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2010年12月10日 (金)

クレアモントホテル/Mrs Palfrey at The Claremont

Photo イギリスの女性作家エリザベス・テイラーの同名小説を映画化。ロンドンのクレアモントホテルを舞台に老婦人と作家のたまごのせいねん、ホテルに暮らす仲間との交流を描いたヒューマンドラマだ。主人公の郎老婦人を『スパイダーウィックの謎』の名女優ジョーン・プロウライトが、青年を『わたしの可愛い人 シェリ』のルパート・フレンドが演じる。監督はダン・アイアランド。
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人生の最後に起こった奇蹟の出逢い

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何となく勝手に高級ホテルを予想していたけれど、実際に出てきたのはロンドンにある安ホテルでした。主人公のサラ・パルフリー夫人(ジョーン・プロウライト)がタクシーでホテル前に着いても、たった1人いる年老いたドアマン兼ベルボーイが出てくるだけで、しかも荷物はポイポイ放り、ドアを開ける時には「ちょっと持って。」だって。(笑)一番良い部屋との触れ込みで入ったものの、それはまるで日本で言うところのビジネスホテルのよう。ディナーを食べに正装してレストランにいくと、そこには普段着の宿泊者たちしかいない…。要はこのホテル、表向きは行き場のない老齢の方々の長期滞在するホテルといいつつも、実質はいわゆる高級老人ホームのようなものなのでした。一体どうしてパルフリー夫人はこんな所に来たのか、後々それは解ることになります。

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ジョーン・プロウライトは『スパイダーウィックの謎』でお祖母さん役をやっていた女優。気品を漂わせつつも、どこか可愛らしい“おばあちゃま”と言った感じだけに、ホテルにいる妙に個性的な面々ともすぐに馴染みます。それにしても宿泊している老夫人の皆様方が如何にも昔の英国的な持って回った言い回しをするのに、彼女たちの楽しみがテレビで「セックス・アンド・ザ・シティ」を観ることだというのだからケッサク。ある日のこと、そのうちの一人、アーバスノット夫人(アンナ・マッセイ)から外出の際に図書館で本をとってきてくれるように頼まれたのが作家の卵のルードヴィック・メイヤー(ルパート・フレンド)と出会うきっかけでした。ルードがまた恐ろしく好青年!家の前で転んだ夫人を見かけると急いで駆けつけ、優しく抱き起こし、家に招き入れ治療してあげる。

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恩に着せるわけでもなく、偉ぶるでもなく、それが当然のように行動するルードですが、爽やかな美青年ルパートが演じるとこれがまた実に嫌味がなく、それどころか観ているこちらまで清々しい気持ちになってきます。だからと言って単純に80過ぎの老夫人と26歳の好青年の恋物語という訳ではありません。母親の世界が自分とは違うと一人で生活しタイプライターに向かう毎日を過ごすルードと、最愛の夫アーサーを亡くしたサラは歳は離れていても似たもの同士なのです。しかしながら、ルードの好きな詩人が亡き夫アーサーの好きだったウィリアム・ブレイクだったり、夫と観た映画『逢びき』の想い出を語りながら、ルードがサラの好きな「For All I Know」をギターを弾きながら歌ったりする様子からは、彼女がルードに亡き夫の若き日の姿を重ねていたのは事実でしょう。

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すっかり意気投合した2人は、ホテルの住人の前でルードがサラの孫息子を演じるという大芝居を演じることを通して純粋な心の交流を深めて行きます。それは最愛の恋人同士のようでもありつつも、孫と祖母のようでもあり、無二の親友のようでもあるという多重的なものでした。ある日サラはルードとともに彼の母親(クレア・ヒギンズ)に会いに行きます。もちろんどんな母親なのか、そして少しでも彼と母親の仲を修復するために。これより前、ホテルを訪ねてきたサラと娘の言い争いのシーンから、サラ自身は娘と上手く行っていないことが覗えます。自分のようになって欲しくない―。ルードが相手だとすぐにケンカになってしまう母親も、この場面では人生の大先輩として、そして同じ一人の母親として彼女の話に耳を傾け、同時に自分の中に溜まっていた想いを打ち明けるのでした。

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初めて母の本心を知ったルードに微妙な心の変化が訪れます。そしてそれはサラにとっては喜ばしいことでもあり、寂しいことでもあるのでした。『逢びき』のDVDをきっかけに知り合ったグェンドリン(ゾーイ・タッパー)とルードは付き合い始めます。もちろん、ルードのサラに対する気持ちは何も変わっておらず、さらにはこのグェンドリンも、まるで自分の実の祖母のように彼女と相対します。時にルードを前に女同士の連係を見せたりするシーンからみても、決してサラが彼女を嫌ってなどいないことは明白。しかし、一人ぼっち同士だった2人の片方がそうでなくなるという寂しさは、これはもう理屈ではありません。いや、むしろ余計に孤独感は増していくもの。苛立つ毎日を送る中、彼女は階段で転び腰の骨を折って入院してしまいます。

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肺炎を併発し、もはや消え入りそうなサラの命のともし火。彼女の前で彼女の好きなワーズ・ワーズの詩をつっかえながらも諳んじ、何とか彼女をこちらに引きとめようとするルード。朦朧とした意識の中、ルードにアーサーと呼びかけるサラ。そしてアーサーになり切ってそれに答えるルード。偶然出会い、たった数週間をともに過ごしただけでも、お互いの人生を大きく変える肉親以上運命の出会いはあるのです。サラはホテルの住人オズボーン氏にプロポーズされた時にこういいました。「これまでは子供のため、夫のために生きてきた。残された人生は自分のために生きてみたい」と。しかし結局彼女の最後はルードのために生きた人生だった気がします。即ち人間は自分のためにではなく、誰かのために生きてこそ幸せを得られるのではないか、そんな風に思えてなりませんでした。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:今までで一番いいルパートかも
総合評価:79点

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『クレアモントホテル』予告編

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受信: 2011年1月16日 (日) 21時48分

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受信: 2012年1月27日 (金) 20時11分

» 映画評「クレアモントホテル」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2005年イギリス=アメリカ映画 監督ダン・アイアランド ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2012年2月 3日 (金) 10時43分

» 「クレアモントホテル」感想 [ポコアポコヤ 映画倉庫]
この映画の雰囲気や全体的なテーマは好きなんだけど・・・。3つ☆ [続きを読む]

受信: 2012年3月11日 (日) 16時34分

» クレアモントホテル [こんな映画見ました〜]
『クレアモントホテル』---MRS PALFREY AT THE CLAREMONT---2005年(アメリカ/イギリス)監督:ダン・アイアランド出演:ジョーン・プロウライト 、ルパート・フレンド、アンナ・マッセイ アー、ロバート・ラング 、クレア・ヒギンズ ロンドンの街角にひっ...... [続きを読む]

受信: 2012年4月14日 (土) 15時07分

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