ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
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| 流石のハーブもPCは興味なし?! |
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シアターイメージフォーラムの13時の回、15分ほど前に到着してみると黒山の人だかり。一体何事かと思いつつチケットを購入しようとすると何と既に立ち見だというではないですか。立ち見で映画鑑賞なんて何十年ぶりだろう20年以上記憶にない…。で、観終わって次のスケジュールが詰まっていたのでそそくさと劇場を後にする。確かに良い作品だけど、人が溢れるほどか?と思っていたら何のことはない、後でネットを調べていたら監督の佐々木芽生さんの舞台挨拶があったというじゃないですか!監督すいません。気付かずにスルーして帰ってしまいました…。久々の立ち見と同時に久々の不覚、普段ニューヨーク在住の監督のお話などそうは聞けるものではないのに。

さて、私は現代アートへの造詣は全くありませんし、興味もありません。従ってハーブ&ドロシー夫妻が現代アートのコレクションに賭ける情熱や想いは、いわゆる一般的なコレクターの心理という意味でしか理解出来ていないでしょう。しかし本作を観ていると、別にそれでも構わないのではないかと思えます。ご主人がハーバート・ヴォーゲル、ご夫人がドロシー・ヴォーゲル、生粋のニューヨーカーであるこの2人は1922年と1935年生まれで現在88歳と75歳。ハーブは高校を中退した後、郵便局員として働きながら独学で美術を学び、ドロシーは大学院卒業後、ブルックリン公立図書館の司書として働きはじめます。つまり、簡単に言えば2人とも特別アーティスティックな才能を磨く環境で育ってきた訳ではないということです。

これに関して登場するアーティストの1人ローレンス・ウィナーは「2人には審美眼があったんだ。それは訓練でどうにかなるもんじゃない。」そう語っていますが、それは正鵠を射ていたのです。2人がコレクションするルールはたったの2つ。「自分たちの収入で買える値段であること」、「小さなアパートに収まるサイズであること」これだけで、後は作品に込められた想いとかは関係ないのだそう。見た目重視なのだと言っていましたが、ごめんなさい、審美眼のない私には彼らが素晴らしいという作品のどこが良いのかサッパリでした。(笑)それにしても若い頃はともかく、このお年でなんと元気なことか。そしてとても仲が良い。どこへ行くにも2人揃って手を繋ぎ、一心不乱に現代アートをを観て回る。ドロシーの給料を生活費に、ハーブの給料は全てアートにつぎ込んだそうです。

そうして買いに買ったりその数4700点余り。後にアメリカ国立美術館ナショナルギャラリーが作品保護の観点から引取りを申し出た際に、何と1LDKのアパートにも関わらず引越し用トラック5台分にもなったというのですから、その数がどれほどのものなのかが解ろうというものですね。印象的だったのが、夫妻に作品を購入してもらったアーティストたちは一様に2人を人間的に気に入っているということ。画廊とアーティストと言った、ある種ビジネスで結ばれた関係ではなく、本当の意味で心から自分のアートを理解してくれる人とアーティストという稀有な関係が築けているからこそ、そこには人間的な温かみが感じられるのです。もっともそのせいでアーティストから直接作品を買われてしまう画廊は「正直面白くなかった。」と語っていましたが。(苦笑)

そのアーティストの作品を観る時、過去から現在に至る全ての作品を観たがるハーブ。細かい部分にまで立ち入って質問の鬼と化するドロシー。でもそうしている時が2人にとって至福の時間なのだろうなと、観ていれば自然に伝わってきます。既に現代アート界では生ける伝説と化しているハーブ&ドロシー。コレクション展も何度も開かれてはいますが、だからと言って彼ら自身は全く変わるところがありません。今日も2人でトコトコと出かけるのですが、向かった先はいつもと違ってPCショップ。前々からの懸案だったパソコンを買いに来たのです。ノートPCを見ながらいつものように質問魔となっているドロシーをよそ目に、すっかり飽きてベンチに腰を下ろしているハーブは日本でも良く見かける買い物途中のお父さんのよう。流石のハーブもパソコンには興味がなかったようで…(笑)
個人的おススメ度
3.5
今日の一言:いつまでもお元気でいて欲しい!
総合評価:70点
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『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』予告編
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