パートナーズ
| 盲導犬の啓蒙作品としてはイイ |
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最初は『きな子~見習い警察犬の物語~』の盲導犬バージョンかと思いきや、むしろ1匹の盲導犬に関わることになった人々の成長物語でした。つまり主人公は盲導犬ではなくて人間ということ。とはいえ、もちろん盲導犬自体の啓蒙の意味もあるのでしょう、訓練の様子などは初めて観るものばかりでした。そもそも盲導犬が生後2ヶ月でパピーウォーカーと呼ばれる育ての親に預けられ、10ヶ月後に戻ってくるということからして初耳。この物語の主人公の一匹となる子犬は長谷川家に預けられます。長女の美羽(近藤里沙)がつけた名前はチエ。名前の由来は後半に明かされますが、うーん、まあそう大したエピソードでもありません。(苦笑)そもそもチエを預かったのは、父と母が別居し、寂しがる美羽のため。

しかし、飼ってしまうと死んだ時のショックが大きいから10ヶ月で返すパピーウォーカーになったというのが本当のところです。これには初っ端から疑問を感じてしまいます。どう考えても死に別れるより、生きているのに手放すほうが辛いと思うのですが…。チエの盲導犬の成長に合わせて美羽の成長を描くためとはいえ違和感は禁じ得ません。ところで子役の近藤里沙ちゃん。とても上手な芝居を見せてくれます。ただちょっと上手すぎな気がしました。妙に演じるという技術的な上手さが目立ち、子供らしい素直な感情の吐露をその技術が邪魔をしているように思えました。さてさて、そんなチエを担当し訓練するのが准盲導犬訓練士・小山内剛(浅利陽介)。ワーキングプアだった彼は、食いっぱぐれがなく、人の役になっている気持ちになれる職業として盲導犬訓練士を選んだのです。

実は彼の訓練は技術的には問題ない、むしろ上手いぐらいなのですが、上司(夏八木勲)は技術だけじゃその内行き詰ると語るのでした。盲導犬は街の中を人間の指示通りに動けるようになるために繰り返し訓練されます。その様子は何度も映し出されよく解りました。日本語は方言などで曖昧になってしまうために、指示は全て英語なんですね。ただ犬の方はたっぷり観せてもらえましたが、小山内が訓練士になるまでの様子は殆どダイジェストで飛ばされてしまったのがちょっと残念な所ではあります。技術だけではダメだというのであれば、それこそ最初の段階でそれを教えてもいいんじゃないの?なんて思ったりも。もっとも技術だけではダメなら何が必要なのか。劇中では小山内が美羽に教えを乞いにいったりもしますが、観ている私たちにはそんなことは言われるまでもなく一目瞭然。

最初から彼は犬は好きでも嫌いでもないと宣言してますから。つまりチエに対して愛情を注がなければ、チエも言うことを聞かない。犬だって感情のある生き物である以上そんなことは当たり前です。しかし、物語が進むにつれてそれだけではまだ足りないことが解ってくるのでした。ライブ中の事故で失明した真琴(大塚ちひろ)が訓練センターを訪れ、小山内は彼女とチエの訓練を始めます。チエが言うことを聞かないと苛立ちを隠さず小山内に当り散らす真琴。そしてそれをモロに受けて「それはあなたの愛情が足りないからだ!」と逆に怒鳴りつける小山内。かつての自分を見るようだったのでしょう。しかし、本来なら真琴に対してだってチエと同じように愛情を注ぐべきなのです。いずれにせよ、真琴は以前に小山内が美羽から教わったのと同じようにチエに愛情を注ぐこと、そしてそうすればチエは自分にとってかけがえの無いパートナーになってくれることを悟ります。

ところでこれも初めて知ったのですが、候補犬が盲導犬の適正試験に合格しなければならないのは当然ですが、その盲導犬を使う側も共に試験を受けて合格しなければいけないのですね。盲導犬は誰でも自由に使えると思っていただけにちょっと驚きです。さて、こうして美羽、小山内、真琴はそれぞれの環境で成長しながら、チエを通じて繋がりを持つことになります。ただこの後は流石にちょっと繋がりすぎじゃないかと言う気がしました。というのも小山内が真琴に惹かれていってしまうから。何故か2人のキスシーンまで登場し、その後はラブストーリーもどきに話が変貌を遂げてしまうのです。勿論そういうこともあるのかもしれません。しかし、作品のテーマからは少々逸脱してしまっているのではないでしょうか。

ましてチエが酔っぱらいに重傷を負わされる云々のエピソードは、チエに関わった人間を一ヶ所に集める無理矢理すぎる展開です。最終的に仙台に転勤を言い渡される小山内が真琴に「一緒に行ってくれませんか」とプロポーズするシーンなどもはや蛇足以外の何ものえもありません。訓練シーンやチエと心を通わせるまでといった、割とあっさり飛ばしてしまったシーンを厚くして、どうでも良い安っぽいラブストーリーを減らせば、もっと軸がぶれない作品になったのではと思うと勿体無い気がします。
個人的おススメ度
3.0
今日の一言:いかにも文科省推薦ぽい作品だわ…
総合評価:61点
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『パートナーズ』予告編
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