犬とあなたの物語 いぬのえいが

２００５年公開の『いぬのえいが』の第２弾。『ハゲタカ』の大森南朋、『ゴースト もういちど抱きしめたい』の松嶋菜々子の他、中尾彬、高畑淳子、北乃きい、内野聖陽といったベテランから若手までを揃えた全６篇のオムニバスムービーだ。監督を務めるのは『西の魔女は死んだ』の長崎俊一をはじめとした気鋭の６人。犬と人間の温かい絆が感動を呼ぶ。
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笑って泣き、感動で泣き。

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全６篇からなるオムニバス仕立て。いずれも犬と人間の関わりの中で笑いあり涙ありの中々に楽しい話に仕上がっていました。今回は記事の関係上一部ギャグのネタバレ込みで書きますので、観ていない方はご注意下さい。構成的には６篇のうち４篇に関してはコメディ作品で、ラスト２篇が感動ストーリーというもの。まず非常に残念だったのは予告編でモロネタバラシしていること。１番最初の「あきら！」は中尾彬が登場するだけならともかく、犬をアキラと呼んでいるところまで使ってしまったらそれはもうネタそのもの。「愛犬家をたずねて。」の中で犬にクイズを解かせる話題や、「DOG NAP」で実は誘拐されたのは子供じゃなくて犬だったなんてのも、そのものズバリじゃないですか。

それぞれ中尾淋や、内野聖陽といった、あまりコメディタイプでない役者が大真面目に演じている面白い話なのにこれでは新鮮味半減でもったいなさ過ぎ。これは予告編ディレクターの大チョンボだと思います。さて、そうは言ってもこのテンポの良さと初見のエピソードのおかげで、前半のコメディパートは中々楽しく観ることが出来ました。個人的には「お母さんは心配症」が最高。結婚披露宴の席上、母親（高畑淳子）が初めて一匹でお留守番をしている愛犬キスチョコのことを心配し、妄想が膨らむあまり叫び声をあげてしまうのですが、そのセリフが悉くギャグになっているというもの。血管が切れんばかりに絶叫する高畑淳子の姿が余りにおもしろくて涙が出て来てしまったほどでした。

ここまでの４篇で丁度半分というところでしょうか。５篇目の「犬の名前」は大森南朋と松嶋菜々子という実力派２人が見せてくれる感動ドラマです。一郎（大森南朋）は過去のトラウマから絶対に犬は飼わないと決めていましたが、妻の美里（松嶋菜々子）が強引にラブラドールレトリバーのラッキーを友人から引取ります。この犬のおかげで、この後２人に襲い掛かる運命の悲劇のなかでも絆を保ち続けていられたのでした。その悲劇とは一郎が若年性アルツハイマーになってしまうこと。『私の頭の中の消しゴム』のように、その話だけでも十分切ない物語に犬を絡めてくるのはある意味反則的です…。徐々に消えていく記憶だけれどラッキーは一郎の事をしっかり覚えていて忘れません。

どんな時でも人間の忠実なパートナーとなってくれる犬。普通はその犬のほうが人間より先に亡くなるはずなのに、それが逆になってしまうとは何とも皮肉です。対照的に６篇目の「バニラのかけら」はペットロスの物語でした。北乃きい扮する奈津子は愛犬バニラを亡くした悲しみから立ち直れないで居ました。ある日、バニラにそっくりな犬を散歩させている少女・茉奈（芦田愛菜）と出会います。今をトキメク芦田愛菜ちゃんの可愛らしいことといったら！小さい犬を散歩させるにも６歳の彼女では犬に引っ張られてしまうわけで、そんなちょっとした様子や奈津美に対する喋り方がもう愛らしい。というか、はっきり言うと犬なんかどうでも良くて犬より愛菜ちゃんの方が絶対可愛い…。

一方の北乃きい、ファンの方には申し訳ないけれど、どうにも馴染めませんでした。まあ、一番の理由は話題になった濡れ髪写真なんですが。そんなことはさて置き、茉奈たちと一緒に散歩するうちに、何も無理にバニラのことを忘れる必要がないのだと気付いた奈津子。そうです、忘れたらその時点でバニラは本当に死んでしまうのですから。短い物語でしたが、その中で再生する奈津子とそれを導いた少女の姿に胸が熱くなりました。『犬とあなたの物語　いぬのえいが』はその名の通り犬と人間の結びつきを多方面から描いた作品で、動物ドラマでありながら人間ドラマです。ファミリーで観るにも丁度良い長さと内容ではありますが…でもすぐ地上波でやるんだろうなぁ。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：芦田愛菜ちゃんは天使か？！
総合評価：66点

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