ストーン/Stone
とある受刑者とその妻、そして定年間近の仮釈放審査官、三者の思惑が絡み合いながら自体は思わぬ方向へ進んで行く。出演はオスカー俳優・ロバート・デ・ニーロ、『ファイトクラブ』のエドワード・ノートン、『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ。監督は『夫以外の選択肢』のジョン・カーランが務める。実力派俳優3人による競演に目を奪われる。 >>公式サイト
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「男たちのヒート祭り 第3弾」だそうだ。ちなみに第1弾『ボーダー』や第2弾『ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え』の時には第○弾とは言っていなかったので、明らかに後付シリーズだったりします。(笑)ちなみに第6弾まで決定済み。前2作は倒産したシネカノンから配給権を買い取った日活が公開にこぎつけたものでしたが、今回はどうした経緯なのかな?ただいずれにしてもパターン的には同じで地味な作品だけれども出演者は一級です。ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチと来たら普通は相当期待してしまいますよね。ついでに言うと、出演者に比して脚本的なインパクトがいま一つという部分も同じ。宗教的な匂いがとても強い作品なので日本には馴染まないかもしれません。欧米での受け止め方はまた私たちとは違うと思いますけれど。
デ・ニーロ演じるジャックは結婚43年、デトロイト郊外に暮らす刑務所の仮釈放管理官です。この仮釈放管理官という職業、要は仮釈放を希望する受刑者と面接して仮釈放委員会に報告書を送る役割で、その報告書を元に委員会は仮釈放の決定を下すと言う訳。定年間近のジャックの最後の担当がエドワード・ノートン演じるストーンでした。ストーンは何としても仮釈放を受けるため、妻のルセッタ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)にジャックをたらしこませるように言い、少しでも報告書に手心を加えてもらおうと企てるのでした。本作で面白いのはジャックとストーンという正反対の人間がある時を境に反転していくという点。とにかくジャックは真面目一辺倒の石部金吉。妻のマデリン(フランセス・コンロイ)ともども信仰に厚い男です。
ところがそこに降りかかるルセッタの誘い。彼女がまた実に魅力的に描かれていて、たんなるありがちなアバズレじゃあない。何と昼間は幼稚園の先生をやっていたりするのです。ミラのそのままでも十分に美しい顔が、ちょっと子供をあやすかのようなイタズラっぽい表情にかわると、これはもう男としては誘いに乗らないほうが難しい…。結局ジャックは彼女に篭絡されてしまうのだけれど、むしろジャックもそうなることを望んでいたかのような節が見えます。それは彼女とかかわり始めてから顕著に描かれていますが、明らかにこれまでの信仰に生きるかのような生活に疑問を感じ始めている様子が良く解るのでした。いけないことをしていると解っていながら、それに身を委ねてしまう男の、まるで根無し草のような不安定さをデ・ニーロが好演しています。
それにしてもアレほどまでに真面目で職業的にもお堅い男が、法的にも倫理的にもむしろストーンの側に堕ちて行くとは、それもある種自ら臨んで…。対するストーンは典型的な犯罪者。仮釈放は欲しいけれど、外に出ても自分は変わらないと豪語する始末。ところが彼の元に一枚の自己啓発を薦めるチラシが届いたことから変化が始まります。耳を澄まして神の声を聴く…、なにやら実にヤバゲではあるものの、これがまたストーンの心の本質を突いていたりするからややこしい。彼もまた心の底では変わりたかったのでしょう。刑務所で起こった殺人事件を目の当たりにしたストーンは、そこで完全に自己啓発に成功するのですが、最初とはまた打って変わった穏やかな表情で、そのたたずまいまで落ち着いてきます。これまたノートンの演技が素晴らしい。
同じ人間の心が変わった芝居、ストーンは別に言っていることはそれほど変わらず、口調も大きく変化した訳ではありません。けれども、中身が変わったことがハッキリ解るのです。失礼ながらノートンてこんなに上手かったかなぁとちょっと驚きを隠せませんでした。ジャックとストーンの面接風景は、即ち法を遵守する者と、それを破るものという意味においてあくまでもジャック側が上から目線でした。もちろん年齢的に人生の先輩だということもあるでしょう。しかし、反転した2人の面接の様はこれが実に面白い。オタオタと落ち着きのないジャック、それはもちろん心に後ろめたいことがあるからで、それに対してすっかりと落ち着き払ったストーン。すっかり立場が逆転したビフォーアフターやりとりに目を奪われます。
結局最後には全てを失ったジャックの耳元で神の声が聴こえる前兆である無視の羽音が聴こえるのだけれど、ここからまたジャックの辿る道がノートンの辿る道だとしたら人間とは一体何なんだろうと考えてしまう…。まるで生きながらにして輪廻転生は可能だとでもいうように感じるのです。いやはや、銀座シネパトス公開にしては思ったより深い作品でした。しかし…ロバート・デ・ニーロが出ている最近観た作品が『ボーダー』、『トラブル・イン・ハリウッド』、『マチェーテ』そして本作と、全くシネコンに絡んでくる大作が無いと言うのは一体どういうことだろう?あ、『マチェーテ』は一応シネコンか!声の出演なら『アーサーとミニモイの不思議な国』はシネコンで上映されてました。吹替えで観ましたが…。(苦笑)
