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2010年11月25日 (木)

レオニー/Leonie

Photo_2 世界的彫刻家イサム・ノグチの母親、レオニー・ギルモアの波乱の生涯を描いた伝記映画だ。ニューヨークで野口米次郎と出会い、イサムを出産し、来日と様々な環境に身を置きながらも息子を愛し続ける母親を演じるのは『マッチポイント』のエミリー・モーティマー、野口米次郎は歌舞伎俳優の中村獅童が演じる。監督は『ユキエ』、『折り梅』の松井久子。
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彼女の生き方を観ていると疲れる

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ある意味期待通りの作品だったといえるかもしれません。予告編を観た段階で、20世紀初頭のアメリカの様子や、日本の雑踏、家屋といった情景は上手くできていると思っていたのだけれど、実際確かに美しい映像が多かったと思います。光の加減が絶妙だと感じました。同時に中村獅童のあまりにコテコテな日本人像が気になっていたのですが、この人、歌舞伎役者の割りに昭和初期のステレオタイプな日本人男性がどうも馴染みません。結局は若いのかも。ちなみにイサオ・ノグチの名前自体初めて聞く私としては、芸術家の母親レオニーとしてよりも、たった一人日本に渡ってきたアメリカ人女性レオニーという視点でこのドラマを観ていました。物語の展開は大きく分けて3つ。1つは野口米次郎(中村獅童)と出会い編集者として過ごすアメリカ時代、そして2つ目は来日してからの親子の生活、そして最後が帰米してからというものです。

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野口米次郎のアメリカでの詩集出版の編集者として雇われたレオニー、物語では彼女の働きで「The American Diary of Japanese Girl」の出版が決まったのが2人の仕事の始めての成功として描かれています。この成功で一気に距離が縮まった2人は極普通に恋に落ち、やがてレオニーは妊娠するのでした。日露戦争による日本人に対する人種差別の強まりが米次郎をして単身帰国させる決意を固めさせるのですが、帰国を告げる米次郎にレオニーが妊娠を告げると「嘘だ!君は僕をこの国に引き止めたいがためにそんなことをいっているんだ!」。実際がどうだったのかは知る由もありませんが、この余りに使い古されたセリフにはちょっとガッカリ。そんなことよりも、具体的に彼がどのような人種差別に晒されたのかを描かなければ意味がないと思うのです。何故なら、それが今度はレオニーが来日した際に逆の立場となって彼女を襲うことになるから。

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結局母の実家で後のイサムを産んだレオニー。日本に帰っても相変わらず原稿は彼女の元に届くことが、米次郎が編集者として彼女に信頼を寄せていた証のように思えます。そして1906年(明治39年)、米次郎の誘いでレオニーとイサムは来日。ここで彼女は女は男の3歩後ろを歩くだとか、家では靴を脱ぐだとかいった日本式の洗礼を受けるわけです。彼女が家を出る直接的な原因となったの米次郎に妻がいて自分が愛人扱いされることだったのですが、他の様々な場面でも描かれていたように、要は一個の独立した女性として扱われない、男尊女卑の社会が我慢ならなかったということでしょう。元は教師という彼女のために米次郎は英語を教わりたいという生徒を用意していましたが、実はその3人ともに既に話せる人間、即ちそれは異国の地の彼女を思いやって英語を話せる人間を集めたという米次郎の優しさも、彼女にとっては不本意だったようです。

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米次郎は確かに身勝手であり、女性の目から見ると最低と映るかもしれませんが、この時代においては特に際立って悪い男だとは私は思えません。もっともこの役を中村獅童にオファーする制作者サイドも随分と強気だったと思いますが。(笑)本人曰く、この役のオファーが来た時は竹内結子と離婚問題真っ只中だったようでかなり悩んだんだとか。さて、レオニーは家を出た後2人目の子(アイリス)を産みます。この子の父親が誰であるかは描かれていません。ちょっと調べてみても解らないのですが、実際死ぬまで秘密にしていたのでしょうか。後にアイリス本人が聞いても頑なにレオニーは頑なに答えませんでした。生活に困った彼女は、大学時代に知り合った津田梅子(原田美枝子)を訪ねますが、「仕事は差し上げられない。」と断られます。表向きはあなたのような女性はまだ日本では受け入れられないというのがその理由。

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つまりそれは「父親のいない子供を2人も抱えている外国人の女性」という意味なのですが、ここで津田は最初に「日本語は?」と聞いています。レオニーは滞在5年にして全く日本語がしゃべれませんでした。これは明らかに覚える気がなかったからであって、それは即ち日本の文化に溶け込もうとはしていなかったことを意味します。最初から数年で帰ることを想定して日本に来た訳ではないでしょうし、彼女ほど聡明な人が覚えられないはずがありません。津田の断った背景にはそういう部分もあるのではないかと思うのです。ただし、事ほど左様な頑固さ加減がある意味イサム・ノグチを育てたのだというのが物語の流れでした。即ちレオニーの頑固さは別に日本人や日本にだけ向けられたものではなく、先に書いたとおり娘であるアイリスにすら頑として父の名を言わなかったことからも解ります。印象深かったのがイサムの恩人に対するシーン。

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アメリカに一人帰国したイサムを保護し医学校にまで通わせてくれた大恩ある人間に、彼女は会うなり「イサムは医学校を辞めさせます」と言ってしまうのでした。ここからは彼の芸術家としての才能を花開かせることが自分の使命であり、そのためなら何だってするという強烈な覚悟と自負が感じられます。つまり彼女の生き方は独立した一個の女性として男性と対等にといった考え方とはまた別のように思えるのです。終盤気がつくとイサムが学校を辞めて、いつの間にか芸術家として認められる存在になっていたりと、急ぎ足な点は否めませんが、レオニーを主人公とした物語としてはその時点では既にやるべきことをやり切ってしまっていたということなのかもしれません。日本には「若い頃の苦労は買ってでもしろ」なんて言葉がありますが、買った苦労を全て子供のために使ってしまったのが彼女だったように思えます。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:話自体はそんなに面白いものでも…
総合評価:60点

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『レオニー』予告編

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☆☆☆-- (10段階評価で 6) 3月3日(土) WOWOWシネマの放送を録画で鑑賞。 [続きを読む]

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