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2010年11月 9日 (火)

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

Photo 北尾トロのエッセーを映画化。他人の人生を覗き見だと割り切って裁判を傍聴するマニアたちをコミカルに描き出したコメディドラマだ。主演にバナナマンの設楽統、共演に『20世紀少年』シリーズの片瀬那奈、『笑う警官』の螢雪次朗らが出演。コンビの相方・日村勇紀も登場する。監督は『ソフトボーイ』の豊島圭介監督。裁判所の豆知識にも興味津々だ。
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東京地裁にマリリンはいるか?!

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実にユニークな法廷コメディ、もとい傍聴コメディでした。主人公・南波タモツ(設楽統)が最初戸惑いながら傍聴席に着く様子はまるで『ぐるりのこと。』のリリー・フランキーを思い出します。あの作品も裁判を受ける被告人の人生に触れることで主人公が影響を受けていくお話でしたが、本作のタモツもその辺りは似ています。が!そこまで情緒的ではなく、あくまで楽しいエンタテインメント作品でした。主演の設楽統は映画初主演ですが、売れない脚本家という設定はこれがなかなか良く似合っています。余談ですが劇中ゲスト出演する相方の日村勇紀は、既に決定しているスピンオフドラマ『裁判長!トイレ行ってきていいすか』で主演が決まっているとのこと。さて、では何でまたタモツは傍聴マニアになったのか。脚本家といってもタモツが書いたのはドラマ一作のみで、それ以後はバラエティの構成作家もどき。

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そんな彼を呼び出したのが大物映画プロデューサー須藤光子(鈴木砂羽)でした。彼女は彼のたった一本作った法廷ドラマがいらくお気に召し、“愛と感動”の裁判ドラマの脚本を書いて欲しいと依頼します。そこで、裁判所に傍聴という名前の取材に通うことになったというのがことの始まりなのでした。にしても序盤展開される裁判所のトリビア、「傍聴を楽しむ5つのルール」というヤツからしてどれも興味深くて面白い。

1.入口から堂々と、服装は自由
2.公判開廷予定表をチェック
3.立ち見、不可
4.傍聴マニアの友達をつくる
5.撮影・録音・私語厳禁

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しかしもっと面白いのがこの4番目傍聴マニアの友達たち。タモツは裁判所で西村(螢雪次朗)というベテラン傍聴マニアと出会いますが、彼と彼の傍聴仲間の谷川(村上航)永田(尾上寛之)の3人自分たちを「ウォッチメン」と呼んでいました。裁判官や検事、弁護士に異様に詳しい谷川、裁判所に出入りする女性に対する情報豊富な永田、それぞれの視点から描かれる裁判はコミカルでありながら、やはり人が人を裁いているのだと感じさせてくれます。劇中では実に様々な人間模様が紹介されるのですが、“地裁のみのもんた”のエピソードや、傍聴人が少ないと居眠りをしてるくせに、多いと俄然張り切る裁判官や検事なんてエピソードは、もちろん映画なりのディフォルメはされていても見ていてとても楽しいものでした。

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事件そのものも、アダルトビデオ3本を万引きしたけれど内1本はどうでも良かっただの、歯が痛くて覚せい剤を打ってしまっただの、果ては痴漢裁判なのに傍聴席が女子高生の社会見学の一団だっただのといった、真面目なんだか不真面目なんだか解らないけれど笑えるエピソードが盛りだくさん。ちなみに相方・日村日村勇紀も被告の一人として登場します。しかもこれらのエピソードは実際に取材中に出くわした事件がモデルになっているというのですから、全く持って「事実は小説より奇なり」とは良く言ったもので。さて、タモツが傍聴を始めてすぐに気になったのが美人検事マリリンこと長谷部真理検事(片瀬那奈)。確かに凛としたスーツ姿が非常に美しく、ヒップラインは実にセクシー。法廷で舌鋒鋭く藤田被告(日村勇紀)を追い詰める姿は心から犯罪を憎む正義感を漂わせます。ただこの人“ら行”の発音が上手くできないようで…。

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それが厳しい中にもどこかコメディチックな愛嬌を漂わせる要因にもなっていました。タモツはそんなマリリンに仄かに惹かれてたのですが、当の本人から「さぞかし楽しいでしょうね。他人の人生を高みの見物して!!」と痛烈な一言を浴びて大ショック。そこで彼を励ますために西村が誘ったのが連続放火事件の裁判なのでした。被告人の母や支援者が息子の逆転無罪を勝ち取ろうというこの裁判。ウォッチメンたちは例え傍聴人でも裁判に何か影響を与えられるはずだと各々の得意分野で策をねり、僅か0.1%のその確率に賭けます。単純に面白いエピソードの羅列から一転、一つのドラマへと展開していく本編。とはいえ、時折はいるネタの数々は相変わらずケッサク。担当の剣崎弁護士を堀部圭亮が演じ、彼がタモツが唯一書いたドラマに登場する弁護士のパフォーマンスを真似るシーンなど大うけ。

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っとまあそこまで盛り上げておきながら、ラストはちょっと拍子抜けでした。事件の結末に関しては特に言うことはありませんが、それを受けての映画本編の〆方が弱いように感じます。本格的な法廷ドラマというわけではないので、もとより観客をカタルシスへ誘うつもりはなく、敢えて外してきたのでしょうけども。そうはいっても「やっぱ、そう簡単にはいかないよね~、チャンチャン」的終わり方はちょっと寂しいです。意外性ならもっと大きな意外性、笑わせるならもっと強烈な笑い、或いはブラックな笑いで〆て欲しかったなと。身内あるいは知人に裁判の被告になっている方は全く笑えない作品でしょうが、裁判員制度もはじまり、より裁判を身近に感じさせるということでは意味ある作品だと思います。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:元祖マニア阿曽山大噴火も出演!
総合評価:70点

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『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』予告編

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