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2011年1月 5日 (水)

アブラクサスの祭

Photo 現役の住職で芥川賞作家・玄侑宗久の同名小説を映画化。うつに苦しむ僧侶が、かつて熱中していたロックに自分を解放する道をみつけ、自らを再生させてゆく様子と、それを見守る周囲の暖かい視線を描いた人間ドラマだ。主演はミュージシャンで『のんちゃんのり弁』などの映画主題歌も手がけるスネオヘアー。共演にともさかりえ、小林薫。監督はデビュー作となる加藤直輝。
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スネオヘアーに何を求めたのか

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残念ながらこの作品が何を言いたいのか、どこが良いのかがサッパリ解りませんでした。しかもこんな作品に限ってテアトル新宿に行くと、スネオヘアーのクリスマスライブ付きの回2000円で立ち見しか空いてないなんて言われたり。スケジュールの関係上どうしようもなく泣く泣く立ち見でいいやと2000円出したら直前で席が1つキャンセルになり、望んでもいないのに中央やや後ろの絶好の席に座れたりする訳で、嬉しいようなそうでもないような微妙な気持ちで劇場に入ったのでした。そもそも「アブラクサス」ってのが善も悪もひっくるめた神の名前だそうで、この胡散臭いタイトルの意味もやる前に知ってたら観に行かなかったっかもしれない…。

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ただ、テアトル系でミュージシャン主演の映画というと『色即ぜねれいしょん』の渡辺大知でその歌唱シーンにえらく感動したインパクトが今でも残っていたんです。そこで流石に名前ぐらい知っているスネオヘアーならもっと凄いんじゃないかと…。結論から言うと何か違うって感じでしたが。主人公・浄念(スネオヘアー)は名前が示すとおりお坊さん。元ロックミュージシャンだけれどもそれがもとでうつで苦しんでいるのでした。そんな彼が毎日を送る中で徐々に「やっぱり俺にはロックが必要なんだ!」と気付き、遂には寺のある小さな田舎町でライブを開こうと決意するというのが大まかな流れ。話は解る。しかし浄念がそこまで音楽に文字通り情念を込めているようには全く見えない…。

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スネオヘアーを良く知る人はきっと浄念と一体化することで、彼がロックををやることに何も違和感も不思議も感じないのだろうけれど、スネオヘアーなんぞ殆どしらない私にとっては言葉は悪いが心の病を持った変な坊さんにしか見えない。少なくとも高校の進路指導講演会で意味不明なことを口走ったり、日頃の喋り方、家族内での妻や子との会話を観ていると単純にそう感じるのです。このおかしなキャラクターはきっと狙いで演じているのでしょうが、個人的には脇役の小林薫やともさかりえ、本上まなみ、草村礼子あたりの絶妙な芝居が無かったらちょっと観続けられないぐらい大根だと思う…。だから折角のライブシーンまでに彼の内面に溜め込むエネルギーを感じられない。

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ライブシーン、歌そのものは流石に本職だけあって素晴らしいものだったし、ライブそのものからの熱は伝わってきたのだけれど、結局あれはスネオヘアーのライブであって、到底浄念のライブだとはいえないと思う。本気で歌えば歌うほど彼は本職の、素の自分に戻っているようだし、そうじゃないと見せたいのなら、浄念がどうしようもなく爆発するまでに溜め込む音楽への情熱みたいなものを感じさせて欲しかった。何やら溜め込んではいたけれど、それはたんにうつとして自分の中に溜めこんでいたもので、それと音楽とを結びつける手段がスネオヘアーには自分がプロの歌手であるということしか無かったように思うのです。まあ、そもそも彼にそれを演技で出すことは求めてないのでしょうけど。

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結局最後まで私の中ではスネオヘアーは浄念になり切れていなかったのでした。そもそも作り手は彼に何を求めたのでしょうか。まさか演技も素晴らしいとか言わないでくださいね、加藤監督。という訳でハッキリ言ってツマラナイ作品です。あ、クリスマスライブですが、本作のエンディングテーマ『ハレルヤ』を生で聴けたのはラッキーでしたが、あと数曲歌ってくれた曲は何の曲だかさっぱりでして、普通に寝てました…。価値のわからない人間に幸運が訪れることもあるものだなと、別な意味で妙な悟りを得て劇場を後にしたのでした。

個人的おススメ度2.0
今日の一言:はずれ
総合評価:48点

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『アブラサクスの祭』予告編

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受信: 2011年1月10日 (月) 03時47分

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受信: 2011年1月28日 (金) 13時57分

» mini review 11548「アブラクサスの祭」★★★★★★☆☆☆☆ [サーカスな日々]
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受信: 2012年1月 7日 (土) 19時20分

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