愛用している所からその名がついたというもの。

そもそもマチェーテ（ダニー・トレホ）は無法者でもなんでもなく、元はメキシコの連邦捜査官。従ってプロローグで制服を着て登場するけれど、これがもう一瞬後には大殺戮大会に突入してしまいます。「ああ、嫌いな人はこういうの大嫌いだろうなぁ」などと思いながらも、余りに思い切りのいい殺しっぷりにある種の爽快感すら覚えてしまったり…。ところが！ここで登場する宿敵・麻薬王トーレス（スティーヴン・セガール）に目の前で妻を斬殺されてしまうのでした。相変わらず怪しげな人民服と日本刀という、もうどの映画でも同じいでたちで登場するセガールおやじには脱帽。でもまあＢ級アクション映画の帝王だから仕方がないです。その後時は一気に３年後に飛び、マチェーテは今ではテキサスで日雇い労働者として暮らす毎日を送っていました。

単純に麻薬王トーレスと妻子を惨殺されたマチェーテの戦いかと思いきやそうではなく、豪華な出演者にはそれぞれ役割があり、そこに多様な人間関係が生まれてくるのでした。大まかな登場人物を分類すると以下の通り。

●マチェーテ側

マチェーテ（ダニーー・トレホ）
元メキシコ連邦捜査官。トーレスに妻子を殺され、現在テキサスで日雇い労働者をしている。

サルタナ（ジェシカ・アルバ）
I.C.E捜査官。最初はマチェーテの捜査を行っているが、彼の言葉を信じ協力するうちに惹かれて行く。

ルース（ミシェル・ロドリゲス）
表の顔はタコス売り。裏の顔は移民のために戦う組織のリーダー。

パードレ（チチ・マーリン）
カトリックの神父。元連邦捜査官でマチェーテの兄貴分。

●トーレス側

トーレス（スティーヴン・セガール）
メイキシコ国境の麻薬取引を独占する麻薬王。マチェーテの妻子を殺した男。

ブース（ジェフ・フェイヒー）
マクローリン上院議員の補佐官。議員再選のための資金を麻薬取引に求める。マチェーテを嵌めた男。

マクローリン（ロバート・デ・ニーロ）
上院議員。メキシコからの移民を弾圧し、国境に柵を設ける政策を推進する。

ジャクソン（ドン・ジョンソン）
移民狩り自警団のリーダー。しかし力を失ったマクローリンを殺そうとする。

簡単に話の流れを追うと、マクローリンが選挙に再選するためには移民に襲われると同情票が集まると考えたブース、実際には自分の部下にマクローリンを撃たせますが、犯人としてマチェーテを嵌めようとするのでした。捜査当局から追われることになった彼、もちろん追っているのは当局だけでなく、ブースたちもです。逃げては追いつかれを繰り返し、その度に巻き起こる殺戮の嵐はある意味凄まじいというか、無茶し過ぎ。（笑）マチェーテで人間をぶった斬るは顔面を貫くわ、敵は敵でいきなり家にダイナマイト投込むわ……。病院で大暴れした時は、敵の一味の腹を掻っ捌いて腸を引きずり出し、それを握って窓から飛び降りるって、なんだそりゃ！グロといえば確かにグロだけれど、これはもう桁違い過ぎて笑うしかないといった感じ。

さて、グロが来たらエロも来る。エロというと語弊があるからセクシーというべきかな。ジェシカ・アルバは理知的で強い女性捜査官を演じているけれど、相変わらずキュートでラブリー。今回はバストトップこそ隠しているけれど意外と際どいシャワーシーンまで見せてくれるサービスっぷり。短いアクションシーンもこれまた素敵です。そして、ジェシカと対を成すかのように常に強い女性を演じ続けるミシェル・ロドリゲス。彼女も相変わらずセクシーですが、最後の決戦に登場し黒の眼帯で機関銃を両手にぶっ放しまくる様はまるで女性版ランボー、いや「レザーブラと機関銃」か。そしてもう一人、ブースの娘エイプリル役が、何と最近では私生活のスキャンダルの方が有名なリンジー・ローハン。母親ジューン役のアリシア・レイチェルとともにオールヌードを披露してくれています。

ジェシカとは対照的にバストトップも露な大胆な演技、マチェーテの両手に抱かれるエイプリルとジューンの図は見たままセックス＆バイオレンス。余談ですがダニー・トレホはは５月生まれですから並ぶとエイプリル・メイ・ジューンに…。さて、逃げてばかりじゃ仕方ないとばかりに、ブースが自分を嵌めた証拠を探しにいくマチェーテ。ケッサクだったのはブースのパソコンでデータＣＤを観るシーン。日本人のおやじの如く太い人差し指一本でパソコンのキーボードを打つマチェーテはそれだけでも面白いのに、打ったパスワードが「ＩＡＰＲＩＬ」。ハートかよっ！ごっつい顔したダニー・トレホとのギャップに館内も湧きます。結局失敗続きのブースに業を煮やしたトーレス自らが乗り込んできて、いよいよ最終的な決戦の火蓋が切られようとしています決戦の場所は移民狩り自警団の訓練所。

ここに主だった登場人物を全て集めて一大ドンパチをやらかそうというのです。もちろんマチェーテの奪った証拠で全てが暴露されたマクローリンもやってきますが、ロバート・デ・ニーロが自らタクシーを運転してやってくるなんて洒落も利かせてくれるのが嬉しいところ。マチェーテと移民軍団の突撃で開始された壮絶なバトルは殺戮の嵐が吹き荒れます。これまた嫌いな人は大嫌いな映像だろうと思うのですが、マチェーテの訳の解らない迫力に引きずられる形で魅入ってしまうのでした。もちろん最後には彼が勝利するのは当たり前。しかしトーレスを演じているのは何と言ってもセガールおやじです。ただ単にやられるはずもなく、どうするのかと見守っていたら…。何と腹に刺されたマチェーテで切腹とは！どこまで日本びいきなのか。日本人としては喜ぶべきなのか実に微妙なところなのですが。（苦笑）

この作品、続編はあるんでしょうか？エンドロール前で「殺しのマチェーテ」、「続・殺しのマチェーテ」とか出てましたが。もちろん個人的には大歓迎です。

個人的おススメ度4.0
今日の一言：何で急に片言なんだよ。（笑）
総合評価：76点

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『マチェーテ』予告編

＜ポスター＞