>>男たちのヒート祭り 第1弾『ボーダー』
>>男たちのヒート祭り 第2弾『ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~』
>>男たちのヒート祭り 第4弾『ゲーム・オブ・デス』
>>男たちのヒート祭り 第5弾『沈黙の復讐』
個人的おススメ度
3.0
今日の一言:ミラは脱がなくてもいいのに…
総合評価:67点

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『ストーン』予告編
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» ストーン/ STONE [我想一個人映画美的女人blog]
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受信: 2010年11月16日 (火) 17時15分
» ストーン [シネマDVD・映画情報館]
ストーン
スタッフ 監督: ジョン・カーラン
キャスト ロバート・デ・ニーロ エドワード・ノートン ミラ・ジョヴォヴィッチ フランセス・コンロイ エンヴァー・ジョカ ペッパー・ビンクリー
劇場公開日2010-10-30
...... [続きを読む]
受信: 2010年11月16日 (火) 17時17分
» ストーン [ともやの映画大好きっ!]
(原題:STONE)
【2010年・アメリカ】試写で鑑賞(★★★☆☆)
第23回東京国際映画祭特別招待作品。
ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノ主演「ボーダー」(原題:RIGHTEOUS KILL)、モーガン・フリーマン&アントニオ・バンデラス主演「ザ・エッグ〜ロマノフの秘宝を狙え〜」(原題:THICK AS THIEVES)に継ぐ【男たちのヒート祭り】第3弾。
善と悪、人間の心の闇を緊張感たっぷりに描いたヒューマンドラマ。
定年を間近に控えた仮釈放管理官のジャック・メイブリー(ロバート・デ・... [続きを読む]
受信: 2010年11月16日 (火) 17時37分
» 『ストーン』(2010)/アメリカ [NiceOne!!]
原題:STONE監督:ジョン・カラン出演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、フランシス・コンロイ公式サイトはこちら。<Story>もうすぐ定... [続きを読む]
受信: 2010年11月17日 (水) 11時15分
» ストーン [象のロケット]
デトロイト郊外に住むジャックは、受刑者と面談して仮釈放審査会のための書類を作成する刑務所の仮釈放管理官。 定年を間近に控え、最後に担当することになった受刑者・通称“ストーン”は、書類に手心を加えてもらおうと、妻ルセッタにジャックを誘惑させようと企む。 受刑者の家族との個人的な接触は規則違反なのだが、ルセッタは執拗に電話をかけてくる…。 心理サスペンス。... [続きを読む]
受信: 2010年11月17日 (水) 17時43分
» ストーン [とりあえず、コメントです]
ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチが競演しているサスペンスです。 この3人がどんなキャラクターを演じるのだろうかと気になっていました。 音が印象的で面白かった一方で、ちょっと分からないなあというところも多い作品でした^_^; ... [続きを読む]
受信: 2010年11月28日 (日) 00時48分
» 映画「ストーン 」豪華競演の演技合戦は見もの、でも中身は薄い [soramove]
「ストーン 」★★★
ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチ 出演
ジョン・カラン 監督、109分 、2010年10月30日より順次公開、
2010,アメリカ,日活
(原題・作:STONE)
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「この豪華な顔ぶれながら
事前の盛り上がりが全くない本作
劇場も淋しい客の入り、
どうなんってんだろう?と思いつつ見てると
これ... [続きを読む]
受信: 2010年12月 3日 (金) 07時46分
» ストーン [心のままに映画の風景]
結婚43年になる妻とデトロイト郊外に暮らす仮釈放管理官ジャック(ロバート・デ・ニーロ)は、定年間際に、放火と祖父母殺しの受刑者、ジェラルド・クリーソン、通称ストーン(エドワード・ノートン)を担当...... [続きを読む]
受信: 2010年12月 4日 (土) 11時21分
» ストーン(2010)■◇◆STONE [銅版画制作の日々]
悪を憎み続ける男正義をあざわらう男男たちを蝕む女──そして理性は崩壊していく。
... [続きを読む]
受信: 2010年12月21日 (火) 23時19分
» ストーン [Movies 1-800]
