チェブラーシカ(2010)日本語版
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日・露・韓の力が結集した上質なアニメ |
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あまり大人がとやかく言う話ではないでしょう。ロシアの国民的キャラクターのチェブラーシカが中村監督をはじめとする日・露・韓のスタッフの手で27年ぶりに甦ったというだけで十分だと思います。元々この復刻版『チェブラーシカ』は、1969年のオリジナル版のリメイクである第1話の「ワニのゲーナ」、そして完全オリジナルストーリーの第2話「チェブラーシカとサーカス」、第3話「シャパクリャクの相談所」という3部構成。ところが日本語版は第1話をダイジェスト版サイズにしたものなんだそう。何だってそんな余計なことをしてしまうのか…。同時上映の短編『くまのがっこう?ジャッキーとケイティ』を入れるぐらいなら普通に上映してくれればいいのに。


あ、決して『くまのがっこう?ジャッキーとケイティ』がつまらないという訳ではありません。これはこれで正に絵本チックで優しい物語でした。オレンジの箱に詰められて送られてきた不思議な生き物は、よたよたとしてすぐ倒れてしまうその様子から、ロシア語の“よく転ぶ”という意味のチェブラーシカと名付けられます。その昔流行ったモンチッチを思い出さないでもなかったのですが、これが実に愛らしい。吹替え版はそれを大橋のぞみが演じていることもあって、相乗効果で文句のつけようがありません。昔の作品は12フレームで撮影されたそうですが、今回は24フレームで撮ったそうで、その分動きは滑らかにはなっているものの、その代わり同じシーンを撮る手間が単純に倍になる訳で…。


なるほど撮了までに6年の歳月を費やしたのもうなずけるクオリティです。「チェブラーシカとサーカス」の第2話では、2人はマーシャという少女が街にやってきたサーカス団に入る手助けをするのですが、日本だとその昔子供を脅しつけるのに「サーカスに売っちゃうよ!」なんて言ってたものですから、国柄の違いにちょっとギャップを感じたり。自分の努力で自分の能力を高めて、それを売り込み仕事を得る。ロシアならずとも欧米では当たり前の思考なんでしょうね。この少女マーシャが第3話の「シャパクリャクの相談所」の登場人物・手品師に繋がってくるという辺りはオーソドックスにまとめた印象です。それにしてもオリジナルとはいえきちんとロシア風に仕上がっていました。


これは脚本に参加したミハイル・アルダーシン氏の力が大きいのでしょうか。監督のインタビューを聞くと、とにかく日本人であることよりも作品を今の世に新しい技術で甦らせることに重きを置いていて、ストーリーであるとか、キャラクターのデザインやその仕草などは、とにかくロシア側と密に話し合いながら作り上げて行った様子が覗えます。言ってみれば中村監督はディレクターというより、むしろコンダクターだったのかなと。いずれにしても、過去にいくつも観てきたパペット・アニメーションと比較してもかなりのクオリティの高さだと思います。是非劇場で癒されてください。


同時上映の『くまのがっこう?ジャッキーとケイティ』は人気絵本シリーズ『くまのがっこう』を基にした短編アニメーションです。これも絵本が元ですから大人の私がとやかく言う内容ではないですが、優しい感じのアニメーション、写真を見てもらうと解ると思いますが、本当に絵本そのままのイメージに仕上がっています。友達想いのジャッキーが、その友達のために大冒険(といってジャッキーにとってですよ。)に出る愛らしい姿を観ると思わず心の中で応援してしまう自分がいました。コチラも小さいお子さんと一緒に観るにはうってつけの一作です。
個人的おススメ度4.0
今日の一言:ロシア語版は全国で2館のみ上映だそうで…
総合評価:80点
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『チェブラーシカ』予告編
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