キック・アス／Kick-Ass

ヒーローに憧れる何の特殊能力もないオタク高校生がある日成り切りヒーロー、キック・アスとして立ち上がる。主演は『ノーウェアボーイ　ひとりぼっちのあいつ』のアーロン・ジョンソン。共演に『（500）日のサマー』のクロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ。監督はマシュー・ヴォーンが務める。ブラッド・ピットのプロデュース作品としても注目だ。
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キュート♪で最強！ヒット・ガール

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２０１０年も末に来てメチャクチャ面白い作品が登場した！マーベル系コミックの実写映画化なのだけれど、今度の主人公は単にヒーローに憧れるアニメオタクの高校生デイヴ（アーロン・ジョンソン）。全身緑の変なタイツを着て成り切りヒーロー、キック・アスとして街の平和を守ろうとするのだけれど、いきなり不良に刺されるわ、車にはね飛ばされるわともうボロボロ。骨折しまくった骨を固定する金属プレートの映ったレントゲンを見て「ウルヴァリンみたいだ！」と無邪気に言える辺りが実に抜けてて面白い。ちなみにアーロンはつい先日『ノーウェアボーイ　ひとりぼっちのあいつ』でジョン・レノンを演じていたのだから俳優って大したものです。しかし！この超平々凡々なヒーローだけで、この作品がそんなに面白い訳がない！

そう、この作品の面白さは同時に登場するヒーロー、ビッグ・ダディ（デイモン：ニコラス・ケイジ）＆ヒット・ガール（ミンディ：クロエ・グレース・モレッツ）父娘にあるといっても過言じゃないのです。そもそも登場からしてミンディを拳銃で撃つデイモンというショッキングなシーン。もちろん防弾ジャケットの性能を試しているんですけどね。この父娘の常識外れの会話がまた最高なのです。細かいネタは書きませんが、一見幼く無邪気なミンディと一見優しいパパのデイモンという微笑ましい父娘の姿と、２人の口をついて出てくるセリフとのギャップに驚きながら笑うという感じ。誕生日のプレゼントにバタフライナイフが欲しいなんて言うこのヒット・ガール、実は彼女は元警官のビッグ・ダディに殺しの業を仕込まれた超凄腕のヒットマンです。

従って悪人たちを冷酷かつ無慈悲にサクサクと殺しまくります。そりゃもう、幾ら変身しているとはいえ、明らかに少女がかなり残忍に殺しまくるのだからＲ１５＋指定も止む無しでしょう。というか、全国のＰＴＡを敵に回すことは必須かも。ただ一応これには理由があって、劇中ではそれがコミックで説明してくれる所がまた上手い演出。クロエちゃんは撮影当時１１歳だったそうですが、ここまで華麗なワイヤーアクションを魅せてくれるとは驚異的です。特にクライマックスに敵ボスのフランク・ダミコ（マーク・ストロング）の所に乗り込み闘うシーンは圧巻。２丁拳銃での空中リロードシーンなんて惚れ惚れするほどカッコいい。更に！撮影当時４５歳のオヤジのマークの顔面を１１歳の少女のクロエちゃんがタコ殴り！これにはもう萌えた萌えた燃えた燃えた！

いずれにしても道徳的にとか倫理的にと考えてしまう方は最初から観ない方が良いと思います。ニコラスは今回は完全に脇役。ある意味クロエちゃんの引き立て役とい感もありますが、どこか頭のネジが飛んでるパパが余りにピッタリ過ぎる…。ビッグ・ダディのコスチュームはバットマンそのもので、一度だけですがまさにバットマンさながらに悪人たちを倒しまくるシーンが用意されていますから、ニコラスファンもご安心を。余談ですがキック・アスが彼ら２人を呼ぶ時の方法聞くと「市長に頼んでバッドシグナルを夜空に……」なんて本家へのオマージュを込めたジョークで返すあたりも洒落てて実に面白かったりします。さて、キャラ的に喰われ気味の主人公のキック・アス、彼は途中からどちらかと言うと物語を回す役目。もっと言えばやっぱりヒット・ガールの引き立て役？

もう一人登場する偽ヒーロー、レッド・ミスト（クリス：クリストファー・ミンツ＝プラッセ）がダミゴの息子とも知らずに彼の計略にのってビッグ・ダディとヒット・ガールをピンチに陥れてしまいます。ダミゴの手下にいきなり撃たれるヒット・ガール。しかし我々は彼女がそれでは死なないことを物語の冒頭に見ています。しかしキック・アスとビッグ・ダディは捕まり、殆ど集団リンチ状態に…。しかもそれがネットで生中継されると言う生々しさ。ヒット・ガールは一体いつ助けに来るんだ！これが結構ハラハラさせる展開だったり。実に思わせぶりな展開がベタだけれど堪らない…。結果的に美味しい所は主人公のキック・アスが全部持っていってしまいますが、ダミゴへの決めの攻撃は、これまた常識外れのバカバカしさに大笑いでした。

ダミゴ亡き後、彼のデスクに座るのは息子レッド・ミスト…、どう考えても続編を匂わせた終わり方ですがどうなんでしょう。と思ったら原作者のマーク・ミラー曰く、上手くすればマシュー・ヴォーン監督が『Ｘ-ＭＥＮ:ファースト・クラス』を撮った後にも『キック・アス２』の制作に取り掛かれるのではないかなんてことを言っているようですが、実際はどうなんでしょうか。個人的には是非またヒット・ガールの活躍が観たいところです。

個人的おススメ度4.5
今日の一言：また凄い子役が現れたなぁ
総合評価：87点

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『キック・アス』予告編

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