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2010年12月 3日 (金)

ベオグラード1999

1999 右翼民族派団体「一水会」の木村三浩代表に密着し、彼らの国内外での行動を記録したドキュメンタリー。監督の金子遊自らがカメラを回し、時に語りかけ、最終的には空爆直後のユーゴスラビア首都ベオグラードに外遊に行く木村に同行する。顧問で元代表の鈴木邦男や、野村 秋介、西部邁といった論客や、果てはユーゴスラビアの大統領までも登場する貴重な映像だ。
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右翼と新右翼って何が違う?

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私は自分が特に右だとか左だとか考えたことはありませんが、極々当たり前に国旗・国歌に対する敬意は抱いています。ですからそれを唄ったり起立したりすることが個人の自由だとは断じて言えません。そう考えると恐らく左翼ではないんでしょう。いずれにしても私はここでイデオロギー論争が出来るほどのポリシーも哲学も持ち合わせていませんので、極一般的な日本人として観て感じたままを書いてみたいと思います。この作品で面白いのは、右翼民族派団体「一水会」とその代表である木村三浩氏に密着している金子監督自身が自分のことをリベラル左派だと最初に言っていること。私とても仕事で取材する時なら、自分の思想信条は関係ないですが、どうやらそう単純な話でもないらしい。

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そもそも“右翼”と“新右翼”って何が違うのだろう。申し訳ないけれど素人からすれば街宣車に乗って、軍歌を流しまくり、迷彩服やらを着込んだ怖いお兄さんたちが、共産主義を批判し、天皇陛下万歳を叫ぶというのが右翼の方々のイメージ。作品を観ていると、もちろんそんな一面もあるのだけれど、“新右翼”というのはもうちょっと幅が広いように見受けられます。即ちもっとリベラルな感じ。右翼でリベラルというと矛盾しているようにすら思えるけれど、実際「一水会」代表の木村氏はその挨拶で、左翼の人たちも含め色んな主義主張の人たちと議論を深めて行きたいと語っています。だからこそ思想的には反対の立場の金子監督が木村代表に密着することも認められたんでしょうし。

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実は金子監督の恋人はイラク戦争前のバグダットでバビロン音楽祭に出演しているのですが、そこでの縁で彼女は一水会の事務局員として働き始めます。しかし5年後に彼女は自殺。解説によれば、そこで再び監督はフィルムを回し始め本作を完成させたとありますが、正直言って作品からは何故そこで再び彼が動き始めたのか、私には明確な解は得られませんでした。ただ、もし自分だったら元恋人で親友が自殺したら当然「何故?」と思うでしょうし、彼女が熱心に携わっていた右翼民族派の運動の内に何かの理由を発見出来るかも知れないと考えるのはそれほどおかしなことではないでしょう。いずれにしろ、映像は1999年当時の木村三浩氏(当時は書記長)と一水会の活動を映し出して行きます。

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一水会の主張は様々あるのでしょうが、作品から強く感じたのは“反米”とそれに付随する“自主憲法制定”。イラク戦争でアメリカを批判、コソボ紛争でNATOの空爆を批判し、街頭演説やアメリカ大使館前でのデモがの様子が印象的でした。それこそどんな人とも冷静に論理的に議論ができそうな木村氏と、いわゆる私のイメージ通り拡声器でがなりたてる活動員が同じ場所で同じ活動をしていることに妙な違和感を覚えます。結局は大きな声と威嚇的な姿で相手を威圧する人の主張は、たとえそれが正しくてもへそ曲がりの私としては素直に聞きたくないんですよね。いや、私だけでなくそれは自ら一般の人たちとの間に恐怖という垣根を作っているだけだと思うのです。

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さて、いよいよ木村氏の外遊シーン。空爆直後のベオグラードに入り、V・シェシェリ(セルビア副首相)やセルビア民兵の指導者らと会談して行きます。こういっては何ですが、意外なほど大物と会ってるんですね。しかも何れも大歓迎!彼らは一様にアメリカの覇権主義を批判しています。私は総じて言えば反米でも親米でもないです。ただし個別の事象に関しては反米にも親米にもなり得ます。多くの日本人が私と同じだと思いますし、別にそれで良いと思っています。しかしながら、子供の頃からアメリカ的なものに囲まれた生活を送ってきた人間とフラットな環境で育ってきた人間では、自ずから元もとの距離感に違いがあるのだということは強く感じました。

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つまり、アメリカに対して特別な感情を持っていない人々は逆に言えば日本人に対しても極めてフラットな距離感を持っていてくれるわけで、そこにはお互いをリスペクトし合える人間関係があるのではないかと思うのです。敗戦以来どこか従属的で、アメリカの顔色を覗うようないびつな関係になってしまっている、それはアメリカに限らず西側戦勝国と日本との間に私がずっと感じていた雰囲気でもあります。それだけに彼らの民族主義的なスタンスはちょっと新鮮に感じてしまったのも事実でした。ベオグラードから戻った木村氏は一水会の代表となりますが、今の私は以前より少しだけ彼らの活動に親近感を覚えているのでした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:もう少し編集技法的に工夫できたと思う
総合評価:69点

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『ベオグラード1999』予告編

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