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2011年1月11日 (火)

スプライス

Photo 『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督が送るSFスリラー。遺伝子操作で人間の遺伝子を組み込んだ新生命体を生み出してしまった2人の科学者カップルが辿る運命を映画いている。主演には『プレデターズ』『エクスペリメント』のエイドリアン・ブロディと、『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』では監督を務めたサラ・ポーリー。製作総指揮にギレルモ・デル・トロが参加している。
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何故そんなことも想像できないの?

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ワーナー・ブラザーズ製作のB級作品。しかしまあ何とも不愉快かつ、出来の悪い作品に出会ってしまった。こんな作品でもシネコンで公開されて、はるかに良質の作品が単館上映、それもあっという間に公開終了になってしまう日本の姿は異常としかいいようがないと思う。主演でクライヴ役のエイドリアン・ブロディは個人的に好きだし、上手い俳優だと思っているのだけれど、この人もっと出演作を選べばいいのに。まだ若いのにオスカー俳優としての自分の格を下げてどうするんだろう…。今回もう一人の主演エルサ役のサラ・ポーリーとともに2人が扮するのは遺伝科学者でした。ちなみに「スプライス」とは“結合”という意味で、即ち彼らの実験である遺伝子操作を意味しています。オープニングからまるで巨大なカブトムシの幼虫風とでもいうか…とにかくえらく気色の悪い生命体が登場してきますから心の準備をしていてください。

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実はそれが彼ら2人が生み出した、多種の動物の遺伝子を結合させた新生命体なでした。要は色んな動物の遺伝子を組み込んだ新生命体が体内で合成するたんぱく質を新薬の材料として使おうという研究なんですね。そこまでは普通にある設定なので別にどうと言うこともないのですが、この2人はこの後、人間として科学者として犯してはならない領域に踏み込んでしまいます。それは多種の動物と人間の遺伝子の結合。この時点でもう殆ど展開が読めるのですが、つまり本作はこの2人のバカモノのおかげで死ななくてもいい人が死に、最終的には因果は自分たちに降りかかってくるというお話なのです。タダバカなだけなく、自分たちが絶対に越えてはいけない一線を越えていることを自覚している割には、お粗末極まりない行動をとるお気楽さにはひたすらイライラし通し。

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人間の遺伝子を組み込まれて生まれてきた生命体は当初「エイリアン」に登場するフェイスハガーの足がないバージョンの様にもみえます。しかし実はそれは仮の姿。脱皮すると中から出てきたのはコレがまた何とも今まで見たことがないような生命体。口が裂けても可愛いとは言えませんが、このキメラはドレンと名付けられて極秘に育てられることになります。そもそもこのドレンというのも彼らが所属する組織“NERD(オタク)”を逆さに読んだものというバカバカしさ。既に科学者を名乗る資格もない彼ら2人ですが、研究所のメンバーからドレンを隠すために、何と彼女を外に連れ出して育てることに。しかも育てる場所がエルサ(サラ・ポーリー)の実家の牧場の納屋。ネコが勝手に出入りしてしまうような場所で危険生物を育てて平気でいられる鈍感さがまたイライラします。

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上映開始からココまでひたすら不愉快ではありますが、それでも唯一面白いと言えるのはドレンの成長に伴うクリーチャーの変化でしょうか。フェイスハガーもどきから、足が生え手が生え、次第に足以外の外見は人間の女性に変化していく様子は、中々良く考えられていると思います。結局何がこんなにイラつかせるのか。それはあまりに薄っぺらな脚本のせいで先の展開がバレバレであり、更にそれは劇中のクライヴやエルサだって当然思考の帰結として想像できて良いはずなのに全くそこに思いが至らないから。ドレンの前でセックスを見せたらどういうことになるのか、そのドレンに愛してるといったらどうなるのか、オープニングで見せた生命体に突然性転換が起こったらどうなるのか、そもそも彼女が自分たちに襲い掛かってきたらどうなるのか。

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そして今ここに上げたことを総合したら最終的にエルサがどんな目に遭ってどんな結末を迎えるのかはもう明々白々。卑しくも科学者を名乗り、新たなる生命体を遺伝子操作で生み出すようなことまでしてのけながら、あまりの想像力の欠如としか言いようがありません。そんなことだから平気でドレンが死んだと思い込んで土葬にしてしまったりする訳で。物語の要素として、エルサが自らの母親の関係故に自らの遺伝子を使ってドレンを生み出してしまっただとか、エルサの遺伝子を持つが故にクライヴがドレンに惹かれてしまうといった、それなりに考えられた設定はあるのだけれど、このどうしようもないメインストーリーのおかげで全てが台無しです。B級SFなんである意味バカげた展開でも構いませんが、最低限登場人物には観客の考える常識的なレベルの行動はさせるべきで、その上でその予想を超えた展開で、見ている方にも驚きや恐怖を感じさせて欲しいものです。

個人的おススメ度2.0
今日の一言:こういうのこそDVDスルーで。
総合評価:49点

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『スプライス』予告編

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