Stone (2010年) 監督:ジョン・カラン 出演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、フランセス・コンロイ 仮釈放の見込みが薄い囚人が、その妻に仮釈放審査官を誘惑させて、仮釈放を勝ち取ろうと画策するが・・・。 この設定で、このキャストだと、二転三転するスリリングな展開を期待するが、それは見事に裏切られ、淡々と展開するだけの内容なので、かなり退屈させられた。 一応、ジャンルとしては、サスペンスやミステリーに分類されているようだが、その要素は非常に薄く、各登場人... [続きを読む]
受信: 2010年12月27日 (月) 21時39分
» 映画『ストーン』を観て [KINTYRE’SDIARY]
10-65.ストーン■原題:Stone■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:105分■鑑賞日:11月1日、銀座シネパトス(東銀座)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名... [続きを読む]
受信: 2010年12月29日 (水) 18時29分
» ストーン [だらだら無気力ブログ]
オスカー俳優ロバート・デ・ニーロ、『ファイト・クラブ』のエドワード・ ノートン、『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ豪華競演 によるクライム・サスペンス。ある受刑者と仮釈放をめぐって相対する 引退間近の生真面目な刑務官が、受刑者の妖艶な恋人…... [続きを読む]
受信: 2011年1月11日 (火) 00時21分
» ストーン [eclipse的な独り言]
うううう、やはり重い映画でした。 [続きを読む]
受信: 2011年1月13日 (木) 15時58分
» ストーン [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
厳格な刑務所の仮釈放管理官と殺人を犯した受刑者という性格も立場も対照的な2人が、1人の女をきっかけに、互いの立場を逆転させてゆくサスペンス。「マチェーテ」のロバート・デ ... [続きを読む]
受信: 2011年1月14日 (金) 16時27分
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エドワード・ノートンって、つくづくすごい役者だ。 [続きを読む]
受信: 2011年2月 4日 (金) 22時28分
» ストーン [こんな映画見ました〜]
『ストーン』---STONE---2009年(アメリカ)監督:ジョン・カラン出演:ロバート・デ・ニーロ 、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、フランセス・コンロイ
結婚43年となる妻とデトロイト郊外に暮らす刑務所の仮釈放管理官ジャック(ロバート・デ・ニ...... [続きを読む]
受信: 2011年5月 6日 (金) 21時38分
» ストーン [銀幕大帝α]
STONE/10年/米/109分/ミステリー・サスペンス・ドラマ/R15+/劇場公開
監督:ジョン・カラン
出演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチ
<ストーリー>
刑務所の仮釈放管理官・ジャックは、受刑者・ストーンの担当に就く。何...... [続きを読む]
受信: 2011年6月 1日 (水) 01時21分
» 【映画】ストーン…ホクロを付けたら もうデ・ニーロ [ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画]
本日二度目の投稿。
今日2011年8月21日(日曜日)は、日中ずっと寝てて、夕方から行動しました
先週行き損ねた門司港レトロに行って、夕方から夜の街並みを撮影
ついでに門司港で寿司(夕食)を食べたあと、小倉南区に移動してお買い物。
で、スタバのコーヒー飲んだり、...... [続きを読む]
受信: 2011年8月21日 (日) 23時42分
» ストーン Stone [映画!That' s Entertainment]
●「ストーン Stone」
2010 アメリカ Millennium Films ,Mimran Schur Pictures ,.105min.
監督:ジョン・カラン
出演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、フランセス・コンロイ他
<感想>
また、論評しずらい映画だなあ。何を言いたいのかさっぱり判りません。サスペンスタッチ
ではあるけれど、宗教が縦軸にあり、キリスト教国でないと、あるいは信者でないと、
人間の業とか罪とかが判らないのかもしれない。... [続きを読む]
受信: 2012年7月 1日 (日) 17時30分
» 映画評「ストーン」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ジョン・カラン
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2012年7月21日 (土) 11時58分
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