サビ男サビ女
肝心のプロデューサーは誰なの? |
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映画業界を目指す人々の育成を目的とし、現役映画人がレクチャーを行うニューシネマワークショップ。そこの第2期映画プロデューサーコースの実習作品だそうな。4人の監督による4本のオムニバス仕立てだけれど、そもそも『サビ男サビ女』とは何ぞや?初めて聞いた言葉なのだけれど、どうやらいきなりサビから入ってしまうような、行動が唐突で衝動的男女のことをいうのだそう。プロデューサーコースの実習ということで、監督自体は『オカンの嫁入り』の呉美保やら『全然大丈夫』の藤田容介といった既に活躍する方々の手によるものなのでしょう。

『ハゲマシガールズ』
監督:藤田容介
出演:桜庭ななみ、川村エミコ、白鳥久美子、中村倫也、村杉蝉之介、荒川良々


はっきり言って4本中1番きつかった作品。桜庭ななみは『最後の忠臣蔵』より前にこれは撮影したんだろうか…。そうあって欲しい。勝手に人を励ます応援をする「ハゲマシガールズ」なるグループを作り、日々“ハゲマシ”続けているチハル(桜庭ななみ)たち3人。歌と振り付けで応援するその姿に超ドン引きでした。桜庭ななみは大好きだし、実に可愛いのだけれど、それでも応援シーンは素人のホームビデオネタか、完全に滑った自主制作映画と言う感じ。唯一の救いは、そのどうしようもない“ハゲマシ”シーンを荒川良々があの独特のキャラクターで受けてくれたことです。もとより、桜庭ななみ以外のキャラクターは全て個性派で固めているので、確信犯で彼女にバカバカしいことをやらせているのは解りますが、それが却って彼女を痛々しく見せていました。

『Boy? meets girl』
監督:松梨智子
出演:中村蒼、蓮佛美沙子、草野イニ


これまた個人的に大好きな蓮佛美紗子が出ている作品。主役は中村蒼扮する村椿という男子高校生だけれども。彼は城山香織(蓮佛美紗子)に憧れているけれども声も掛けられない。ところがある日友達の冗談で女装をしてみたら、これが意外と綺麗!すっかり自信をつけた彼は素性を隠して香織の写真のモデルとして仲良くなってしまうのでした…。で、一言で言えばバカ言ってんじゃないと。綺麗でもなんでもない。香織はカメラマン志望だけれど、これを見抜けないならカメラマンなんてあり得ないですね、一目見て男だし。第一香りは村椿が女装する前から彼の事が気になっていたというけれど、それならなおさら即気付かなければおかしすぎる。コメディだからといって、全てなんでも許される訳じゃないし、最低限の説得力ぐらい持たせてください。

『くれえむないと!』
監督:呉美保
出演:友近、福田転球


4本の中で一番良く出来ていた作品。流石は『オカンの嫁入り』のようなしっかりした作品を世に出している呉美保監督です。電気料金を払わなかったために電気を止められた楠原繭子(友近)は、コールセンターの担当の態度に激怒。上司の葛西(福田転球)が繭子の家までお詫びに来るという流れ。クレイマー状態の繭子の言葉も面白いけれど、汗ダラダラで過剰に謝る葛西もまた面白い。聞いていると「そうそう、そういう言い方で謝るよね!」という言葉使いなのに、絶対にそこまではしないことをしたりするのです。例えば冷蔵庫が止まってダメになった豚肉を弁償したり。(笑)そうこうする内に繭子が葛西を誘惑モードに突入。友近がノースリーブで太ももも露に葛西を誘惑する様子は殆どコントに近いものがありました。オチがまた秀逸です。

『せびろやしき』
監督:関口現
出演:小泉今日子、森下能幸、堀部圭亮、田中哲司


これも『くれえむないと!』に続いて面白い一本。ただ最初に鼻歌を歌いながら歩く小泉今日子の横顔が余りにも老けていてショック。捨ててある猫を見つけると可哀想で際限なく拾ってきてしまう主人公・真弓(小泉今日子)は、ある日公園で平田さんを見つけます。会社をリストラされたことを奥さんに内緒にしている彼は行く所がありません。可哀想に思った真由美は平田さんを家につれて帰り、夫の義男(田中哲)が帰宅する夕方まで家にいさせるのでした。で、次々と以後彼女は次々サラリーマンを拾ってくる。猫が一杯の“ねこやしき”にかけた『せびろやしき』とは上手いネーミングです。真弓のためにと全員でゴキブリ退治をするバカバカしさが楽しいのですが、何と言っても「えぇ?!→あれ?→そう来るか!」という畳み掛ける落ちの部分が素晴らしいです。
はっきり言って前半2本は作品としてはつまらないですが、出演者が好きなら観られるレベル。後半2本は脚本が良くできていてショートムービーとして完成度が高いです。ただそういう意味では広い範囲をカバーしているともいえるかもしれません。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:後半2本はもう一回観たいなぁ
総合評価:62点
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