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2010年11月15日 (月)

442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍

442 第二次世界大戦当時に日系人だけで編成されたアメリカ陸軍442連隊。主に当時の生き残りの兵士たちの話を聞くことで、今でもアメリカ史上最強と言われるその部隊の真実に迫るドキュメンタリーだ。監督は『東洋宮武が覗いた時代』のすずきじゅんいち。ドイツ兵だけでなく、人種偏見とも戦い死んでいった彼ら。生き残りの兵士たちの言葉の重みが胸に深く刻まれる。
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それでも語ってくれた彼らに感謝です

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アメリカ陸軍に日系人だけの部隊があるということは知っていましたが、それが442連隊と呼ばれ、しかもアメリカ陸軍史上最強と言われているなどということは初耳でした。第二次世界大戦における当時の方々の話は、皆さんがもう相当に高齢であることを考えると日本であってもアメリカであっても非常に貴重であることは言うまでもありません。お互いの国籍が日本であろうとアメリカであろうと、あの戦争の真実は一様なのですから。しかも、アメリカ陸軍の部隊の話であっても、その殆どは日系二世です。一世の日本人の子供であるということは、日本の古きよき精神を受け継いだ上で当時も今も生きていらっしゃる訳で、いわば日本人の心を持ったアメリカ人であると言えます。戦後一様に口を閉ざし続けた彼らが語った言葉は全て重く胸に突き刺さるものでした…。

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そもそも話はハワイ真珠湾攻撃に遡ります。あの奇襲によって、日系人たちが強制収容所に入れられたのは良く知られた話ですね。その後、ハワイの日系人で第100大隊が結成されます。イタリア戦線でのとてつもなく大きな犠牲の代償にめざましい活躍をした第100大隊は、米国本土の日系人によって構成された442連隊に吸収されるも、その大隊名は残されることになります。よって映画のタイトルでは442連隊となっていますが、英語字幕などでは「100/442」と表記されていました。ここで興味深かったのが、ハワイの日系人と本土の日系人が仲が悪かったという事実。ハワイの日系人に本土の日系人強制収容所を訪問させることで、自分たち日系人の置かれた立場を悟らせたというエピソードは何とも皮肉です。

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アメリカ史上最も多くの勲章を受けたこの部隊、しかしその代わり死傷率もとんでもなく高かったのだそうです。その率は一説に314%。要は3人に1人が、ではなくて1人が3回以上死傷しているということ。生き残りの兵士たちの話もそれはもう凄まじいもので、すぐ隣の戦友が頭を吹き飛ばされたとかは当然で、右腕を吹っ飛ばされその手に持っていた手榴弾を左手に持ち替えて投げたとか、骨と肉がえぐられて片方の手が短くなっていたり、背骨のそばに炸裂弾の破片がのこっていたりといった具合。彼らは一世の両親から受け継いだ日本人の心を持っていたが故に「バンザイ突撃」といったまるで日本軍のような攻撃を繰り返していたことが、皮肉にも多大な戦果と異常な死傷率に現れていたのでした。ただもちろん形はともかく中身は日本軍のそれとは異なります。

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そうして戦果を挙げればあげるほど、収容所で待つ家族の名誉が回復されていくことを彼らは知っていたのです。彼らは自分たちの事を自嘲気味に「We were expendables.」(我々は消耗品だった)と語っていました。映画『エクスペンダブルズ』で初めて知った“消耗品”を意味するこの単語、よもや本当の意味でそうだった方々の自ら口にされる言葉は余りにも重い。そしてホンモノののエクスペンダブルズたちはヨーロッパ戦線での驚異的な戦果は、今に到るまで語り継がれるものとなっていたのでした。フランス東部のブリュイエールの街をドイツ軍から開放し、連隊のうちの522大隊がドイツでダッハウ強制収容所を解放、そしてドイツ国境にあるボージュの森でドイツ軍に包囲され全滅寸前のテキサス大隊を救出する。

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この救出作戦は救出した大隊の人数より、442連隊の死傷者の方が多かったという、純粋に戦力的な意味としては無謀ともいえる作戦でした。しかし、ブリュイエールの街の人々や、強制収容所の生き残りの人々、そして救出されたテキサス大隊の兵士とその家族といった人々は現在に到るまでその恩を忘れてはいませんし、心の底から彼らに対する感謝の念を抱いていました。彼らは一様に口をそろえて「彼ら(442連隊)は私たちのヒーローだ」といいますが、連隊の生き残りの兵士たちはそれを否定するのです。「私たちは戦争で何人も人を殺した。そんな人間がヒーローであるはずが無い。」と。そしてその想い故にこの442連隊の話は家族にすら話さずに現在に到っていたというのです。子供にそんな話ができると思うか?そう問われると返す言葉がありません。

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一番心に残ったのがダニエル・イノウエさんの言葉でした。「猫を車で轢いたら感触は忘れないでしょ?猫ですら忘れないんだから、人間を何人も殺したらそれを忘れられるはずがないじゃないですか。戦争の話なんて実際に体験した人にしか解らないですよ。」それでも今回多くの事を語ってくださったことにはただただ感謝です。ラストで当時のトルーマン大統領が「You fought not only the enemy, you fought prejudice and you won.」(諸君は敵だけでなく偏見とも戦い勝ったのだ。)とスピーチしています。確かにその通りです。しかし私はそのスピーチを聞いて、その前にテキサス大隊の生き残り兵の娘さんが言った「9.11で私たちはまた同じ過ちを繰り返している。」という言葉の方が強く印象に残りました。

個人的おススメ度4.5
今日の一言:実に様々な戦争の映像が残っていたのに驚きます
総合評価:91点

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『442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍』予告編

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80歳代後半から90歳代の、442連隊の生き残りの人たちへのインタビューと、第二次世界大戦当時のモノクロ映像とで語られるドキュメンタリー映画。第442連隊戦闘団の獅子奮迅の活躍につ... [続きを読む]

受信: 2010年11月27日 (土) 23時39分

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五つ星評価で【☆☆☆☆立派だ】       アメリカ陸軍最強の部隊は日系人部隊だった。 これは心地よい甘言だ。 サッカーで全国民が一体になるのに近い甘言だ。 だが、そん ... [続きを読む]

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 この高揚感はどうしたことだろう。映画からは、とても前向きな、力強さが伝わってくる。この映画を「楽しい」とか「面白い」と評したら、不謹慎だろうか。  戦争の記憶をたどる映画は、往々にして悲しく...... [続きを読む]

受信: 2010年12月11日 (土) 14時14分

» 『442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍』(201... [NiceOne!!]
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受信: 2010年12月12日 (日) 00時16分

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受信: 2011年1月14日 (金) 15時14分

» 442 日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍 [とりあえず、コメントです]
第2次世界大戦時に日系アメリカ人たちで編成された442部隊の功績を追ったドキュメンタリーです。 昨年の東京国際映画祭ではじめて知ってから気になっていたのですけど、 1月に観て、そして、ようやく書きましたm(__)m インタビューや残された資料で綴られた映像はとても強い印象を残すものでした。 ... [続きを読む]

受信: 2011年3月18日 (金) 23時07分

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